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みんな仲良く  作者: 夕顔
6/8

 「進藤組」はどんどん膨れ上がった。


 正確には純「進藤組」が膨大に増えたという訳ではなく、「わきあいあいチーム」の人間が片足を突っ込むような形で「進藤組」とのコミュニケーションを頻繁に取るようになってきたのだ。

 気付いたら部署内には進藤さんに対して悪いイメージを言う人がほとんどいなくなっていた。


 「わきあいあいチーム」は相変わらず飲み会を楽しんでいるようだが、先日考えてからそれは否定も肯定もする事は難しく、しかしその飲み会のために顔色が悪くなったりするような人も存在しなくなったため一安心である。




 残業の件では大久保さんが奮起した。


 うちの部長と共に件の部の部長と掛け合い、

 「お互いの部の成長が会社に対して生む利益を重要視しよう。」

 という事で、該当部署も己の力で頑張る事になったのだ。


 こうなると我が部署は残業が減り、件の部署は残業が増えたのだが、彼達もここで初めて考えたり工夫する事で乗り越えようと努力をするようになる。


 会社側も本来の問題点にここに来て気付いた事で、成長と実力を鑑み件の部署の人員配置を検討しはじめた。

 成果が見られない場合は翌年度に少し大きな異動が発生するのだろうか。




 「わきあいあいチーム」が進藤さんと歩み寄り始めた一番の理由は、進藤さんが仕事が非常にできるからだ。

 彼はどうやら残業はせずとも、時間がある時は勉強をする人のようで、誰よりもたくさんの知識を蓄えている。

 だから進藤さんに相談する事で解決する事は多くなり、自然と彼に話しかける人が増え、彼もまたそれに応える。


 しかし彼は相変わらず無表情で「仲良くする必要は無い」と言う。


 だからか、彼に相談する人達はまずは自分で調べるようにしている。

 歯に衣着せぬ進藤さんが以前プロジェクト会議で支社長に言った言葉を気にしているのだろうか。




 そうこうしているうちに我が部署は全体的に素晴らしい成長を遂げ、評価が相当上がった。


 進藤さんは「仲良くする必要は無い」が技術提供は惜しまない人だという事が分かった。






 しかし進藤さんは不思議な人である。

 こんなに無表情で付き合いが悪いし、支社長のように上司にすらも容赦無いのだが、部長や大久保さんには信頼されている。

 それ所か関連会社の社長や他部署の部長達からもたまに電話が来る。




 仕事ができるという理由のみであの彼があそこまでの信頼を得られるとは考えにくく、少し分かったような気がした私はまた謎が深まったように感じた。




 「仲良くする必要はない。」とは、彼にとってどのような意味なのか。

 もしかすると私が考えている意味とは全く別のものなのではないのか。




 本来なら部署が平和ならば私の進藤さんを監視するという勝手任務も終了するはずなのだが、彼の事がどうしても気になり、益々目が離せなくなってきた。


 彼にはどうして信頼が集まるのか。

 彼は何故「仲良くする必要」が無いのか。

 彼は何を一番大切にしているのか。

 彼は何が趣味なのか。




 彼のプライベートが知りたい。






 部署に平和が戻り、進化した喜びを感じていたある日、ついに試される時がきた。

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