表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/6

「アジア班大騒動チューゴ君の憂鬱」

10年前の北朝鮮の弾道ミサイル発射の時の時事ネタです。

今も昔も全く変わってませんね。

「チューゴニム・・・ウリは花火を打ち上げて憎っくきアメリーに一泡吹かせるニダ。ウリの「テポドン2」はアメリー家まで届くニダ。これでアメリーもウリの偉大さを知ってビビるニダ。ついでにニホンもウリに平伏すニダ。

だから黙認して欲しいニダ。」


珍しくキッチョム君から電話が来たかと思えば、要件はこんなトンデモないものでした。

チューゴ君の額に怒筋がビキビキと浮かび上がります。

「キッチョム・・・朕はそれは止めろと言わなかったか?」

怒りを抑えた、ドスの聞いた声でキッチョム君に返答するチューゴ君。

電話の向こうでキッチョム君が息を呑む音は聞こえます。

「アジアの盟主の名において臣下キッチョムに命ずる。花火の打ち上げを速やかに中止するアル!!判ったか!!」

キッチョム君がビビったのを機に一気に畳み掛けるチューゴ君でしたが・・・

キッチョム君は何も言わずに電話を切ってしまいました。


「ふん、半万年属国の下等民族が・・・」

そう言って鼻をならすチューゴ君でしたが・・・なぜか胸に一抹の不安が・・・

なにしろ最近キッチョム君はチューゴ君のいう事を聞かなくなってきています。

というか・・・香チャンの部屋に隠しておいた万引きしたお金がアメリー君に見つかり、それを使う事が出来なくなりいよいよキッチョム家の家計は苦しくなっています。

そのせいで食べ物も不足しがちで、最近は番犬も餓死するという体たらく・・・

追い詰められたキッチョム君は何をするか判りません。


「いや・・・キッチョムが朕に逆らう事は有得ん!!朕の権威は絶対アル!!」

チューゴ君はそう自分に言い聞かせながら布団をかぶって寝てしまいました。


そして・・・その次の日の朝早く・・・


「キッチョムが花火を打ち上げたアルか?!」

驚くチューゴ君の耳に、に妙に落ち着いた声でアメリー君の声が電話から流れます。

「今朝早く、ニホン池の・・・ロシアノビッチのウチの鼻先に6発打ち込まれた。・・・チューゴ・・・お前キッチョムに花火は絶対打たせないって威張ってたが・・・・アイツ撃っちまったぞ。」

チューゴ君、沈黙。

返す言葉もありません。

「さっきニホンちゃんとも話したが・・・ニホンちゃんもかなり怒ってたぞ。」


そのアメリー君の言葉を聞き、チューゴ君の背筋に冷たいモノが走りました。

ニホンちゃんは普段は大人しい子ですが・・・あのニッテイさんの血を受け継いでいるだけに怒るとそれはおっかないのです。


「とにかく、この後生徒会でキッチョムに対する罰をみんなで相談する。・・・いいな。」

そう言い渡すとアメリー君はさっさと電話を切ってしまいました。

「む・・・むぅ!!」

チューゴ君は胃の辺りがシクシク傷むのを感じました。


「今朝、キッチョム君が町内の決まりを破って、ご近所に予告なしで花火を6発も打ち上げました。

花火が着弾した場所はニホン池のロシアノビッチ君のお家のちかく。

そのあたりはロシアノビッチ家や日ノ本家の人たちがよく釣りをしている場所で、まかり間違うと、その釣り人に花火があたり大怪我をしてしまいます。

それどころか狙いが逸れたら、ロシアノビッチ君のお家やニホンちゃんのお家に花火が飛び込んできてしまいます。

これは大変危ない事です。」

アメリー君は滔々と演説します。

ニホンちゃんはそれに大きく頷き応えます。

他のみんなもみなアメリー君の言葉に頷いています。

チューゴ君とロシアノビッチ君の二人を除いては・・・


「生徒会としてはキッチョム君に対し罰を与えたいと思います。賛成の人、手を挙げてください。」

アメリー君が決を取ります。

15人中13人が賛成に挙手。

そして・・・

「朕は反対アル。やはり穏やかに話し合いで解決するアル。」

「俺も反対だ。喧嘩腰ってぇのは良く無いなウィ~」


「やはりな・・・」

ゲルマッハ君は忌々しげにつぶやきました。

キッチョム家はチューゴ家とロシアノビッチ家とは長らく仲良くしていた(・・・というより子飼いの子分にしていた)ため、表立って粗末に扱えない事情があります。

さらにこの二人、そしてキッチョム家に顔が効くのを理由にキッチョム君の悪さを止める事を条件に近隣の家に無理難題を吹っかけていたのです。


しかし、キッチョム君が花火の打ち上げを強行した事により二人、特にチューゴ君の面子は丸潰れです。


勢い・・・生徒会執行部の面々は二人に冷たい視線を浴びせかけます。

「・・・あんなならず者を庇うなんて・・・なんて人たちかしら・・・」

軽蔑を隠そうともせずエリザベスちゃんがつぶやきます。

「まぁ・・・お二方共キッチョム君と同様にお下品な方々だった・・・ということなんでしょうね。」

青酸カリもかくやというフランソワーズちゃんの毒舌も爆発します。

そして一番恐ろしいのは・・・

ニホンちゃんが涙目で二人を睨んでいるという事です。

「・・・・・・!!」

「・・・・・・・・!!!!!」

その場はチューゴ君、ロシアノビッチ君にとって、針のむしろとなってしまいました。


しかし・・・この二人にも引くに引けない理由がありました。

キッチョム家が破産したりアメリー君の花火攻撃で家が焼けてしまっら浮浪者となったキッチョム家の人間がチューゴ君とロシアノビッチ君のお家に流れ込んできてしまいます。

つか・・・今でさえキッチョム家の人間が入り込んで浮浪者化していて物凄く迷惑しているのです。


「と・・・とにかく、朕は反対アル!!」

「お・・・俺も反対だ!!」


執行部役員の二人が反対だったので決が成立せず(地球小学校生徒会では決まりごとは執行部役員の全員一致が必要なのです。)散会となりました。


その日の放課後。

ウヨ君が5年生の教室に飛び込んで来ました。

「姉さん!!大変だ!!キッチョムが7発目の花火を打ち込んできた!!」

「・・・え?!」

ニホンちゃんが真っ青になって立ち上がります。

他の生徒達も騒然となりました。

「幸いまたニホン池に着弾したから被害は出なかったけど・・・今回は少しホンシュウの間に近かったよ!!畜生!!キッチョムめぇ!!」

「・・・とにかく・・・お父様とお母様に相談しなくちゃ・・・」

堪えるような声でニホンちゃんは、やっとそれだけ言いました。

「最低限度戸締りを厳重にしてキッチョムが台所に入り込まないようにして・・・それからマンギョンボン宅急便は日ノ本家出入り禁止だな!!いや、それだけじゃ手ぬるい!!もっと厳しい措置をしてやる!!」

ウヨ君は頭から湯気が出るくらい真っ赤になって怒り狂ってます。

ニホンちゃんは・・・静かに怒りをこらえてじっと黙ったままです。


クラス全員の冷たい視線がチューゴ君、ロシアノビッチ君に注がれます。

ロシアノビッチ君はウォッカをあおり現実逃避モードに移行しちゃってます。

チューゴ君は今朝からの胃の痛みが一層酷くなってしまいました。

「お・・・おのれ・・・キッチョム・・・朕に恥をかかせおってぇぇぇ!!」


しかし・・・チューゴ君の受難はこれでは終わりませんでした。

学校の帰り道肩を並べて帰るニホンちゃんとタイワンちゃん。

そして・・・不幸にも帰る方向が同じ為、チューゴ君も二人の後を少しはなれてトボトボと歩いていました。


そして・・・彼はニホンちゃんとタイワンちゃんの話を聞いてしまったのです。


「あたしんちもさぁ、チューゴの家の花火に狙いをつけられているでしょ?だからうちの警備員用ボートに積んである投石器の「雄風3」をもっと遠くまで届くようにしたんだ。

いざと言う時はチューゴの花火の発射装置をぶっ潰してやろうかと思って。

ニホンちゃんちもそうしたほうがいいんじゃない?」


「・・・そうね・・・かいじ叔父様のボートに積んであるハープーンもそういう改造ができるってアメリー君も言ってたし・・・そうしようかな。」


そういった時のニホンちゃんからは・・・デンジャラスなオーラがにじみ出ていました。


チューゴ君の顔からは血の気が引き、そして脂汗がタラタラ・・・

朝からの胃痛はますます悪化し、彼はその場にうずくまってしまいましたとさ。


おまけ

キッチョム君の「ぶらじゃー」であるカンコ君はどうしたのか?


キッチョム君の花火の打ち上げのドサクサに紛れ、日ノ本家の「竹島庵」に入り込み好き勝手やったせいで、キッチョム君とグルなのではという疑いをかけられ・・・チューゴ君やロシアノビッチ君に負けないほど町内と学校で顰蹙を買い、孤立無援の状態になってしまってました。


「アイゴォォォォォォォォ!!!」


「・・・やはりオッパにはカンコ家は任せられないニダ・・・ウリが何とかしなく


ちゃ・・・」

静かに決意を固めるチョゴリちゃんでした。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ