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65 ルアー

「頭が痛い…」

 裕介は目を覚まし、隣で寝ているセフィアを見る。昨夜、セフィアの魔力を身体に受けて以降の記憶がないのだ。おまけに二日酔いのように、身体が重く、頭が痛い。裕介は自分で自分に治癒魔法をかけた。しばらくしていると体調が戻る。

「さぁてと、今日はルアーを作るかな。その前に、ベイトリールを組み立てておかないとな」


 セフィアも目を覚ましたようだが、布団の中で目から上だけ出して裕介を見ている。

「おはよう! 起きたか」

「うふふ」

「どうしたことか、昨夜の記憶がないんだ」

「荒々しいあなたも、素敵でしたよ」

「何、言ってんだよ? 夢でも見たのか? じゃぁ、今日はルアーを作るぞ」


 話には聞いていたが、本当に裕介は昨夜のことを覚えていないんだと、セフィアはちょっぴり残念に思った。

「ルアーって何ですか?」

「魚を釣る餌の代わりに使う、小魚をモチーフにした模型みたいなもんだ」

「あの毛が生えた鍼ですか?」

「あれはフライだ。毛鍼ともいう」

「ルアーは水中を泳ぎまわる小魚みたいな感じだな。それを大きな魚が、バクっと!」

 裕介は、そういいながら、セフィアに覆いかぶさる。

「キャー!」

 二人は、おはようのキッスをして布団から出た。


 金属製のスプーンというルアーは、銀や銅、亜鉛メッキで既に幾つか作っている。これまではそれをキャストして操作できるラインとリールがなかった。

 サファイアラインも出来たし、ベイトリールもロッドも出来た。思う存分にルアーをキャスト出来る。

「セフィア、春になったらここを引き払って、ゲルトに移ろうかと思ってるんだ」

「気力が湧いてくるように、なったのですか?」

「あぁ、この村とお前のお蔭で、もう旅に出ても大丈夫なくらい気力が出てきた」

「あぁ、それは良かったです」


「それで、この国を離れる前に、いろいろ整理というか、やっておきたいこともあるので、一年ほどゲルトに滞在しようかと思っているんだ、いいかな?」

「いいも何も、私はあなたの決めた通りについて行きます」

「それで、川を下って釣りをすることになると、ここより川幅がずーっと広くなるだろ?」

「ええ、そうですね、ゲルトの辺りはかなり広くて深さもあります」

「そこで、ベイトリールとルアーの出番なんだよ」

 と言われてもセフィアにはピンと来なかった。


「今までのテンカラや餌釣りじゃ、竿の長さを入れても十メートルが限界だった。水深も深い場所では難しい。つまりは、川の上流専用の釣りだったんだ。中流や下流になると、三十から五十メートルあるいは、百メートルは飛ばさないと魚のいる場所まで届かない。船で狙う場合もあるけれど、深さがあるので、思う深さも狙える道具が必要になってくるんだ」

「それが、リールとルアーですか?」

「そういうことだ。魚のいる場所まで投げて釣るんだ」


「こういう少し曲がった輝く板のルアーをスプーンと言ってね、これを水の中でヒラヒラさせると、魚は小魚と勘違いしてこれに食い付くんだ、そしてこの鍼に引っかかるというわけだ」

「面白そうですね」

「うん、テクニックと推理で釣る釣りだからな。日本ではゲームフィッシングと言った」

「今日はミノーというルアーを作ってみようと思ってる」

「ルアーにも色々あるんですね」

「そうだよ。沢山種類があるんだ」


「どれが一番釣れるんですか?」

「それが分からない、狙う魚の種類や習性、季節、水の多さ、天候、水温、そういう色んな要素から推理してヒットするルアーを見つけだすんだ。だからゲームフィッシングなんだよ」

「頭を使う魚釣りですか? 面白そうです!」

「釣れなければ、魚よりもバカだと言う事になるな」

「絶対に、負けません!」

「勝負じゃないんだけどな」

 セフィアは、闘志を燃やしている。


 サファイア樹脂ペレットを使い、針金を芯にしたミノーを数種類作成した。

 家の中に土魔法で水槽を作り、水車を魔道モーターで回し水流を作って、作ったミノーのテストをする。少しづつ改良を加え、納得のいくものが幾つか出来た。

 ラトルを入れた物。リップを大きく取り重さのバランスを取って、深場でサスペンドするシャッドタイプのもの。

 ついでに、メタルバイブレーションも作っておこうと、重さのあるものも製作した。

 この一冬で、自分達の釣り具だけだが、カワハラギケンは釣り具メーカーとしてでもやっていけるほど、釣り具とその金型が充実したのだった。

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