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『おはようから始まる国づくり』シリーズ

女の子の気持ちがわかる僕が送る、推し同士の引っ付け計画。まあ、姉ちゃんも男の子の気持ちが分かるんだけどね……

作者: 高坂静

 さてと、夕方の仕込みの手伝いも終わった。


「お父さん、行ってくるねー」


「おお、車に気をつけてな」


 僕の名前は中山海渡(なかやまかいと)、街で人気のお惣菜屋さん、中山惣菜店の三代目になる予定の高校三年生だ。


 時間は……おっと、急がなくちゃ。

 春休みでいつもより人が多いアーケードを抜け、港へと急ぐ。






「ゴメン。遅くなった」


「いえ、先輩。僕もさっき来たところです」


 (あおい)は真面目だから、時間前には確実に来ている。だから、少しは待っているはずだけど、そんなことをおくびにも出さない。さすがは僕の弟子だ。


「それじゃ行こうか。ここの3階だから」


 僕たちは港の前にある大型複合商業施設に入り、目的の店まで向かう。ここのお店に目的のものがあるのはリサーチ済みだ。あれを渡せばきっとイチコロだろう。


「げ、姉ちゃん」


 すぐに目の前で人込みに隠れちゃったけど、確かに(なぎ)姉ちゃんと碧の姉で僕の彼女の(ゆい)ちゃんが歩いていた。困ったな、このままだと鉢合わせしちゃうかも。


「ねえ、碧。今日ここに来ることを唯ちゃんに言ったの?」


「いえ、何も言わずに出てきました」


 碧は小さい頃病弱で入退院を繰り返していたと聞いている。そのため、唯ちゃんは弟の碧のことを心配してよく一緒に出掛けていたんだけど、最近ではそれも少なくなったはずだ。今では碧がすっかり元気になったからね。


「ということは、偶然か……」


 いずれにしろ、見られたら都合が悪い。


「碧。時間は大丈夫?」


「はい」


「それじゃ、ちょっと海を見に行こうか」


 二人で店を出て、海岸へと向かう。






 港ではちょうど離島からの船が到着していて、乗客が下船の準備を始めていた。


 お迎えの人たちも集まってきているから、落ち着かないかな……


「人が多くなりそうだから、別の場所に行こうか」


 碧にそう言い、振り向こうとしたとき、


「海渡、碧君連れて何してんの?」


 ね、姉ちゃん。まずいところ見つかっちゃったな……


「え、いやー、さ、散歩かな~」


「わざわざ、こんなところで?」


「う、うん。たまには海が見たくなるよね……」


「そこらじゅう海じゃない」


 さて、どうしよう。なんだか唯ちゃんもこっちの方を見てくれないぞ。まずいな……。


「凪さん。僕がお願いしたんです! 海渡先輩に選んで欲しくて……」


 そうそう、今日は碧から頼まれたからね。って、なんか言い方がおかしくなかった?





 ややこしくなりそうだったので、事情を話す。


「え、私の? ……それじゃ私たちと一緒か」


 ん、ということは唯ちゃんもそうだったの?


「もう隠しても仕方が無いから、みんなで一緒に行きましょう」


 結局四人で目的のお店まで行くことになった。







「海渡先輩。どれがいいでしょうか?」


「うん、姉ちゃんはこういうのが好きみたい」


「それじゃ……これにしよう」


 碧は、猫の図柄の入ったコースターを持って姉ちゃんのところまで向かう。先輩が飼っていた猫がいなくなって、寂しそうだったんだよね。


「凪さん、これどうでしょうか?」


「可愛い! 碧君ありがとう」


「わかりました。買ってきます!」


 一時はどうなることかと思ったけど、これで姉ちゃんと碧の仲も進むはずだ。


「海渡さん。これ、どうですか?」


「あ、唯ちゃん。ほんとにいいの? 嬉しいよ」


「はい! 買ってきます!」


 あはは、姉ちゃんたちも誕生日のプレゼントを探していたなんて、やっぱり考え方が似るのかな。


「海渡の姿が見えたから、時間をずらそうと思って海に行ったらそこにいるんだもん。隠れる暇なんてなかったわよ」


 僕と姉ちゃんは双子だから同じ誕生日。唯ちゃんと碧はそれぞれのことを良く知る僕たちにアドバイスを求め、僕たちはそれぞれが好きそうなものが売っているこの店にやって来た。

 結局同じようなものが好みだから一緒になったんだね。それに、避けようとして移動した場所も同じとか、ほんとよく似た双子だよ。


「姉ちゃんは碧の事は嫌いじゃないんでしょ?」


「え、……うん」


「だったらさ、さっさと結ばれちゃえばいいのに」


「だ、だって、碧君はまだ小さいから……」


「大丈夫だって、背はどんどんと高くなっているし、ちゃんと使えるから」


「使えるって……だから、なんであんたが知ってんのよ!」


「うふふ、教えなーい。男の子のひ・み・つ♡」


「海渡!」


 先輩たちがいない間に姉ちゃんと碧をくっつけるって約束したからね。

 学校の友達は、好きなアイドルを追っかけたりしているみたいだけど、僕はこの二人のことを見ている方が楽しいな。だって、将来は家族になるんだよ。気心が知れた仲間の方がいいに決まっているじゃん。


「ね、姉ちゃん痛いって、ほら、二人が来るよ。ねえ、二人ともー、お茶して帰ろうか」


「「はい!」」


 さてと、姉ちゃんたちはもう一押しって感じかな。勉強も大変だけど、これだけは止められないね。


あとがきです。

「海渡です」

「凪です」


「姉ちゃんと碧もいい感じになって来たね。やっぱりサーシャとの結婚が決まったからかな」

「そ、それは……どうでもいいでしょ! それよりもあんた、碧君に余計な事を教えてないでしょうね」

「余計な事って、女の子の秘密とか?」

「!」

「あはは、心配しないで、それは言って無いよ。それはね」

「私の碧が……覚えておきなさいよ」

「さっさとしないから。それに姉ちゃんだって、リムンの時にはテムスに色々と教えているんでしょ。ソルさん、頭抱えていたよ」

「いや、だって、下の子に教えてあげるのは、一緒の部屋の年上の役目だから仕方なく……」

「ふーん、男部屋のことはわからないけど、やっぱりそうだったんだ」

「し、しまった!!」


「皆さん最後までお読みいただきありがとうございました。僕たちは普段は『おはようから始まる国づくり』という物語で、地球とは別の世界の生活を良くしようと頑張っています」

「私はリムンという男の子として」

「僕はルーミンという女の子として毎日地球と切り替わりながらね。ご興味のある方はそちらもお読みください。ちなみにアドレスは

https://ncode.syosetu.com/n6547ha/ です」

「さて、そろそろお時間のようです」

「それでは皆さん」

「「またねー」」


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