閻魔様のせいらしい。
「待って待ってどうしたの姫?」
「……異世界から来られた勇者様に、あのような態度をとってしまい……!」
イル姫は頭を下げたままカタカタと震えている。
そういえば僕、勇者なの?
閻魔様にそんなこと言われたような言われてないような…
どうだったっけ。
「とりあえず、頭を上げてよ。それで説明して?そこまでして勇者を恐る意味と、魔王について。」
イル姫が恐る恐ると頭を上げる。
僕はその綺麗な黄金の髪に沿うように頭を撫でると、ビクッと反応した。
さっきまでの元気さが嘘のようだ。
「大丈夫、僕は怖くないし、イル姫に何もしない。むしろそうやって怖がられてる方が嫌だ。だから、安心して?」
ぐっ、とイル姫を抱き寄せて、背中をポンポンとたたく。
「………………。」
「イル姫?」
「……すー……。」
「……寝てる?」
シオンに目線をやると、彼女はやれやれと言ったふうに肩をすくめた。
「とりあえず、その子を抱えて宿を探しましょう。野宿は困りますでしょう?」
「そうだね、そうしようか。」
そう言ってイル姫を持ち上げよう…と……。
「……シオン。」
「まぁ仕方ないですよ。まだ勇者としての洗礼受けてませんし。身体能力向上のスキルも解除してませんからね。子供の体では重いでしょう。私が抱えますよ。」
「ありがとう……サラッといろいろ言ったね……。」
やっぱり僕は勇者らしかった。
洗礼とかあるんだね。
「にしてもやっぱり子供かぁ……。」
「主様の体は閻魔様のお力を強く受けていますからね。外見も幼くなってしまうでしょう。しかし年齢は前世のままの筈ですよ。」
「嘘だろ!?」
強く逞しく男らしくなりたいって言う僕の願はどこいったの。
あれ書く意味あったの。
うわすっごいショック……。
「ほら行きますよ主様。とっとと歩いてください。」
「うぅ……。」
鍛えれば男らしくなれるかなぁ………。