第3話:出発
スエキチの魂は、新たな旅立ちに向けて光の中を進んでいった。やがて彼の意識は新しい場所で目覚めた。その場所は、彼がかつての人生で見たこともないような美しい光景だった。緑豊かな丘、澄み渡る青空、温かな陽射しが彼の体を包み込んでいた。
「ここは…どこだろう?」スエキチは独り言をつぶやいた。
その時、優しい声が彼の背後から聞こえた。「ようこそ、新しい世界へ。」
振り返ると、そこにはまた別の光り輝く存在が立っていた。先ほどの幸運の神とは違うが、同じように神々しいオーラを纏っている。
「あなたは…誰ですか?」スエキチは尋ねた。
「私はこの世界の案内者、アウラと言います。あなたの新しい人生を始めるためのお手伝いをするためにここにいます。」
「新しい人生…」スエキチはその言葉を反芻した。「僕は幸せな人生を送ることができるんでしょうか?」
アウラは優しく微笑んだ。「そのためにここに来たのです。あなたの過去の行いは大きな善行でした。助けた子供は、あの世界を変えるほどの偉業を成し遂げる運命にあります。そして、あなたの運が不運だった原因についても調査中です。その報いとして、ここで新たなチャンスが与えられます。しかし、それがどのような形になるかは、これからのあなたの選択次第です。」
スエキチは深く息を吸い込み、目の前に広がる可能性に胸を躍らせた。「僕は前の人生でたくさんの苦労を経験しました。でも、その中で学んだことも多いです。この新しい人生では、それを活かしてもっと良い生き方をしたいと思います。」
「その意志が大切です。」アウラは頷いた。「この世界では、あなたが望む未来を一から自らの手で作り出すことができます。さあ、始めましょう。」
スエキチはアウラの導きに従い、最初の一歩を踏み出した。彼の心には、希望と決意が満ち溢れていた。
数日後、ある村の井戸近くに「ユウキ」と名前が記載された籠なかに黒髪の赤子が置かれていた。そんな赤子を発見した村人は、村長に相談をしに向かった。
一方、幸運の神はユウキを見守り続けていた。彼の目には、「これからの彼の人生は、きっと素晴らしいものになるだろう。私が見守っているのだから」と映っていた。
こうして、スエキチ改め「ユウキ」は新たな幸せを見つけるための生を受けた。彼の心には、常にあの光り輝く存在の言葉が刻まれていた。「次の人生では、幸せな運命が待っている。」