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43話 夏休みの予定は?

 放課後、ミニライブを終えた私たちはジェイミーの車で基地に向かう。


「ふぅ……今月のミニライブも、もうこれで終わりかぁ」


 7月に予定されているお仕事はこれで終わりだ。


「来週から夏休みだけど……なんか嫌な予感しかしないよね」


 隣に座るハルカがそんな事を呟く。


「まぁ、たしかに」


 基地に呼び出される時点で、何かあるんだろうなとは思うけど……


『エメリア王国との国交回復より、今年で50年の節目を迎え……』


 車のラジオからニュースが流れる。エメリア王国。蒼グレに登場する、シベリア東部に存在する国。もちろんこの世界にもその国は存在する……


「夏休みも忙しそう」


 と、ハルカ。


「まあ、私ら戦乙女だし……」



 そんな会話をしているうちに、基地にたどり着く。車を止め私たちはまず小隊専用の格納庫に向かった。



「んー、いつ見ても惚れ惚れするくらい綺麗なカラーリングだね」


 格納庫内にある五機の機体を見る。"XA-51リゲル"、"A-50ピーコック"、そして晴嵐が二機。さらに……


「はぁ……なんで私だけ?」


 お馴染みの紫雲・丙型。ただし前とは違い、深く蒼々としたカラーリングに染められている。


「晴嵐の配備が間に合わなかったのよ、仕方ないでしょ」


 と、エリナ。



 実は南沖島より帰還した後、小隊には新たに二機の晴嵐が配備された。そのうちの一機はエリナの紫雲と入れ替わる形でこちらにやってきた。そして後の一機は……


 チラリとその晴嵐を見る、肩には夕日をモデルにしたパーソナルマーク。


「私よりアカネ優先とか……」


「しょうがないでしょ、あの娘あなたより確実に強いんだから」


 慰めるような声色のジェイミー。


『今のマスターに晴嵐は扱いきれないでしょう、機種転換は時期尚早です』


 紫雲から聞こえるシリウスの声。


「アビオニクスを最新型のものにアップグレードして専用の長距離標準装置も載せてあります、あの紫雲でも充分戦えますわ」


 エリナが私の紫雲を見ながらそう言った。小隊の戦人機について、一番深く詳しく把握しているのは彼女だ。


「そもそも、あなたはスナイパーなのですから。あの機体でも仕事は可能でしょ」


 たしかに、基本スナイパーは派手な格闘戦はしないし……


「まあ、専門家さんがそう言ってくれるなら」


 間違いはないのだろうけど……



 そうして、その後。私達は司令室に向かった、一体今度は何を言い渡されるのだろうか。


「失礼します」


 ドアをノックし中に入る。


「あ、お姉ちゃん!」


 部屋の中にはアカネがいた。


「今日の訓練はどうだった?」


 私は彼女にそう問いかける。アカネはここ最近、基地内のシミュレーション設備を使い、戦人機の訓練を行っている。


 正直訓練なんかしなくても充分なんじゃ……とも思ったけど、まあ正しい連携や運用を知る上では必要な事という理屈らしい。


「ふふん! ばっちり! もう完璧だよ!」


 自信満々な様子のアカネ。


「よしよし、えらいえらい!」


 ハルカが彼女の頭を撫で褒めてあげる。


「えへへ……」


 嬉しそうなアカネ。


「やあ、みんな揃ったわね」


 と、外を眺めていた千駄木司令が。クルリと椅子を回しこちらに視線を向ける。


「今日もミニライブお疲れ様、いやぁ"Shooting Star!!!"の活動も順調そうでなにより」


 嬉しそうな指令。


「小隊の戦果も上々、ステラ計画はまさしく順風満帆と言ったところだね」


「はぁ……」


 なんだか、気持ち悪いくらいに褒められてる。


「それで、要件は?」


 エリナが司令に問いかける。まさか私たちを褒め称える為にここに呼び出したわけではないだろう。


「あぁ、それなんだけど……貴方達小隊の夏休み中の予定について話しておこうと思って」


 やはり、そういう理由だったか。


「まず来週だけど、みんなには石川県の小松基地に行ってもらいます」


 初っ端から石川県に……一体何をさせられるのだろうか。


「小松基地……」


 エリナが微妙な声色でそう呟いた。なにやら含みがあるテンションだけど……


「私たちはそこで何を?」


 と、ハルカ。


「貴方達は、この数ヶ月でそれなりに戦えるパイロットに育ってきてはいます……だけどまだまだ、特に完全ど素人状態からパイロットを始めたマイとハルカ」


 そこで、私とハルカを交互に見る司令。そしてエリナにも視線を向ける。


「あと理論は完璧でも機体操作がまだまだ心配なエリナ」


 ……いきなりのダメ出し。まあ確かに私とハルカはパイロットとしてはまだまだだろう(特に私)。


 ハルカの操縦技術はズバ抜けているけど。連携や戦況判断の面で言えば先輩(プロ)たちには及ばないだろう。


「ジェイミーは特に言うことはありません、よくみんなを引っ張っていってくれています」


 最後にジェイミー。まあ彼女は最初からプロだったので当然だろう。


「石川、小松基地には日本最強、世界でもトップクラスのアグレッサー部隊がいます」


 唐突に話題を変える指令。小松基地にいる最強クラスのアグレッサー部隊……もしかして……


「みんなには、飛行教導群の特訓を受けてもらいます!」


 そうきたか……

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