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ニホンちゃんの決意・チューゴ君の憂鬱

ここ最近北朝鮮は連日のように短距離弾道ミサイルの発射を続けてます。

日本も国民の生命財産を守るために気を引き締めて頑張ってほしいですね。

生徒会としての非難決議はアジアの盟主たる朕は容認したアル。しかし、生徒会によるキッチョムへの罰は朕は絶対認めないアル!!ニホン、アメリーは罰則決議を撤回するがヨロシ!!」

「俺も反対だ。うい~」


みんなが止めろと言ったにもかかわらず花火を打ち上げたキッチョム君への処分を巡って地球町小学校生徒会執行部の会議は相変わらず紛糾しています。


「そうねぇ・・・何が何でも制裁・・・というのも優雅ではありませんねぇ。・・・ニホン・・・ここはチューゴ、ロシアノビッチの意見も聞き入れてはいかがかしら?そのかわり生徒会のキッチョムへの非難声明はもう少し強い文言にするという事で・・」

エリザベスちゃんがチューゴ君の側に妥協したような案を出してきました。

「あたくしとしては会議が物別れに終るのは議長役としての名誉にかかわりますから、それは避けていただきたいですわ。」

今回の議長役のフランソワーズちゃんは会議の紛糾するのだけは避けたいがために日和見な態度です。


ニホンちゃんは唇を噛み締めて二人の言葉を受け止めます。

救いをもとめるようにアメリー君に目をむけますが・・・

アメリー君まで妥協する発言をしました。

「確かに・・・今一番重要なのは生徒会として全会一致でキッチョムへの態度を示す時だ。・・・制裁にこだわるのも賢明とは言えないかもしれない。」


他のみんなも長々と続く会議にうんざりした表情を浮かべています。

それを見たニホンちゃんはふっと醒めた表情になりました。

(所詮・・・みんなにとっては「他人事」なんだ・・・アメリー君やエリザベスちゃん達のおうちにはキッチョム君の花火は届かないし、お人形や猫ちゃんも盗まれてない・・・でも・・・あたしのウチは・・・)


「ニホン・・・フランソワーズがそろそろ決を取りたいって・・・」

アーリアちゃんが沈黙を続けるニホンちゃんに声をかけました。

そしてニホンちゃんの表情を見て一瞬固まってしまいました。


普段は大人しくてお人よしのニホンちゃんが別人のように冷たい表情を向けたからです。

なにか決意を秘めたような瞳・・・

何かを言いたそうにしていながら、それを飲み込んだように固く閉じられた唇。

そして一切の感情を表情から消して無言で頷くニホンちゃん。


アーリアちゃんは、ニホンちゃんと自分の間に壁が出来たように一瞬感じました。


ニホンちゃんが挙手。

「ニホン・・・どうぞ。」

いつもと違う雰囲気を漂わせるニホンちゃんにフランソワーズちゃんも戸惑いながらも発言を促します。


「あたしは・・・生徒会によるキッチョム君への制裁案は取り下げます。

ただ、生徒会として厳しい非難を盛り込んだ決議を求めます。」


何の感情もこもらない冷たい声。

生徒会室は水を打ったように静まり返りました。


「で・・・では・・・決を取りたいと思います。」


そして地球町小学校生徒会はキッチョム君への以下の非難決議を全員一致で議決しました。


キッチョムくんの花火打ち上げを地球町小学校生徒会の名において非難する。

キッチョム家に花火の材料を売らないよう生徒会が全校生徒に呼びかける。


キッチョム君は決議を知ってフランソワーズちゃんの携帯に電話をしてきました。

「そんなのウリは知らないニダ!!ウリは勝手にやるニダ!!花火の打ち上げは続けるニダ!!」

・・・と・・・生徒会の非難決議を蹴りました。


キッチョム君の開き直りで一気に場が白け、生徒会はそのまま散会になりました。


ニホンちゃんは無言で生徒会室を出て行きます。


「ニホンちゃん、俺達できる限り協力するから・・・」

「そ・・・そうよ、みんなでキッチョムの狼藉をなんとかしましょうね。」

アメリー君とエリザベスちゃんがニホンちゃんに話しかけてきます。


「・・・ありがとう・・・」

そういいながら振り向いたニホンちゃんの表情を見て二人は凍りつきました。


何の感情もこもらない冷たい瞳。

しかし・・・その瞳の奥ではある決意が固まってました。

(生徒会は頼りに出来ない・・・自分の家は自分で守らないと・・・そのためには・・・アタシにできる全部をやるんだ!!)


その翌日の昼休み


「アメリー君、あたしクッキー焼いてきたの・・・食べる?」

ニホンちゃんが笑顔でアメリー君にかわいらしい包み紙で包まれたクッキーを差し出します。

「・・・あ・・・ああ・・・」

「ねぇ・・・今度の日曜日、一緒に映画に行かない?面白そうなのやってるよ♪」


普段のニホンちゃんからは考えられない積極的なアメリー君へのアプローチ。

クラスのみんなは目を丸くしています。

アサヒちゃんは「アメリーなんかに尻尾を振って・・・なんてはしたない!!」と怒ってます。


でも、ニホンちゃんは気にしません。

彼女の笑顔の裏側には決意と思惑が隠れていました。

(日ノ本家をキッチョム家やチュウゴ家から守るためにはアメリー家の花火が必要なんだもん・・・だから・・・アメリー君とも仲良くしておかなきゃ・・・町内にもそれが判る様に・・・だって・・・ウチで花火を作るわけにはいかないから・・・そんな事をしたら日ノ本の家が町内で孤立してしまうもの・・・)

「ね・・・美味しい?」

アメリー君に微笑みかけるニホンちゃん。

「うん・・・デリ~シャスだYO・・・ニホン」


(・・・でも・・・万が一に備えて・・・花火をいつでも作れるようにしておいた方がいいかな・・・アメリー君だって・・・どこまで信用できるかわからないから・・・)

笑顔の下に、冷たい打算を隠すニホンちゃんでした。




・・・一方・・・そんなニホンちゃんを見て、背筋に嫌な汗をかいているのが約一名。

そうチュウゴ君です。

彼もニホンちゃんのおうちに花火を向け、無理難題をふっかけている真っ最中なのです。

いままでは日ノ本家の警備の甘さにつけ込んで好き勝手やっていたわけですが、今回のキッチョム君の騒動で日ノ本家の警備は格段に厳重になってきました。



チューゴ君にとっては今回のキッチョム君騒動は完全に薮蛇です。


なぜならば・・・ニホンちゃんは今はもっていないけど・・・花火を作ろうと思えばいつでもつくれるのです。

下手に脅してニホンちゃんを追い詰めると・・・ひょっとしたら・・・


「い・・・いや!!朕はアジアの盟主ある!!・・・に・・・ニホンごとに膝は屈せぬ!!」

またまた面子と板ばさみになったチューゴ君。

「・・・イタタタタタタタ!!!」

再びストレス性胃炎が再発し、机に突っ伏してしまいました。



さて・・・キッチョム君の「ぶらじゃー」である我らのカンコ君はどうしたか?

実は生徒会の会議の最中からずっと騒ぎっ放しだったのです。

今も教室の隅で両手両足を振り回すファビョ~ン状態です。

「ニホンこそ町内のヘイワの敵ニダ!ニホンのしんりゃくにウリナラは断固立ち上がるニダ!!ニホンは謝罪しる!!反省しる!!賠償しる!!しる!!しる!!しるぅぅぅぅ!!!!!」


そんなカンコ君を見なかった事にして、ニホンちゃんを始めとしたクラスのみんなは昼食を楽しんだとさ。



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