7.【好きの種類】
修司「いくにはよっぽどニカが輝いて見てんねんな?
まだ若いし外見がええに決まっとる!!竜二のアホ!!若いんやからこそ外見優先でええやろ!!」
俯く俺に修司さんが慌ててフォローに入ってくれるけど、どう説明しても俺が二階堂さんの外見に惚れ込んだだけのように思われてショックだ。
竜二「郁巳は元々男が好きってわけじゃないだろ?」
郁巳「た、多分……?俺恋愛とかしたことないし……」
修司「ぐぁー!!ピュアすぎる!!」
修司さんは俺の頭を撫でながら大袈裟に涙を拭くふりをしてるけど、俺の好きが疑われているようでモヤモヤする。
何で俺は二階堂さんと付き合いたいのかって……。
それはもちろん、好きだからなんだけど。
好きだから付き合いたいって思ったんだけど……。
シンプルな気持ちがなぜか今はぐるぐると頭の中で
絡まり合ってうまく言葉にできなくなる。
竜二「……まぁ、とりあえず1番最初に戻すけど、
ニカはわざとお前に連絡してないんだよ」
郁巳「わ、わざとと言うと……?」
竜二「付き合うって言ったのは口だけで、ニカはお前のこと別に好きでもなんでもないんだろうな」
郁巳「えぇ!?」
ハッキリと言い切る竜二さんに俺は思わず声を上げてしまった。
でも確かに、二階堂さんに好きだと言われてないし……俺も言ってない。
付き合ってとだけ言っただけで、お互いのこともよく
知らないままだ。
修司「待て待て竜二!その言い方はあかんやろ!?
……あのな、嫌いって意味ちゃうねん」
修司さんが竜二さんの頭を思いきりどついた。
修司「俺らもいくの真っ直ぐで一生懸命なとこが大好きやで。 ニカも……きっとそれと同じや。〝好き〟の種類がちゃうだけやねん!」
それじゃあやっぱり、二階堂さんは俺を好ましいただのアルバイトくらいにしか思ってないってことか?
俺は……二階堂さんに出会って人生が確実に色付いたのに。
名前を呼ばれるだけで胸は高鳴るのに。
目の前にいる圧倒的な存在に必要とされるだけで俺は
俺自身が特別な存在みたいに思えたのに。
郁巳「でも、俺ちゃんと二階堂さんのこと……」
竜二「多分だけど、お前の中でニカがものすごく美化
されてて理想化されてると思うんだよな」
竜二さんが言うには華やかさやオーラがある人は、最初は〝完璧そう〟に見えるから、恋愛のドキドキ感や憧れを掻き立てるらしい。
竜二「内面を知る前は夢や理想を投影しやすいんだよ」
修司「んー……にしても俺ならすぐ振るけどなぁ」
竜二「俺は17時待ってくれって言うな」
修司「何そのワンクッション、待った先はどうなんねん」
竜二「断る。一応誠実さをアピールしないと」
修司「小賢しい!!」
ふざけ始める2人に俺は心が追いつかない。
ちゃんとした好きも、ちゃんとしたお付き合いも俺にはまだわからない。
でも二階堂さんに対するこの胸の昂りはどう表現したらいいんだろう。
これが〝好き〟じゃないなら、一体何なんだ?
言葉にできない想いが、ぐるぐると頭の中で渦を巻く。
修司「まぁ、よーく色々考えや?さーそろそろ店開けよか!」
その声に背中を押されながら、俺はまだ、答えの見えない気持ちを抱えたままだった。




