表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界モノ作りアングラー  作者: 砂野ちや
第1章 ミステイク
7/294

7 オーク

 柿沼さんが部屋にやってきた。

「明日でこの訓練所も最後だからな、パーティやろう。裕介明日は魔物を狩りに行くぞ」

 パーティと聞いてぱあっと気持ちが明るくなる。俺たちもパーティが出来る身分になったんだ。


「魔物を狩って、どうするんですか?」

「決まってるじゃないか、食うんだよ」

 これだから脳筋は困るよ。

 チッチッチ、獣イコール食べ物だと思っている。


「お前まさか、『魔物なんてユースケ食べれな〜い』なんて思っているんじゃ無いだろうな?」

「そりゃそうですよ。だって魔物ですよ」

「バカかお前。今まで二年間、この訓練所で食って来た肉は何の肉だと思ってたんだ?」

「まさか…」

「魔物に決まってるだろうが、この訓練所の資金で高けえ肉を毎日食えるかよ。冒険者ギルドに持ち込まれた、カス肉に決まってるじゃねぇか。ジビエだよジビエ」


 知りたくなかった事実を知らされた。魔物の肉って大丈夫なのか?いや、二年食って何も問題ないけど…


「裕介、早くこい」

 柿沼さんに呼ばれる。うー、足が重い、気が重い。

「俺は何度か、先輩兵士たちと狩りに来てんだ、解体の仕方も教えてやっからよ」

 いや、だから気が重い。しかもそのあと、食うんだから。


「なんでだよ、お前も魚釣って裁いて腸取って食ったことあるだろ、何が違うんだ?」

「確かに、柿沼さんの言うことはもっともだけど、豚どころか鳥ですら殺したことがないし、二足で歩いて来るって言うじゃないですか?いきなりハードル高くないっすか?」

「なんでも、怖いのは最初だけだって、慣れっからよ。早く来い」


 兵舎からは随分離れた森の近くまでやってきた。

「俺が追い立てるから、お前がバッサリやってくれ」

「へっ?・・・お、俺がやるんですかい?」

「お前、なんだか語尾が江戸の町人みたいになってるぞ。ワハハ、じゃぁ、頼んだぞ」

 じゃぁって、そんな乱暴な。剣は兵舎の砥ぎ場で良く砥いではきたけど。


「うーりゃりゃりゃ~!!」

「待ったなしですかい!」

 俺は剣を抜いた。身の丈二メートルはある、牙の生えたでっかい豚がこん棒を振りかぶって、二足でこっちに走ってくる。

「こんなの、無理無理!ヒー!」


 俺は魔力で、オークの走って来る前の土を液状に変えた。ズボッ!!オークが落とし穴に落ちたところで土を硬化させる。

 オークはヘソの上あたりまで土に埋まり、ブヒブヒと怒り狂ってこん棒を振るっている。土からは出てこれない。

 俺はオークの手の回らない後ろ側に回り込み、剣を振るった。ゴキッ!剣はオークの首の骨に当たって止まったが、頸動脈を切ったようで、血がブシャーっと噴水のように吹き上がる。

 やがてオークは静かになって動かなくなった。


「おー!やったな。血抜きも完璧じゃねぇか。でも何で埋めたんだ?掘り起こすの大変だぞ?」

「無茶言わないでください。あんな凄いのをけしかけて。」

「まぁ、怒るなって、お前の弱点を強化してやろうって思ったんだから。お前相手を殺すのをためらうだろ?これからは、本当の殺し合いになる。一瞬の躊躇いが自分の命取りになるぞ。そこは良く肝に命じとけよ、しかも、これからは人間相手だかんな。もう、ここは日本じゃなんだぞ」

「はい・・・」

「じゃ、掘り起こすか。手伝え。」

「いや、それはたぶん大丈夫ですよ。」


 俺の土魔法は、かける範囲と、深さと性状の具合をイメージで行う。

表面だけ性状を変えたい場合はやさしく、フェザータッチで、今回のようにオークを生き埋めにする場合は、大きな手でごっそりと土を掘る感じで、決まった固体のみを変化させる場合はそれを持つイメージで行う。


 今のところ個体のみに有効で、元々、液状や気体の物は固体に変えたりすることは難しいが、自分で液体に変えたものは、元のイメージがあるので戻すことが出来る。気体に変えてしまうと、霧散するので元に戻すのは無理だ。


 俺は再び魔法で、オークの周りを今度は大きめに液状化する。すると、オークの身体はぐらりと揺れ自然に液体状の土の上に浮いてきた。オークよりも土の方が比重が重いのだから当然と言えば当然だ。土を固体化して、オークが沈んでいる部分の土だけ気化させる。後はクリーンナップ魔法で飛び散った血やオークの死体を綺麗にした。


 ちなみに、この世界の魔力を持つ人が使える、小さな火や水、クリーンナップなどの生活魔法は治癒魔法と同様に俺でも使える。だからこの世界には、水道もガスも箒すら普及していない。


「お前、便利な奴だなぁ~」

 柿沼さんは、これでも褒めているつもりらしい。

 柿沼さんにナイフを渡され、言われる通りにオークを解体して食肉処理をしていく。やることは魚と同じだと思ったが、腸や血の量と匂いに何度か吐きそうになりながらも、なんとか肉の塊に出来た。


 じゃぁ、後の残骸はまとめて俺が焼いてしまうからよ。安全な開けた場所にまとめると、柿沼さんの高火力の火魔法で一気に焼いてしまった。肉は大きな葉っぱに包んで、背負ってきた籠に入れて持ち帰る。と言っても全部で重さ五十キロくらいあるので、二人でだけど。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ