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24話 アドバイザーと体育祭

 結局、その(あと)は区内をぶらぶらと探索。なんだかダラけた一日になってしまった。まあたまにはこういう一日も良いだろう。


 そして丁度、放課後あたりの時間になり私たちは基地に向かった。


「それで、用事というのは……」


 基地司令室に入った私達、ジェイミーが早速本題について質問した。いや、その前に……


「赤坂さん!? 何であなたがこんな場所に!?」


 司令室には何故かあの赤坂エリナがいた……何で!?


「ふん……綾瀬マイ! ありがたく思いなさい!」


 なんだコイツ、いきなりなんなの……


「えっと、司令、どういうことですか?」


 ハルカが冷静に千駄木司令に問いかける。


「うん、彼女は小隊の新メンバーになるから」


 え?


「ど、ど、どういう事ですか!?」


 状況が全く読めない、一体どういう事なのであろうか。


「ふん、情けないわね、少しは落ち着きなさい」


 だからこの人はなんでこんなに偉そうなんだよ……


 その後、混乱する私達を宥め、千駄木司令が詳しく説明してくれた。


 曰く、彼女は赤坂重工から派遣された戦人機に関してのアドバイザー。なんと驚くことにエリナは戦人機に関してのスペシャリストであり、"二式戦人機 晴嵐"の基礎設計にも携わっているそう。


 よくよく考えたらこの人、蒼グレでも戦人機のアドバイザーとしてある程度小隊と関わっていたんだっけ……完全に忘れてた。


 そうして、ここからが重要。彼女はなんと"ステラ因子"持ちであった。小隊に入るということはつまり……


「赤坂さんが戦乙女(アイドル)に……?」


 なんという急展開、というか初出撃もまだなのに追加メンバーって……


「感謝しなさい! このワタクシが入れば百人力ですわ!!」


 ま、マジですか……



〜〜〜〜〜〜〜〜



「ふぅん……さすがに戦人機については知り尽くしてるみたいだね、操縦も並レベルには出来てるわ」


「並レベル!? そんなはずありませんわ! ワタクシの実力ならもっと……」



 私達はあの後、エリナの機体操作を見るためにシミュレーションルームに来ていた。彼女の機体操作はそこそこ。いや……私より上かも?



 で、次は歌とダンスを見るために隊舎に移動した、そして早速実力を見せてもらったんだけど、そこで大問題。



「ちょっと、そこのステップは……あっ!」


「いたっ!」


 ゴツン、とお互いの頭をぶつけてしまった。


「ちょっと! 綾瀬マイ! 何をしているんですの!」


 怒り出すエリナ。

 

「はぁ!?いやいや、怒りたいのはこっちなんだけど……」


「……2人とも絶望的に息があってないわね」


 呆れ気味にそう言うジェイミー、ハルカは「あはは……」と苦笑い。


 "Shooting Star!!!"の振りと歌を頭に入れてきたと言ったエリナ、1人でやらせてみたらまあまあ悪くなかったんだけど……2人用のフォーメーションで私と合わせてみたらこの通り。


「Bパートの位置どり、明らかに赤坂さんがおかしかったんだけど!?」


「あなたがもう少し柔軟に対応すればいいじゃない!」


「は、はぁ!? なにそれ!」


 ダメだ、やっぱりこの人とはどうしてもソリが合わない。上手くやっていける気がしない。



「大丈夫かなぁこれ……」


「はぁ、困ったわね……」



〜〜〜〜〜〜〜〜〜



 そして翌日、結局昨日はあの後ハルカが仲裁に入って、少し落ち着いた後すぐに解散となった。あれ以上やってら余計酷い喧嘩になりそうだったし。


「えっと……綾瀬さん?」


 赤坂エリナ……本当あんな娘が小隊入りするとかこれから大丈夫なのか……?


「綾瀬さん!」


 ん、学級委員長から呼ばれている。あ……今は体育祭の出場競技について話してたんだっけ。体育祭……もうそんな時期か……


「あ? 何?」


「ひぃ……!」


 呼ばれていることに気が付かなかった。というか今の返しよくないな……ただでさえクラスメイトからは怖がられ距離を置かれてるのに……


「えっと、何か?」


「あの……綾瀬さんだけ出る競技……」


 あぁ、完全にスルーしていた、思考の外だった。なにせあの赤坂エリナのウザさについて考えていたから……


「んなの、余ったとこでいいよ、何でもいい」


「は、はい……では綾瀬さんは赤坂さんとペアで二人三脚と」


 え……?


「ちょ、はぁ!!??」


 ガタン! とおもいっきり立ち上がったせいで周りの席の()たちが物凄くビクンとしてた、いやそんな怖がらなくても……ってそれより!


「ちょっとどういう事!?」


 なんでエリナとペアになってるの!?


「え……いや、余った所でいいって……」


 ビクビクしながら答える彼女。なんだか申し訳なくなってくる。私ってそんな不良っぽいの?


 いや、それより! 確かにそう言ったけど! 余った所で良いって言ったけど! まさかエリナとペアを組まされるなんて、ていうかそのエリナは……


「いない……」


 私の前の方の席を確認。エリナは私の2つ前の席だ。でもその席は見事に空席であった。


 あ、そうだ。そういえば昨日、今日は仕事の都合で休むとかなんとか言ってたような……


「2人して余ったところに放り込まれたわけ……」


 私はチラリとハルカの方を見た、苦笑いする彼女。


 ……前途多難だ、色々と。

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