煽り
一度、書き終えたところで操作ミスで全てを失いましたが、どうにか半分公開・・・。
「勇者ァ?うっそー、勇者ってホントにいるの?魔王と闘うとか、女神に選ばれたとかいう奴だべ?胡散臭えー」
「あー、ごめんなさい。俺んち無宗教なんで女神とかそういうのはチョットね」
「フツーのおっさんじゃん。勇者ってもっと青年でイケメンで爽やかなイメージなんだけど」
「勇者って自称・・・?30越えて自称勇者はヤバない・・・?」
「なんか証拠ないの証拠。女神様呼んできてよ」
誰も勇者様をリスペクトする気持ちがねえ!?ま、俺にもねーんだけどさ。急に現れたおっさんが勇者だって言われてもねえ。つい驚いちゃったけどそんなことあるワケねーよな。だいたい勇者って、魔王が現れて人間と敵対した時に、女神様が選んで力を与える的なことだったはず。魔王がいるなんて聞いたこともねーし。アレかね、伝統的な?今や別に意味はないけど、昔からの流れで称号だけ受け継いでるみたいなことかしらね。
「テメーらァ!!グレンさんに失礼だろうがッ!!」
「はぁ。だから言うなって止めたろーが。だいたいこうなることはお前もわかってたろ。辺境以外じゃ勇者だ魔王だなんてのはこんなもんよ」
「ぐぬぅ・・・。何かこいつらに勇者のヤバさを理解させる方法は・・・。そうだッ!!グレンさん、こいつらと手合わせしてやってくださいよ。例の件もありますし、丁度いいでしょう」
「あー・・・そうだな。いざ現場で指示に従ってくれねーと面倒だし、どのくらいやるのかは把握しておいたほうがいいか」
リーナちゃんと自称勇者のおっさんの間で何かが決まる。手合わせ?例の件?不穏なワードが出てきたぜ。
「じゃ、お前ら全員表出ろ。模擬戦やるぞ」
おっさんの淡々とした指示に従い、俺達は校庭へと向かった。
◆◇◆◇◆◇
「ルールはシンプル。俺は魔法も武器も勇者の力も使わない。お前らは何でもアリで全員まとめてかかってこい。俺に一撃でも入れればお前らの勝ち。お前ら全員ぶっ倒したら俺の勝ちだ」
「「「「「は?」」」」」
校庭に並ぶ俺達に、おっさんがルールを説明する。・・・・・・このおっさん今、何言いやがった?全員まとめてかかってこい?冗談は自称だけにしとけよこの野郎。
「ん?難しかったか?まさかまだハンデが足りねーか。うーん、じゃあ俺はデコピンしか使わん。なんなら両手は使わなくても・・・・」
「待てコラ。テメェ、グロスマンの恩人だからと思ってこっちが黙ってりゃナメたことぬかしてくれるじゃねーか」
「俺達を全員まとめて相手する?一撃でも入れたら勝ち?笑えるぜそのジョーク。勇者ってのはギャグセンの高さで選ばれんのかよ!?」
「まぁまぁ、みんな、落ち着けよ。勇者"様"がこっちは何でもアリって条件出してくれてんだ。徹底的にやってやろうじゃねえか。一撃で終わりにできるかどうかは知らねーけどなァ!?」
キレる十代達。いくらリーナちゃんの恩人で、ワンの呪いを解いてくれたらからってよ。我慢できるライン越えてんだろうがよ!?
「やる気になってくれたようで何より。俺が勝ったらお前ら全員俺の指示には従えよ。お前らが勝ったら・・・そうだなー。全員1つづつ何でも言うことを聞いてやるよ」
「ほぉーーー!?全員から1つづぅ!?その条件忘れんじゃねえぞテメー!!?リーナ先生もそれで良いっすよね!?」
「おっけー」
リーナちゃん、ノリ軽ッ!!こいつら、こっちがガキと思ってコケにしやがって。この化石どもが・・・最近のガキをナメたらどうなるか思い知らせてやるぜッ!!!
「リュート、どうするよ?」
「勇者かどうかはわかりませんけど、あの人ぜってー"並"じゃないっすよ。呪い解いてもらったとき、ヤベー感じしましたもん」
「だな。リーナちゃんがあの態度な時点で、多少ヤルのは間違いねー。触れただけで呪いが消し飛んだことを考えると、魔力を使った攻撃が無効化されるかもな。それでも策はある。お前らチッと耳かせ」
そして俺は10組の兵隊共に、自称勇者討伐のプランを共有する。40人VS1人で一撃当てればイイなんてふざけた勝利条件なら、ド正面からぶん殴りにいけば終わるとは思うけどよ。念には念をってな。
それよりも成り行きとはいえ、一年の半数を下につけた10組総出だぜ?リーナちゃんの回復だけでおっさんが助かるかどうかの方が俺は心配だよ。
続きは明日・・・。