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第24章

「まだこの船の中にいるはずだ、探せ!」

私は、イワンフがいなくなったとわかると同時に、そこにいた砲兵員の面々に指示を飛ばした。

それから人質だったテールの元へ行き、今回のことを詫びた。

「申し訳ございませんでした。今回のことは、すべて私が宙賊を早期に発見、捕獲できなかったことにあります」

「いやいや、これまでこんな楽しかったことはなかったよ」

テールは立ち上がり、私の手を握って繰り返し言った。

「ありがとう、こんな体験をさせてくれて。本当にありがとう……」

私は、そう言い続けているテールを乗客長のスールに預けた。

捜索中のイワンフは別の人たちに任せることにして、私は、捕縛中の宙賊に会いに行くことにした。


とある会議室の中に、伊川たちが常に3人以上常駐できるようにし、上下左右前後に隣接している、廊下、部屋など会議室と接している場所には、5人以上の武器を有している乗務員たちに見張らせていた。

「どんな調子だ」

私は、すぐ外で見張っていた砲兵員に聞いた。

「船長、うんともすんとも言いません。何を言ってもダンマリを決め込んでいます」

「そうか、まあそんな感じだろうと思ったがな」

私は砲兵員に引き続きしっかり見張るように伝えてから、会議室の中に入った。


伊川、佐藤、北米条約連合のN・G・C中将が、それぞれ手に銃を持ち、捕まえた3人を見張っていた。

3人はパイプいすに縛られていて、動けないようにされていた。

伊川が、私が入ってくるとすぐに聞いた。

「船長、どうしたんですか」

「一応こいつらに伝えておかなきゃならないことがあってな」

私は、来ている制服の上着にある内ポケットから紙を取り出して、捕まえた3人に言った。

「本船は日本皇国に本社を置くエル社が所有しているため、本船に適応される法律は皇国の法律となる。その法律にのっとって、以下のことを通達する。一つ、火星に到着後、または日本皇国の軍艦が本線と接舷を果たした後に、速やかに、当局へ身柄を移すこと。一つ、現在の罪は、器物損壊、往来危険、住居侵入等、強要、身の代金目的略取等、威力業務妨害、強盗未遂である。一つ、本事案の主犯はドーン・テーンであり、共犯はカワセ・アーノルド、イワンフ・セカルド、山田機伝と認定する。一つ、現状にて、船長は裁判を起こす権利があるが、それを留保する。以上」

私は、元のポケットに、紙をしまいこんだ。

「ちゃんと通達はしたぞ」

私は彼らに言うと、部屋から出ようとした。

その時、ドーンが私に話しかけてきた。

「なあ、取引をしようや」

「残念」

私はドーンを再び見るために振り返った。

「日本皇国には重罪人、特に宙賊と取引をするための法根拠はないんだ」

一瞬驚きで満ちる表情をしたドーンを置いて、私は一気に部屋から出た。

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