新入生最強決定トーナメント
一話一話がそんなに長くないのでアレですが、気づいたら10話越えてました。いつもありがとうございますm(_ _)m
「ふわぁーーぁ。今日も変わらず、のどかな学院生活だぜ。こんな日々がいつまでも続」
「リュートくん!大変ッス!!」
「うるっせえええっーーーー!!」
「グペェッ!?」
朝からテンションマックスのワンに、指導の一撃を御見舞する。空気を読めよ空気をよ。人が穏やかな朝のひとときを過ごしてる時によ。
「(リュートくん!大変ッス!!)」
「こ、こいつ、直接脳内に!?」
「フッ、俺も成長してるってことっすよ。ドォラァ!!!」
「ゲフッ!?くっ、やる、じゃねえか!!?じゃあこれはどーよ!?ヌォラァッ!!」
「ペブッ!?さ、さすがリュートくん、だがまだ終わらねーー!!」
「来やがれボケがッ!!」
「「うおおおおおおっっっ!!!」
────────。
どうにか勝利したのは俺だった。ギリギリだったぜ……ワンのヤロー、知らねーうちに力付けやがって。こりゃウカウカしてらんねーな!
「番犬、なんか大変だとか言ってなかったか?どーでもいいけどさ」
とは、ラフィ氏のお言葉。やっべえ。そーいやそんなこと言ってたような?ノリでぶっ倒しちまったけど……あ、そうだ。
「ハイッ!回復ッ!!」
「……ん?あ、リュートくん。回復かけてくれたんすか。あざーーす!」
おー、ルカくんに貰った杖の効果バツグンじゃん。ソッコー目覚めたわ。
「で、何が大変だって?起きたら女になってましたとかじゃねーだろーな?」
「そんなこと言ってる場合じゃないんすよ!!ついに始まったんすよ!!新入生最強決定トーナメントが!!ドン!!」
「なにぃっ!新入生最強決定トーナメントが始まっただとッ!!!?………………なにそれ?」
「じゃあなんで驚いたんだよ……」
前から思ってたけど、ラフィ、全然こっちの話聞いてない感出してるのに、しっかりツッコミのタイミング測ってやがんのな。かわいいヤツ。
「リュートくん、こういうの一番気になるイベントじゃん!タイトルそのまんまっすよ!新入生の最強を決めるんすよ!!そいつが一年のアタマになるんすよ!!」
ワンの熱い説明が続く。いや、説明つーか、もう一回同じこと言っただけっつーか。
「へー?どこでやんの?みんなで見に行くべよ」
「"どこ"とかじゃねーんだよ!こ!こ!ここ!わかる!?学院全体よ!?センコーが目を離した瞬間はオールタイムバトルフィールドなの!他の組のヤローに出くわしたら即殺し合いなの!もうはじまってるの!!ねえ!」
「オ、オウ……そうだな、ウン、なんかゴメンね?」
圧がヤバイ、圧が。狂人だよマジで。婆ちゃんがこういう人とは関わるなって言ってた。
っていうか、オールタイムバトルフィールドってなんだよ。トーナメント形式じゃないのかよ。
「わかってくれたならイイんすよ。それで、10組はどうします?まずは組の最強を決めて、トーナメントに名乗りをあげねーと」
「へ?最強?いーよいーよ、ワンちゃん最強やりなよ」
やだよそんなクソダサい名前のイベント。ぜってー参加したくねえ。無理無理無理。
「いや、ダメっすよ。俺よりリュートくんのほうが強いんだから、リュートくんが出るべきでしょ」
「またまたぁ。さっきは僅差だったジャン?時の運だって。それに俺、最強とかアタマとかあんま興味ねえしさ」
「お前、記憶喪失かなんか?入学式からそう日は経ってないと思うけど?」
ラフィィィイイイイ!!余計なこと言うんじゃねーよこのジャリガキがァッ!!!
「そーっすよ!"俺が今日からテメーらの"アタマ"だクソボケがッ!!"とか言ってたじゃん!」
「いや、そりゃあ言葉のアヤっつーかさ。それにほら、お前ら二人が良くてもさ、みんなが俺じゃ嫌かもしれないじゃん?なあ、みんな!」
もうこいつらは、俺をクソダサ武闘会の贄にする気マンマンなので、他のクラスメイト達に助けを求める。いいんだよ?遠慮しないで?
「バルツァーでいいだろー。俺は嫌だよ、ダリーもん」
「サンセー!バルツァーがイーと思いマース」
「そんな頭ワリーイベント、頭イッちゃってるバルツァーが出ればよくねー?」
「サイキョー(笑)超似合う(笑)リュートがんば(笑)」
ワオ!チョー四面楚歌!やはり神は俺のことなど見てはいないのか……。
「ほら、みんなイイって。10組の最強はリュートくんに決定で」
「そんなこと言われたってさぁ……」
結局その後もゴネまくって、誰が最強か談議は有耶無耶になって終わった。
そーいうの気にしそうなメンバーに見えて、実はワン公くらいしかちゃんと不良ぶってるヤツがいないという。
仕方ないのよ。リーナちゃんの授業めちゃめちゃハードなんだもん。みんな些事に構ってる時間は無いってこと。最強だかなんだかとかいうお遊戯は、原始人の皆さんで仲良く決めてください。
こんな作品を書いていますが、私はカツアゲされる側でした。