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異世界モノ作りアングラー  作者: 砂野ちや
第1章 ミステイク
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26 トンネル工事

 亜湖さん、トンネルの方向と角度を確認するのに、いい方法はないですかね?

「そうだな? 針を焼いて作る簡易磁石はどうだ? 縫い針を真っ赤に焼いて急冷して、それを水の上にそーと浮かべるんだ、そしたら針は南北方向を刺すからその方向に糸を張って目印にしていけ」

「角度は、簡易の測量道具だな、俺の手が二十一センチだから、それを基準にしたこれが一メートルの物差しだ」

「亜湖さん、手ぇ小さいんですね。俺は二十二センチですよ」

「うるさい!」

 釣り人は、魚の大きさを測るのに自分で手で大体の目安を得ることが多く、自分の親指と小指の幅をよく知っているものだ。


「これを元に五十メートルで印をつけたロープを使え。この望遠鏡が水平になる台を作って、一メートルの高さの石柱を作って、その石柱の天辺を液状化して水平にして固める。そこに望遠鏡を置いて、石柱から五十メートルの位置にトンネル奥の床があれば、まぁホボホボ狙う勾配になっているはずだ」

「なるほど、コレは池宮さんたちの方が詳しそうですね」

「じゃ、俺に聞くな!」


「よく考えてるな。簡易レベラーか、思いつかなかったよ」

 池宮さんに話すと、大絶賛だった。二人で巻き尺と、水平望遠鏡を作ろうということになり、湿地帯の大きめの池に行って、湖面を基準に水平望遠鏡を作成した。


 こうして、方向と勾配を確認できる簡易ジャイロスコープのようなものを持って、トンネル掘削工事に取り掛かることになった。ここまでの工事期間中に、敵兵は現れていない。水攻めで、きっとそれどころではないのだろう。


------------


 俺たちミステイクと五十人の工兵、ヒルトン中尉他は、トンネル工事の入り口に立っていた。お祓いとか祈祷とかはないので、いきなり工事に取り掛かる。入口からロープを狙う方向、勾配に張って、その方向を目掛けて魔力を注ぐ。先ずは五メートルを砂に変えた。

「おぉ~」

 初めて魔法を見る工兵たちの歓喜の声。


「じゃ、掻き出して湿地の囲いまで、砂の道路を付けてください」

 手にシャベルやジョウレンを持った工兵たちが砂の道を作る。

「道の中央に傾斜をつけてください」

 出来上がったところで、硬化して石に変える。

 次に中央部のみ溝状に液化すると、変わった部分が綺麗に土止めの内側に流れ込んだ。


 こうして、砂にして崩落させ、液状化して湿原に流し、溝をつけながら掘り進んで行った。

 三時間ほどで四十メートルは進んだろうか。海野さんと池宮さんに測量をお願いして、俺は湿原道路の固化に向かう。


 これは初めて試してみる事だったが、水の中に沈んだ、液状岩石の固化だ。比重が違うので、水は押し退けられていて大丈夫だろうと思うのだ。

 やってみると、うまく沈澱していた部分だけが石に変わった。その表面を砂化して、溝掃除の要領で手前に掻き揚げてもらい、溝付きの道路にして、再度固化する。

 幅五メートルの湿地内道路の一部になった。

 これで誰からも、これからのトンネル工事の要領が飲み込めた。


 午後から工事が捗るように思えたが、問題が起こった。

 トンネル内は問題ないが、湿地の道には傾斜がないため滞留し、一気に流すと溢れ出すのだ。勢いをつけて流せば流れ込むと思っていたんだけどな。

 これは、予定通り池宮さんに風魔法で押し切ってもらうことになった。

 そんなこともあり、午後からも四十メートルで、今日一日で八十メートルのトンネル工事と湿地道路工事が進んだ。


 七日目のことだ。

「敵襲!」

 と報告が入った。一度に緊張が走ったが、次に来た伝令は

「殲滅!」

 と伝えた。さすが柿沼さん。あっという間の出来事だったようだ。五十人ほどの捕虜を捕縛してそのまま午後から物資を運んで来た隊でリンゲへと連行されていった。

 俺はトンネル内で作業中だったが、敵も味方も、トンネルと湿地道路を見て驚きに目を見開いていた。とグレッグ中尉が教えてくれた。


 十二日目は、たぶん残り百メートルないだろうと、少しづつ掘り進める。

 いきなり開通させて、敵にばれてしまっては元も子もない。

 ここまで測量してきた距離からしてそろそろだろうと、五十センチくらいの穴を奥行二メートルほどを砂状にして開け、砂を掻いて行く。まだ岩盤なら拡張する。

 十三日目の正午のことだった。砂を掻いていたその先に、光が差し込んできた。


 開通した。

「静かに!」


 すぐさま、先端のみを固化して、穴を拡張して残り一メートルほどにし、外を覗いてみる。

 一メートルほど予定の高さより高かったようだが、これなら問題はない。

 パストゥールの中の様子が、丸見えだった。城壁はあるが、この山と繋がっている部分から、城壁の上を歩いていけそうだ。


「直ぐ海野少佐と、ヒルトン中尉を呼んできてくれ」


 二人がやって来て、穴から外の様子を確認した。

「これは、本当にすごい! 二十年の念願が叶いそうです」

 ヒルトン中尉が笑顔で言う。この人、美人なだけあって、やっぱ笑うと可愛いわ。

「湿地道路も、ほぼ開通したし、予定よりも、かなり早く終わったね。ご苦労さま」

「そうですね、後は掘った溝の穴埋めだけですから」

「じゃぁ、俺たちは任務完了ですかね?」

「いや、兵を揃えて、最後の壁の撤去までは付き合わなくちゃいけないだろうね」

「あっ、そうか!」


 俺は笑いながら、砂を粘土化して穴を埋め、硬化させた。

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