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新入生最強決定トーナメント(6)

トーナメントはいったん完。


 俺とラフィが4組の教室に入ると、特徴の無い男が一人、バタフライナイフを持て遊びながら、窓際の机に腰掛けていた。



「やぁ、10組の人だね?リュート・バルツァー君と、ラフィ・シュタイナー君だったよね。グロスマン君の仇討ちってヤツかい?素敵な友情物語、泣かせてくれるねえ。クククッ」


「クククじゃねーよタコ、何それ?ナイフシャカシャカ回してるのカッコいいの?わざわざ机に乗ってたり、風でカーテンバタつくようにしてるのも演出?くそダサいよ。発言も台詞感丸だしで超痛い。自分でなぜ気づかない?どうしてそれで生きてられる?生まれてこないほうが良かったんじゃない?はよそのナイフで切腹しなさい。キモいから俺は介錯してあげないけどね。ほら、はやく。はやく。どうした?はやく死ねよ?なあ?」


「………………」


「(リュート、さっき悪口言われたことの八つ当たりしてんなこれ……)」


「はーやーくー!はーやーくー!切腹!切腹!」


「フンッ、君のようなクズと話をしようと思った僕が馬鹿だったよ。まぁいいさ、このナイフを味わったらそんな生意気な口はきけないだろうからねッ!!」



 ナイフ野郎が机から飛び降りて、こちらに向って構える。意外と隙はねーな、そこそこやるわコイツ。伊達に4組その他のトップ気取ってねーってか?



「リュート、来るぜ。たぶんアレが回復封じだ。気をつけろよ」


「御名答!くははっ!卑怯だなんて言わないよねえ!?まさか君達も喧嘩はステゴロだなんて言い出すタイプ?後学のために教えてあげよう。喧嘩はね勝てばいいんだよっ!勝てばさぁ!!」


「む?オメー、いけ好かねーヤローだと思ってたけど、なかなか良い事言うじゃねーか!激しく同意!ハゲドー!」


「おや?急に歩み寄るなんて、回復封じが恐ろしくなったのかい?仕方ないね。許してほしいなら今すぐそこで土下座しろ。僕に忠誠を誓うんだ」



 何を勘違いしたか更にイキリだすナイフ野郎。ったくよー、人の話は最後まで聞きやがれよ?せっかちさんだなあ!もう!



「いや、ごめん。そうじゃなくてさ。俺も武器使うから大丈夫よ。ほら、これ。エクスカリバー」



 そう言いながら、MFS(※マイ・フェイバリット・ソード)を取り出す。


 説明しよう!エクスカリバーとは!ポン刀(のような形状をした片刃の剣)である!別にエクスカリバーではないのである!



「なっ……!どこからそんなものを!?」


「君の武装なんだっけ?ナイフ?わるいなぁ、俺のエクスカリバーのほうがデカくて間合いも広いしなあ?あれれ〜?まさか卑怯だなんて言わないよねえ〜〜?」


「ま、待ちたまえ!そうだ!僕と君とで一年を支配しよう!な?だからその剣はしまって……」



 自分のナイフと俺のポン刀……失礼、エクスカリバーを見比べて、途端に日和りだすナイフ野郎。みっともないわねえ。土壇場で焦る人ってカッコ悪いわぁ。



「よっしゃ!じゃあラフィ!回復よろしくッ!」


「おっけ!任せとけ!」


「な、な、なにをするつもりだい!?落ち着きたまえ!話せばわかるっ!」


「うるさいんだよバカタレが。ま、安心しろよ?俺は回復封じなんて使わねーからさ。たっぷり回復味わってくれよナ!?大丈夫!峰打ちにしといてやらぁ!そらァ!!」


「グギャ!?ま、待って」


「回復」


「それぃ!」


「ギィッ!?わ、悪かっ」


「回復」


「せいやっ!」


「ふげっ!?ちょ、ちょ」


「回復」


「むんっ!」


「だがぁ!?痛っ、あの」


「回復」


「まだまだぁっ!」


「バァァ!?あ……」


「回復」


「キェェッ!」


「ンッ!!……」



 繰り返すこと数十分。百から先は覚えていないッ!!いや、そんなにやったかな?わかんねー。


「ごめん。魔力切れる」


「お、そっか。ごくろーさん!良い仕事したし、帰りますかぁ!」


「……………………」


「あ、こいつ狸寝入りしてる」


「アンコーールッ!!」


「プギュ!?も、もう勘弁してっ!」


「根性ねえなぁ。俺はまだまだイケるぜえ〜〜!?」


「踏ん張れば、あと2回くらいは回復使えっかなー?出力絞ればどうにか……」


「す、すいませんでしたっ!もうしませんから!グロスマンくんにも謝りますから!もう回復しないで!!」



 ふう。まー、こんなところか。こんだけ痛めつけときゃ後からまた闇討ちなんてする気も無くなっただろ!任務完了っス!!


 こうして俺とラフィは仇討ちを終えて、10組の仲間達の元に戻……

 


「いーーや、謝る必要なんてないぜぇ!」



 ……ろうとした時、保険室でぶっ倒れているはずのワンが姿を現した!



「ぬおっ!ワン公!生きてたんかワレ!?」


「番犬、オメー、傷は大丈夫なのかよ!?」


「ヒヒヒ、この俺が出番無しで終わるわけがねーでしょ!まだ死ぬほど痛ぇけどそこは気合いと愛情っスよ!!」



 タフなヤローだぜ。おとなしく寝てりゃいいのによー。


 ナイフ野郎を見つめて、ニタァと悪い笑顔をするワン。うん、しょうがないね。因果応報だねっ!


 それではワンさん!お願いしますっ!



「コゾォ、俺からもたっぷり礼をしてやりてえところだが、一発で勘弁してやるぜェッ!歯ァ食いしばれッ!!!」


「ヒッ!ヒィッ!」


「ストレス解消・ギブス・ロケットォォォォ!!!!ドォラァァッッ!!」


「グギョヘァァァ!!!??」



 トドメの一撃で今度は本当に気を失ったナイフ野郎。悪は滅びた。え?オーバーキル?俺達の方が悪?細けえことはいいんだよっ!



「じゃ、帰りますかぁ!」


「おう!」


「オッス!」



 ぶっ倒れているナイフ野郎を背に、今度はホントに帰ります。はぁー、流石に疲れたぜ。はよ寮戻って寝よ。

次話、後日談的なのをちょっと書いて締めることにします。


連載の終わりではないっす。引き続きよろしくお願い致します。いつもありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[良い点] なぜかリアルで大笑いしてしまいました。リュート最高。 どこにポン刀しまってたんや [気になる点] 鉄パイプと警棒は? [一言] かつてジャンプにて連載されていたB∅Yにて主人公のハレルヤが…
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