リーナ先生のドキドキ☆ホームルーム♪
出オチ。
「クソガキ共ォ、葬部屋はじめんゾ?」
そう告げたのは、スキンヘッドで髭マッチョ、顔も腕も露出している箇所すべてにズタズタの傷跡のある大男だった。いつの間に教室に入り込みやがったんだこんな不審者。
「……オイ、ワン公。俺の運命の恋人リーナちゃんはどこよ?どっからどーみてもカタギじゃねーゴツいおっさんじゃねえか」
「そんなバカな!入学のしおりにも10組の担任は《リーナ・ケルル》だって書いてあったのに!?土壇場で交代!?……いや、まさかこいつがリーナちゃんを!?」
「なにィ!?ヤロォ、見かけどおりの極悪人ってワケか!あの凶悪な顔で迫って無理矢理交代したに決まってらァ!オイ!おっさん!リーナちゃんに何をしやがった!!この腐れ外道がッ!!」
「フンッ!!」
「「げぽぉっっッ!!?」」
おっさんが軽く放ったグーパンでぶっ飛ばされる俺達。
こ、こいつ、強えぇ!?この俺とワン公をまとめて一撃だと!?
立ち上がれない俺に近づいて、しゃがみこんでガンを飛ばす謎のハゲヒゲ筋肉男。
や、やべえ、さっきのダメージで動けねえっ。いま殴られたらモロに喰らっちまう!?
「自己紹介の前から俺の名を知ってるとは、なかなか良い心がけじゃねーかコゾー?だが歳上を呼ぶような言い方にしちゃあ、だいぶナメてるよなぁ?」
「な、なに言ってやがる!?さっさとリーナちゃんを出しやがれこのハゲゴリラ!!」
「リーナ"ちゃん"じゃねえ!!リーナ"先生"だ!!オラァ!!愛の往復ビンタァ?!!」
「くぺぺぺぺペッ!?」
トドメの攻撃を喰らった俺は、そこで意識を手放した。
文字通りここが俺の葬部屋ってワケ…か……よ……。
◆◇◆◇◆◇
「じゃ、じゃあマジでアンタがリーナちゃん、……じゃなかった、リーナ先生なの!??」
意識を取り戻した俺は、目の前の化物に問いかける。
「オウよ。俺は女じゃねえし、おっさんでもねえぞ。まだ18歳だ」
「いや、センセー、それはさすがにサバ読みすぎっしょ?どう見たって40過ぎじゃん?(核爆笑)」
「フンッ!」
「ちゃぷぅ!?」
余計なコトを言ったワンがまたしても一撃で葬られる。ワン公、学習しない奴め……。
しかしこの顔で、《リーナ・ケルル》とはヒデえ詐欺だぜ。小指ツメ太郎とかに改名しろよマジで。
「なにか言ったか?」
「なんでもありません!ホームルーム続けてください!」
「ウム。じゃ、あらためて。もうワカったと思うが、俺がテメーらの担任になったリーナだ。次、俺の前でちゃん付けした奴は……どうなるか予想できるよな?」
「「「「「サー!イエッサーーーー!!!」」」」」
恐怖の大魔王の配下として、心をひとつにする俺達。絶対的な暴力の前に、我々は無力であった。
「基本的には卒業まで担任は変わらねーし、組の構成員の変更もねえ。例年通りなら、この中の半分以上が3年目までに退学しちまうだろうが、まぁ、長い付き合いになる。よろしく頼む」
6年間このおっさんの同伴確定かよ!?
あぁぁ、終わった……さらば、若手美人教師とのイチャラブ生活……。萎えたぜ、もう何もしたくない……。
おかしいよぉ。異世界転生したらハーレム作れるって皆言ってたのに。嘘だ。詐欺だ。女神様的なのも出てこないし、出会った人間、このヤ○ザとワン公とモヒカンとかそんなのばっかり。。あー、ヤダヤダヤダヤダ。美少女どこ!!美少女の中の美少女、出てこいやァ!!?
「(おい、話しっかり聞いてねーと、またビンタ食らうぞ!)」
傷心でトリップしていた俺をラフィが現実に引き戻す。……コイツ、よく見たら中性的でカワイイ顔してやがんな。
「(ねえ、ラフィたん)」
「(ん?なんだ?)」
「(──女装、してくれねえか?)」
「は!???」
おーーっとぉ、そんなデカい声を出したらモチロンーー?
「私語厳禁ビンタァ!ホァタァ!!!」
「ぽペええええ!!!?」
抹殺されるラフィ。ああ、また俺は愛する人を喪ってしまった。シクシク。グッバイ、ラフィ。忘れないよっ!!
っていうか、3年までに半分以上辞めるってヤベーな!どんだけ問題児揃いなんだよここ!!
「卒業できれば、そのまま魔法騎士団に入団できる。しっかり勉強しろよ……なんて言っても、お前らが座学なんてできねーことはワカッてるから安心しろ。第三魔法騎士学院の授業は、もっとスペシャルな授業ばっかだからよ。まぁ、今日はそんなところだな!明日から授業はじめっから、遅刻するんじゃねーぞ!」
「「「「「はい!!わかりました!!!!!」」」」」
こうして、記念すべき最初のホームルームが終わった。明日からいよいよ授業が始まる。スペシャルな授業ってなんなんだべ??ワクワクすっぞ!!
「リュウウウウトオオオオオオオオオオ!!!!」
「やべ、じゃ!俺帰るから!みんな、まったね〜〜〜!」
「待てやテメええええええええええ!!!!」
とばっちりでビンタ喰らったラフィの追撃から逃げ回りつつ、今日から寝泊まりする予定の学生寮に向かうのであった。
ちなみにワン公はまだ死んでいます。
ワン公、ちゃんと入学のしおりとか読むタイプ。
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少しでも「この作者バカだな」と笑っていただければありがたいです。
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