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第10章

メールを見ると、一気に船橋へ向かう。

「遭難信号だって!」

入るやすぐに船橋にいる誰かに聞いた。

「ええ、それも、エル社の遭難信号です」

遭難信号には、所属会社名、船名、船籍、状況を知らせるための番号を繰り返し送るようになっており、信号を受け取ると、火星と地球の船籍地の政府に連絡がすぐに行くようになっている。

その信号を受信した船のうち、もっとも近くにいる船は、必ず救助に向かわなければならないという決まりがある。

「嶋山、この周囲にいる船は?」

「本船が最も近いです」

「では、救助に向かう。嶋山、最適コースを割り出すんだ。すぐに行くぞ」

私はすぐに、嶋山に指示を飛ばす。

それと同時に、機関室へ最大出力にするように伝えた。


普通なら1時間ほどかかるような距離だったが、最大速力となると、10分かからなかった。

「燃料を確認」

「水素、酸素ともにまだ行けます。燃料は十分ですよ」

サヴァンが、私に伝えてきた。

エンジンは、純水素と純酸素の混合気体を爆発させ、それをイオン化させたうえで後ろへ吹き飛ばすことによって推進力を得るタイプだ。

だから、水素と酸素のみをエンジンの燃料としていた。

「嶋山、周囲を探索。漂流しているものと見られる船は?」

「現在探索中です。1分ほど待って下さい」

あまりにも長い1分を味わうと、私は嶋山が答えるのを待たずに言った。

「サヴァン、もしもの時に備えて、救護長と砲兵長を呼んでおいてくれ。嶋山、結果は?」

「探索終了まで、5秒」

心の中で、カウントダウンを取る。

「探索終わりました。周囲に、救難信号を発しそうな物体は存在しません」

「そう、ならいいわ」

私は細く長い息を吐いて、安心しきって椅子に深く座り直した。

とたんに、非常ベルのけたたましい音が鳴り響き、あわててサヴァンに聞く。

「何があった」

「宙賊です。威嚇発砲をしたのちに、停船するように言ってきてますが」

非常ベルの音は、すでに消えているが、船橋中が真っ赤に染まっている。

「敵は何隻だ」

「1隻です。速力、武器、誰なのかも分かりません」

「停船はするな。そのまま走り続けろ」

私はサヴァンに伝えると同時に、島山にも言った。

「最大速力で駆け抜けるんだ。宙賊から一刻も早く逃げるぞ。同時に、当局にも連絡を入れておいてくれ」

「了解です」

嶋山はすぐさま経路計算を終えると、最短ルートで宙賊の船から逃げれるように船を調整しながら進み出した。

私は、それを見ながら、非常警報を解除するための措置に入る。

「お客様に申し上げます。当船は、宙賊に発見され、現在最大速力にて凍害注意記より脱出をはかっているところです。申し訳ありませんが、今すぐ、客室へお戻りになりますよう、申し上げます」

全船放送をかけると、砲兵長へ連絡を取る。

「砲兵長、宙賊が背後に来ている。万が一ということも考え、武器の準備を整えておいてくれ」

「了解しました。軍の方々についてはどういたしましょうか」

「彼らには、知らせない方がいいだろうが…もう知ってるだろうな」

私が話すと、船橋にあいつがやってきた。

「砲兵長、武器の準備は進めておいてくれ。軍属に関しては追って連絡を入れる」

「了解しました。武器の準備は進めます」

そういって、砲兵長との会話を切り、船橋に入ってきた伊川とその背後にいる軍属の方々を見た。

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