新入生最強決定トーナメント(4)
今回まで会話してるだけ。次話から本作お馴染みの乱闘です。
「ワン!大丈夫かッ!?」
組の連中と一緒に保健室に駆け込む。ベッドにはズタボロにされたワンが寝かされている。どうやら意識を失っているようだ。
「ラフィ、何があったってんだよ!?」
「俺にもわからねー。俺達がコイツを見つけた時には周りには誰もいなかった。血塗れになった番犬がぶっ倒れてて、すぐに回復をかけたんだけど傷が全然治らなくて血も止まらねえし、急いで保健室に運んで────」
「私が説明しよう。これはね、回復封じの呪いだよ」
保険の先生がラフィの説明を引き継ぐ。
「回復封じ!?」
「リーナ君の教え子なら、彼の全身の傷跡を見たことがあるだろう?回復魔法は術者の熟練度にもよるが、基本的には傷跡さえ残さずに治す。だが上位の魔物の一部には、回復魔法の効果を無効にする呪いが付与された攻撃をしてくる個体がいる。グロスマン君の怪我はそれだ。と、言っても校内に魔物がいるワケがないから、その魔物の素材を使った武器かなにかでやられたんだろうがね」
クソがッ!!学院内の喧嘩程度にふざけたもん持ち出しやがって!!
「それでワンは大丈夫なんですか!?」
「呪いのせいで回復魔法が使えないから、まずは解呪が必要になるね。これは私でも難しい。リーナくんと二人がかりならすぐに治せると思うが、あいにくと彼は今日出張で夕方まで戻ってこない。まぁ、それでも死ぬような怪我ではないから安心したまえ」
リーナちゃんこんな時に限っていねーのかよ!!いや、まさか……リーナちゃんがいねーこともワカッた上でやりやがったのか……!?
「うぐっ、ぐああああああっ」
「オイ!ワン!大丈夫か!!?しっかりしろ!!」
「ぐうううう、殺す……殺すぞ……10組ナメるんじゃねえっ……」
こいつ、うなされながらまだ闘る気マンマンかよ……。ハハハ……。10組ナメるんじゃねえって、他の組の奴らも、ワンも、入学からそんなに時期も経ってねーってのに、そんなに自分の組に愛着あるもんかねえ。
「ワン公、安心しろよ?傷は先生がしっかり治してくれるらしいからよ。リーナちゃん並に男前になっちまうかもしれねーけどな。今はゆっくり寝とけ。それから────」
俺は何組が"アタマ"だなんだって話はどうだっていいが、ただ……
ダチをズタボロにされて大人しくしてられるほど、薄情でもねーゾ!?
「仇は討ってやるぜッッ!!!この"俺"がなッ!!!!」
トールの話によりゃあ、4組?いや、4組を中心にした何組かの連合か?まぁ、何人いようが関係ねーか。必ずこの落とし前はつけてやる。
「バルツァーくん、落ち着きたまえよ。友達がこんな風にされて怒るのはわかるがね。回復封じの武器を使っている以上、これは生徒同士のやり取りで済ませられる問題じゃないんだ。事の次第によっては騎士団にも協力を依頼しなければならん」
「……そうだぜ、リュートぉ?テメーあんまふざけてんじゃねーよ」
「先生。回復封じだとか騎士団だとか、そんなもん俺には関係ねーんすわ。俺は俺のやり方でこの件片付けますんで。ラフィ、テメーもだ、邪魔するんじゃねーよ。ワン公をこんな目にあわせた連中は全員俺が潰す」
「ハァ?ナメてんのかテメェ!?"俺"じゃねー!!"俺ら"だろうがッ!!?」
「そうだ!バルツァー!テメーだけカッコつけてんじゃねえぞ!?」
「グロスマン、待ってろよ!?土産に"首"獲ってきてやっからよォ"首"!!ヒャハッ!?」
「クズ共が!!"竜の巣"にチョッカイかけたらどうなるか思い知らせてやるゼ!?」
……ったく、こいつらぁ。どいつもこいつも暑苦しい奴らだぜ。少年漫画の読みすぎなんだよバカ共が。ちっとは勉強をせえよ。歴史とかよー。んなもん俺も知らねーけど。
まぁ、仕方ねぇな。たまには仲良くお出かけといくかぁ!!
「「「「「皆殺しだッッッ!!!!!!!」」」」」
やれやれという表情を浮かべる保険の先生にワンを任せつつ、俺達は廊下へと踏み出した。
保険の先生、名前思いつかなかった。
文章能力のせいでいまだ性別も不明。後々都合の良いように変更される。