新たな仲間
「……なっ、なにっ!? 今の!? 良太良太、今のなに!? 躰がすっごい速く動いたよ!!」
「分からない。ただ、こいつを殺して隊長と副隊長の敵を討たなきゃって思ったら勝手に躰が動いてた」
今、俺は敵を討つことを考えていた。すると、体の奥から不思議と力が湧いてきて、次の瞬間、光速に近い速さで動き、敵を切り刻んでいた。
「まぁいいや、とにかく戻ろうぜ。……あっ、2人の戦死を伝えないと」
「そう……だね。試練はクリアしたけど、代償が大きいね」
梨沙は弱々しく呟いて言った。
確かに無事試練はクリアしたが、その代償はフリックと沙月の死だった。
「帰ろう、梨沙」
「うん」
俺たちは地下倉庫へ帰ると、試練のクリアとフリックと沙月が死んだことを伝えた。
すると、地下倉庫に元からいた上級隊員の手によって現場からフリックの下半身だけが回収された。ーー沙月の遺体は吹き飛んでしまったので残っていないーー
フリックの遺体は地下倉庫の近くにある共同墓地に埋葬された。
悲しむ俺たちの元に遺体を回収したであろう隊員がやってきた。聞くと現場に沙月の遺品らしきペンダントが落ちていたので、どうしたらいいのか聞きにきたらしい。
沙月には既に両親はおらず、親戚もいないということからペンダントは梨沙が持つことになった。
「私たち、これから何処の部隊に配属されるんだろう?」
「さぁな、ってか初日にこんな目に遭うなんてツイてねーよな」
落ち込んでる梨沙を励ますように言った。
すると、梨沙は苦笑して、
「ほんとだね。私たちツイてないね。これから大変だね」
何処の部隊に配属されるのか期待と不安を感じながら数ヶ月がたった。
「レックス! そこだ!!」
俺の合図と共に岩影に隠れていたレックスが飛び出した。
「うぉおおおおおおおお!!!」
レックスの斬り上げがヴァリアント・モンキーの腹から右肩を切り裂いた。そして、そのまま絶命した。
「よくやった。レックス」
「はいっ!」
闘いを終えた俺たちは援護のため離れていた梨沙たちと合流した。
「援護射撃助かったよ、梨沙」
「えへへっ! ありがとう!」
あれから、4ヶ月の時が過ぎた5月6日。俺たちのヴァリアント・モンキー殲滅は順調に進んでいた。
その中で俺は、さまざまな功績が認められ、4人体制の隊長を任せられていた。梨沙は副隊長だ。
俺たち特設隊は世界各地に展開し、隊員の数は1000万人を超えていた。
だが、この世界から後を絶つものも少なくなかった。4ヶ月の間で約100万人の人が消えていった。
“宇宙人”たちも進化していて、初めは毛皮で覆われていたが、今では鋼鉄で覆われた奴も出てきた。
俺のチームは隊長の俺、副隊長の梨沙、そして3次募集に合格したレックス・アルゲイトと2次募集で合格した藤井美咲という編制になっている。
俺たちのチームはとても相性がよく、上手く連繋が出来ていたので、隊で1番になっていた。
特に、俺と梨沙の連繋は隊が驚くほどに巧かった。
俺と梨沙は幼なじみということが相まってお互いの考えが手にとるように分かっていた。
「さて、任務も終わったし、そろそろ支部に帰るか」
「うん。そうだね」
俺たちは任務完了の報告をするため支部に帰った。
俺たちが支部に戻ると、少しざわついていた。
「東郷さん。何かあったんですか?」
「おう、良太。ちょうどいい所に帰ってきたな」
東京・中央支部支部長の東郷大輔を見つけ、状況を聞いた。
「今な、俺がそこら辺に転がってたガキを連れてきて歓迎している所なんだ」
すると、東郷さんはその人物を連れてきた。
「紹介しよう。今日からこの中央支部第3地下倉庫に入るクリスチーニ・マック・ロドリゲスとシャルロッテ・ライラ・ベネジクトだ。2人とも親を奴らに殺されている。お前らは年が近いだろうから仲良くしてやってくれ」
そう言うと、東郷さんは奥に引っ込んでいった。すると、梨沙が2人の前に行き、手を差し出した。
「私、暁梨沙! よろしくね。マックスくん、ライラちゃん」
「お、おい梨沙。勝手にあだ名で呼んだらマズイだろ!」
「ええ~。いいじゃん、別に。その方が仲良くなれるし」
「いや、ダメだろ」
俺たちの会話を聞いていたライラが小さく吹き出した。
「ふふっ。仲が良いのね、あなたたち。別に構わないわよライラで。外国でもそう呼ばれてたし」
俺は仲が良いと言われ、顔が赤くなった。
「僕もマックスでいいよ。よろしく、梨沙さん。それとキミも・・・ね」
「えっ? あ、ああそういや俺の名前を言ってなかったな。俺は豊橋良太。17部隊の隊長をしている。これからよろしくな。マックス、ライラ」
「よろしく良太君。・・・良太君、マックスのライバルになっちゃったね」
ライラは良太の近くに来て、そう囁いた。
隣で梨沙が不機嫌になっているのに良太は気付かない。
「どういうことだ?」
「マックスって強い人を見抜ける癖があって、すぐに戦いたくなるのよ。だから、良太君はもうマックスのライバル」
それは2人が特設隊に入ることを予期していた。
マックスの方を見ると、じっと鋭い目で俺を見ていた。マックスにライバルと認められたことが嬉しく思った。
「そう言えば、日本語上手なんだな」
「ああ。ボクとライラはしばらく日本に住んでいたんだ。幼なじみでね」
そう言われて俺は納得した。俺たちに挨拶をした2人はまだ話してない人がいるといってその場を後にした。
「面白い人たちだね」
「ああ、そうだな」
結構早めにマックスとライラが出ました。
この2人が出たということは第1作目は残り半分を切りました。この先も読んでいただけると幸いです!