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一年と思考のフォルマーリ

 はじめまして、或いはこんにちは。

 桜雫あもる です。


 以前から書きたい書きたいと思っていた、『星屑エスケープ』の続編を遂に投稿いたしました。

 今回は前作のようなスピーディな作品展開ではなく、比較的ゆっくりと進む学園モノを想定しています。


 相変わらず女性向け作品への造詣は浅いままですが、どうか筆者の趣味嗜好にお付き合いください。


 現在、同時進行で『優しい殺し屋の不順な事情 Ⅱ』を執筆しているのですが、こちらの舞台がカリフォルニアということもあって、かなり更新が遅くなるやもしれません。

 更に、現在大学の課題や部活動、大会や学園祭の準備など、様々な事情が複雑に交錯しているため、思うように小説を書く時間を作れない現状です。


 重ねて、今まで以上に更新速度が遅くなるとは思いますが、長い目で楽しんでいただければ光栄であります。


 ちなみに、「epli」とは古ノルド語で「林檎」を意味します。

 北欧神話の重要なモチーフの一つですね。


 今作では、前作ではぼんやりとしたままだったエルフ国の詳細な設定などもどんどん紹介していきたいと思います!


 それでは、目眩(めくるめ)く図書の世界をご堪能あれ。

 あれから一年が経った。



 エルフ国───エルフの住む国から追いかけられて、不思議な声に言われるがまま放課後に逃げ出して、自転車に乗って一夜を明かして。

 危ないところをブリックに扮したシャルノに助けられて、エルフ国に侵入して、六本脚の馬フリーヤニルくんに乗って、シャルノのおうちに匿ってもらって。

 穏やかな二日間を過ごして、それから私はようやく、侍女さんから全てを聞いた。

 そして、やっと走り始めたんだ。



 シャルノと処刑場を逃げたあと、結局私は「国交回復に先駆けて呼ばれたゲスト」として、しばらくエルフ国に滞在することになった。

 なにがどうなってそうなったかはわからないけど、エルフ国のエージェントさんに案内されて、エルフ国の色んな施設や風景を、数日の(あいだ)楽しませてもらった。

 表向きには、シャルノのお父さんとお母さんたちがやってくれた反対運動が私を助けてくれた、っていうことになってるらしいけど、真相はわからない。


 そして一週間もしないうちに、私は日本へと帰った。

 帰らされた、っていうほうが近いかもしれない。

 いろんな所をせわしなく連れ回されて、用が済んだらすぐにバイバイ、って感じだった。

 最後の日、シャルノのお父さんとお母さん、おじいちゃんにおばあちゃんたちが総出で私をお見送りに来てくれた。

 みんな私にハグをしてくれて、また近いうちにおいで、って優しく言ってくれた。

 シャルノだけはお仕事で会えなかったけど、その代わり、私にお手紙をくれた。


 そこには、これからまたしばらくごたごたが続くだろうから、次に会えるのがいつなのかはわからないこと。

 でもいつか必ず会いに来てくれること。

 私には心配せずに、一日でも早く元の生活に戻ってほしいこと。

 最後に、シャルノと、そしてブリックが、いつも私のことを思っていてくれることが、書かれていた。


 私もお返事を書きたかったけど、そんな時間はなかった。

 もしかしたらシャルノはいまでも、エルフ国で私の返事を待っているかもしれない。



 小学生のころ、私は、私を含めたなにかのせいで、ブリックとシャルノとお別れしてしまった。

 そのときと同じ。

 今度も、シャルノとはしばらくのあいだお別れだ。


 でも私はもう忘れない。

 遠い昔に、ブリックやシャルノと遊んだあの黄金の日々を。

 一年前、シャルノに助けてもらった、あの星屑を散りばめた数日間を。



 日本に帰ってから、私はテレビや新聞に何度も何度も取り沙汰されながら、長い一年を過ごした。

 いろんなことを考えた一年間だった。

 いろんなことを悩んだ一年間だった。


 責任とか義務とか愛情とか、私は難しいことをたくさん思い悩んだ。

 エルフ国とのこと。

 エルフと人間のこと。

 ブリックと、シャルノへの気持ち。

 その整理。


 私はまだ、答えなんて出せていない。

 そんな簡単な問題じゃないんだ。

 私はまだまだ、悩まないといけない。

 そんな気がするのだ。


 私はたまに送られてくる、こちらからはお返事の届かないシャルノからの手紙を心の支えに、ちょっぴり激動の高校一年生をなんとかやり終えた。



 そして一週間前。

 新学期を迎える私のもとに、あの手紙が届いた───。

formáli -端書き

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