忍び寄る足音
3記事坊主をこえた!
素敵な入学式を終えた俺達は、はじめてのホームルームのため教室へと移動する。
「えーと、1年10組の教室はどこかなーっと。7……8……9………?ねえ、ワンちゃん。俺やっぱ打ちどころ悪かったのかも。10組があるべき空間が階段のように見えるんだが?」
「大丈夫っス。俺にもゴリゴリの階段に見えてます」
「「…………え?」」
ゴールを見失い、顔を見合わせる我々。
ど、どうして?俺らみたいなバカタレは階段でじゅーぶんってこと??ってゆーか、階段って"ゴリゴリ"って言葉で表現できるの??
────いや、ワカった。この違和感、すべてを理解したぜ。
おそらく未来だ。この学院で優れた魔法騎士として成長した俺は、未来で世界を救うのだろう。
その歴史を変えるため、失われた古代魔法"過去改変"を発動し、10組の教室を"無かった"ことにした。俺を魔法騎士として成長させないために。
────そうだよな、"宵闇の王"さんよォ?
「あ、上の階に10組あるっスね。1階じゃ入りきらなかったんかな」
「オッケ、俺は今日中に死ぬわ」
「ハイハイ、行きましょうね。登って登って」
「ちがうもん!よいやみのおうに、かこかいへんされたんだもん!」
「ハイハイ、続きは教室で聞きますからね〜」
ドラマチックなイベントって、そうそう起こらないものなのね。現実ってキビシー!
入学式を経て、すっかり介護役として成長したワンに連れられて、普通に存在した我らが教室に向かうのであった。
◆◇◆◇◆◇
「オイーーっす、みんなお疲れィ!リュートっち参上だゾ♪」
「ゲッ、オメーら同じ組かよっ。最悪だぜ……」
俺とワンの姿を見るなり悪態をついたのは、入学式で真面目ぶっていた彼。えーと、たしか名前が………思い出したっ!
「萌えキュン天使のラヴちゃん!」
「マジで殺すぞテメー!?」
「まぁまぁ、二人共。落ち着きましょうや」
「テメーはテメーで、なんで地獄の番犬とか呼ばれてた奴がジョーシキ人ぶってんだよ!?」
「萌え萌えキュンキュン!おいしくなーれ♡おいしくなーれ♡」
「クソッ!………………はぁ。なんか疲れた、もういいや。番犬、そのバカ連れてどっか行け」
「わーったよ。ほら、リュートくん、ラフィの邪魔しちゃダメでしょ。ごめんなさいは?」
「ごめんなちゃい」
「なんなのおまえら…………」
と、いうわけで、クラスメートをおちょくりつつ俺達は自分の席へと向かうのであった。
ずーーっと田舎暮らしで同級生がいなかったから、些細なやり取りも新鮮だネ!
「じゃ、ワンちゃん。暇だからなんか事情通っぽく、お得な情報プリーズ」
「ククク、そーくると思ってとっておきのを用意しときましたよオ!!────この組の担任の名前もう知ってますか?」
「い、いや、知らん!それがなにかあるんか!?」
「その名はなんと《リーナ・ケルル》しかも学生時代に飛び級したエリートで、まだ10代後半らしいんすよ!」
「オイオイオイ、何だよその響きは。しかも10代だあ?そんなのもう決まってんじゃんかよ!?」
「ヌフフ、やっぱそう思うでしょ?」
「「ぜってー、美少女だ!!!!」」
男子校で汗臭い青春になるかと覚悟してたけど、ここに来てGODから最高のプレゼントじゃん!
教師と生徒の禁断のラブロマンス……夕暮れの教室に二人きり、自然と二人の距離は近づいてゆき─────なんちて!なんちて!
はやくリーナちゃん来ないかナーーー???
フラグ確認。
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少しでも「この作者バカだな」と笑っていただければありがたいです。
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