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32話 MUSIC START

『君たちの話は色々と聞いている、改めてよろしくお嬢さんたち』


 先行するファフニール隊、その隊長機から通信が入る。


「は、はい!」


 答える私。ファフニール隊の隊長さんとは初日に顔を合わせている。気さくな40代くらいのオジサンと言った感じで如何にもベテランな風格が漂っていた。


『作戦域に重力子雲も発生を確認、高度制限は200フィート』


 管制から指示が入る、200フィート。自由に飛び回るのはキツそうだ。


 私はスロットルを倒し高度を下げる、蒼ヶとした海面が近づいて来た。


 空を見上げる、一見すると普通の青空なのだが……


『海上での戦闘は陸上とは勝手が違いますからお気をつけて、作戦域には小規模の無人島が存在しますので狙撃の際はそこを足場にするといいでしょうマスター』


 と、マップ上に記された無人島が強調するように輝き出す。


「オッケー……あと1分……」


 作戦開始時刻の一三〇〇であと1分。作戦が始まったらまずファフニール隊が敵ゴーストの攻撃射程圏外から対空ミサイルで雑魚の数を減らす。その後、一気に接近して残った雑魚と本命を叩く。


 私たちは戦術戦技により本命の弱体化、またファフニール隊の支援が目的である。


『ねぇ、マイちゃん』


 と、そこにハルカからの通信。


「どうしたの?」


 ワイプに表示されているハルカの表情は微妙なモノであった。


『さっきさ……やっぱいいや、なんでもない』


「なにそれ、気になるんですけど」


 一体どうしたと言うのか。


『南沖島基地より、作戦開始時刻です。攻撃を開始してください』


 そこに、基地からの通信。


『時間ですマスター、ファフニール隊が攻撃を開始しました』


 シリウスの報告により会話は遮られる。後で聞けばいいか……


 私はモニター越しにファフニール隊の晴嵐たちを見る。彼らの飛行ユニット翼下に懸架された対空ミサイルが一斉に放たれる。


 発射されたミサイルは"AAM-I"標準的な多用途空対空ミサイルだ。


 そうして数十秒ほど……


『アルファ級、半数を撃墜。このまま突っ込むぞ、試験小隊は戦技(ライブ)の準備を』


 ファフニールリーダーからの通信。彼らの晴嵐はアフターバーナーを使用して一気に加速を始めた。


『私達も行くわよ!』


 ジェイミーの声。


「了解……!」


 そうして、目標に向かい一気に接近、視界にゴーストが見えてきた。ファフニール隊が格闘戦を開始する。


『位置につくわよ!』


 ジェイミーの指示に従い、私たち試験小隊は距離をとりながら、シータ級を囲むようなフォーメーションを取る。


『正面にアルファ級二体!』


 レーダーを確認、ガンの射程距離だ。デフォルトでは短機関砲が兵装選択されている。私はこのままトリガーを引いた。


 パララララララ……!


 翼下に懸架されたままの短機関砲から30mmの砲弾がばら撒かれる。


 砲弾は一気にアルファ級に向かい、その身体を引き裂いた。


「……ギュ!」


 形容し難い断末魔をあげて霧散するゴースト。今更ではあるが、ゴーストは倒されると霧のようになって霧散する、相変わらず訳の分からない生き物だ。


『作戦は順調に進行、アルファ級はほぼ撃滅、残りは本命のみです』

 

 流石熟練のファフニール隊、私達とは動きが違う……


『……! シータ級から攻撃標準波を検知!』


 と、それまでのそのそと飛んでいたシータ級がいきなり攻撃の意思を示した。


「……っ!」


 モニター越しにシータ級を捉える。その大きな背中から誘導弾のようなものが垂直発射された。


『VLS付きとは聞いてたけど……! 各機散開運動!』


 私は機体を反転させ回避運動を取る、即座にフレアを射出、ゴーストから発射されるミサイルのような物は熱源誘導だとされている、だから……


 ドゴォォォン……


 私に向かってきた誘導弾のうち二つは熱源を感知し炸裂。


「あと一個……!」


 まだ一つ引き残ってる、私は左にブレイクしてそれを切り離す。


 熱源を見失った事で、そのまま海面へと落下していく誘導弾。


『みんな無事みたいね』


 エリナの声。周りを見渡す、被害を受けた機は存在しないようだ。


『小隊各機、再度アタックポジションにつくわよ!』


 ジェイミーからの指示が入る。


『戦術戦技(ライブ)に最適な位置を算出しました、誘導を開始します』


 シリウスのサポートが入る、私はその通りに機体を動かした。


 そうして私達はシータ級を囲むようなフォーメーションを取る。


「おっきい……」


 こうして近くで見ると、シータ級はとんでもない大きさである事がわかる。


『ミュージック4、位置についたわ』


『ミュージック2、こっちもついたよ!』


 各機がそれぞれのコールサインで配置についたことを報告する。今更だけど私達ってまだTACネームを決めてないんだよね……


「ミュージック3、配置オッケー!」


 私も位置についた事を通信で報告。


『音響増幅装置を起動します、トラックより使用楽曲を選択、使用楽曲は"Shooting Star!!!"です』


 モニターに"Shooting Star!!!"の文字が表示された。


『それじゃあ……Music Start!!!』


 ジェイミーの声、そうして私たちの戦技が始まった。

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