第7章
「上空500kmへつきました。これから宇宙空間へ入ります。翌日には人工重力も無くす予定です」
嶋山が私に報告をする。
「了解した。あとで幹部会議をしてそのあたりのことを調整しよう」
私がそう答えると、船内放送用のマイクで放送をかける。
「ただいま本船は、大気圏外へ到着いたしました。現在の予定をお伝えします。船内時間の翌日に、人工重力を停止いたします。それまでの間、しばらくお待ちください。なお、シートベルトはご自由に外してください」
私が船内放送を終わると、すぐにシートベルトを外し、各部署長を船長室へ呼んだ。
船長室は会議室も兼ねており、20人が入れるようになっている。
もっとも、この船の部署長はそうだし3人を含め12人、さらに副船長と私を入れても14人であり、十分な余裕があった。
「では、これからのフライトプランを考えておきたい」
「予定通りでいいんじゃないですか」
保守長が私に言う。
「経路上に宙賊がいるっていう情報が政府から寄せられているのよ。さすがに、乗客の安全を考えると避けるべきだと思うのよ」
「そうですね。お客様のことを考えれば、そのほうがいいでしょうね」
スールが言う。
「フライトプランは、社内情報のみですので、船長による裁量が大きいです」
思い出しているような顔をしながら、法務局船内員としての知識を活用してスールが続けて言った。
「では、操舵手3人とサヴァンは残ってくれ。後のみんなは、船内時間の1週間後の幹部会議までに、フライトプランについては連絡を入れる」
「了解です」
私がそう皆に伝えると、船長室から出て、それぞれの仕事の場所へ散った。
操舵手3人と副船長のサヴァンと私が船長室で、これからの航路についての相談をした。
「それで、どうやって飛ぶかなんだが」
「予定している航路が飛べない以上、遠回りになります。その上で、現在宙賊の警戒情報が出ていないところを飛ぶとすれば、予定から半月はずれると思ったほうがいいでしょうね」
操舵主任の嶋山が、飛べそうな航路を考えつつ、私に言った。
「燃料、水、食料等はそれで持つか」
「十分です。予備として2ヶ月多めに載せておりますので」
サヴァンが持っていた電子手帳を見ながら答えた。
「では、それで決定ということで」
私が締めると、4人はうなづいた。
「嶋山は、航路について最終的な案を提示して。サヴァンは、その案について意見をちょうだい」
「分かりました」
4人にそう伝えると、それぞれが順番に船長室からでた。