第2話:分岐点
「お前は何故ここにいる?」
目の前には、自ら光り輝いていて直視できない人が立っている。
何故といわれても、自分には全く理解ができていない。「気づいたらここにいました」と答えることしかできない。
子供を庇って車と衝突して今までの走馬灯を見ていると思ったら、目の前には眩しくて直視できない人が現れた。眩しいので薄目で見ていると、その人は何やらボソボソと言いながら、何かを確認している様子だ。
自分は暇なので、状況を理解しようと目をこらしてその人の動きを観察した。彼の手には、大きな巻物のようなものがあり、それを広げて指でなぞりながら、何かを探しているようだった。
「お前の名前は…末吉スエキチ、そうか。」光り輝く人はそう言って、巻物から顔を上げた。「お前はこの世で数奇な運命を辿ったが、その行いによってここに導かれたのだ。」
「ここはどこですか?」スエキチは尋ねた。
「ここは中間の場所だ。生まれ変わりの輪廻の前に、魂が次の行き先を決めるための場所だ。」
「次の行き先?」スエキチは不思議そうに繰り返した。
「そうだ。お前の人生の行いを見て、次の人生をどう生きるかが決まるのだ。お前の行いは子供を庇って命を落とすという、自己犠牲の精神を示した。これは大いなる善行だ。しかし何故お前の運値はそんなに酷い数値なのだ…何かの不具合…何者かの干渉…」
スエキチは少し驚いたが、同時に安心感も覚えた。「それならば、次の人生はもう少し幸せになれるのでしょうか?」
光り輝く人は微笑んだように見えた。「その望みは正当だ。次の人生では、幸せな運命が待っていることを約束しよう。しかし、それはお前自身の努力と善行によって築かれるものだ。覚えておくがよい。」
スエキチは深く頷いた。彼の魂は、新たな旅立ちに向けて、希望と共に進んでいった。
輝く人はその後姿を見つつ、何故この場所に来たのか…何故あのような運命を背負っていたのか…今後自分が見守ることを決意した。
輝く人はこの世界では幸運の神と呼ばれている。