第26章
「日本皇国火星衛戍宇宙軍所属戦艦"佐渡"の艦長である沢田家満大佐だ」
「船長のエル・サリーナです。今回はありがとうございました」
彼の画像は、メインモニターの4分の1を占拠していた。
いかめしい面構えで、私をキッと睨みつけているように見える。
「国民が危機にあると聞けば、止まっておらずにはおれないからな」
沢田がわずかに口角を上げながら話した。
「それよりも、宙賊を捕まえたと聞いたが…」
「ええ、3名ほど。ただし、1名はまだ船内のどこかに潜んでいるようなんで」
「それは大変だ。接舷したら、すぐに捜索隊を船内に派遣して隅々まで調べさせよう」
「おねがいします」
それから、私は損害について簡単に報告をした。
沢田は、そのことを聞きながら何かメモをしていた。
「そうか、分かった。本国へ伝えておこう」
「分かりました」
「それで、貴船はいつ接舷できそうか?」
「予測1時間です」
「了解した。ではその時に直接会うことにしよう」
沢田が言いたいことを言い終わると、向こうからすぐに切った。
「ということで、大佐の受け入れ態勢を整えておいてくれ。客室が開いていただろう。それと、佐藤少将にも通達しておいてくれ」
私は、すぐそばで通話をすべて聞いていたサヴァンにそのことを言った。
「分かりました。すぐにしましょう」
そう言うと、スールのところへ行き、受け入れ態勢について話し合っていた。
私はその間に、移送体制について砲兵長を船橋に呼んで話した。
呼び出しをかけてから5分以内に砲兵長は船橋へやってきた。
「どんな状況になっている」
私は砲兵長が来るとすぐに尋ねた。
「今のところ、あまり変わってませんね。仲間が助けに来てくれると思っているのかもしれません」
「一人だけ逃げだしているからな、早く捕まえないと……」
だが、私には今の時点でその策がなかった。