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第1話「カンコ君の生徒会立候補 」

本作品は10年前に罹れたものでその当時の国際情勢をもとに描かれてます。

今日も賑やかな地球町の地球町小学校。

カンコ君は今日もカンコ君です。

いつもの通り、ニホンちゃんに両手両足をバタバタさせて「謝罪要求」をしています。

「ニホンは勉強を教えてやった兄の国のウリナラをしんりゃくし、搾取したニダ!!

それでいい気になって贅沢な暮らしをしているのは絶対許せないニダ!!

ニホンはウリに心から謝罪しる!!保障しる!!反省しる!!」

毎度のことなので、すっかり慣れてしまったニホンちゃん。

適当な相槌をうって聞き流し、読書など楽しんだりしてます。

・・・しかし・・・よくこんな状況で本が読めますねぇ・・・ニホンちゃん。

「いつもの事だもん。」

・・・それもそうですね。(^^;)


ふと・・・気が付くとカンコ君の声が小さくなっています。

ニホンちゃんが本から目を上げると・・・

おやおや・・・今度はカンコ君ったら、無謀にもタイワンちゃんにからんでます。


「タイワン!!オマエなんかチューゴニムの分家のくせにナマイキニダ!!

おとなしくチューゴニムに忠誠を誓うニダ!!絶対服従しるニダ!!」

・・・な・・・なんという事を・・・

ああ!!タイワンちゃんの額に怒筋が一杯!!

カンコ君、危ない!!逃げて!!タイワンちゃんの八極拳が炸裂するよ!!

今、まさにタイワンちゃんが蹴りを繰り出さんと立ち上がった時・・・

いつの間にかカンコ君はその場を離れ、アッチコッチで大暴れしているじゃありませんか。


アルゼン君からスーパーカー消しゴムを掻っ攫ったかと思えばメヒコ君の机の上でいきなり大声でボエ~っと歌いだし、キリバスちゃんのスカートを豪快にめくり上げたかと思えば、返す刀でタイランド君を無理矢理シルム(相撲のカンコ家風の呼び方)に誘い、猛烈な突き出しで教室から追い出してしまったり・・・

いやもう・・・カンコ君絶好調。


「ウリナラは町内一優秀なみんじょくニダ!!ウリナラマンセー!!!!」


「は・・・はははははは・・・」

カンコ君のスパークするキムチパワーに恐れをなしたニホンちゃん、後ずさりながら廊下に避難します。

「触らぬ神にたたりなし・・・だもん。」

そりゃごもっとも。(^^;)


・・・と、そこには先に避難してきたアーリアちゃんとタイワンちゃんが。

「ったく・・・今日はバカンコ絶好調ね。はた迷惑さがいつもの2倍以上(当社比)って感じ。」

怒るというより、すでに呆れ顔のタイワンちゃん。

アーリアちゃんはカンコ君を汚物でも見るような目で一瞥すると、見なかった事にしようとばかりに話題を変えます。

「ニホン・・・そういえば今度兄様と一緒に生徒会執行部に推薦されたんだってな、がんばれよ。」


そうなのです。

地球町小学校ではいままで生徒会執行部はアメリー君、ロシアノビッチ君、エリザベスちゃん、フランソワーズちゃん、そしてチューゴ君の5人で執行部を運営していたのですが、もっと学校のみんなの意見が反映されるようにと校長先生がアジア班、南米班、ユーロ班からも執行部役員を追加で増やそうという事にしたのです。


アジア班からはニホンちゃんとイン堂君。

ユーロ班からはゲルマッハ君。

南米班からはラジル君・・・の計4人が推薦され執行部を承認を待っている状態なのです。

ニホンちゃん、みんなのためにがんばろうと張り切ってます。

「うん、あたしなんかが役に立つかどうかはわかんないけど、一生懸命やるから。

*・゜゜・*:.。.(*´▽`)パァァ.。.:*・゜゜・*:」


「アイゴォォォ!!!!!!納得できないニダァァァァァァァ!!」

「きゃ!!」(ニホンちゃん)

「う!!」(アーリアちゃん)

「うげ!!」(タイワンちゃん)

いつの間にか、3人の目の前に、顔をキムチのように真っ赤にしたカンコ君が立っていました。


「なぜニホンなんかが選ばれてウリが選ばれないニカ?!ウリの方が優秀なのに!!チュゲッタ!!これはニホンの陰謀ニダ!!卑怯ニダ!!反省しる!!謝罪しる!!ニホン!!兄の国たるウリナラにその座を譲れば許してやるニダ!!」


「い・・・いや・・・あの・・・その・・・」


いつも以上に恨パワー全開でファビョるカンコ君に圧倒され何をいったら言いか判らず口ごもるニホンちゃん。

さすがに「慣れ」も吹き飛んじゃったようです。

つ~かハッキリいって怯えちゃってます。

そんなニホンちゃんを見たカンコ君のサドっ気が発動!!

「チュゲッタ!!ヴェノム!!」そう叫ぶや否や、カンコ君の腕がニホンちゃんのスカートに伸びていきます。

危うし!!ニホンちゃん!!

・・・その刹那・・・


「黙れ!!下郎!!」

アーリアちゃんの拳がカンコ君の顔面にめり込みました。

「オマエなんかが執行部役員なんかになれるわけないだろ!!ざけんな!!バカンコ!!」

タイワンちゃんの回し蹴りがカンコ君の後頭部に炸裂!!

顔面と後頭部に同程度の衝撃を受け、その場で硬直するカンコ君。


「あ・・・ああ・・・ウワ・・・コレハシンダカナ・・・?」

いきなりのスプラッタシーンに目を丸くするニホンちゃん。

ニホンちゃん、こういうの苦手みたいですね。

「いこう、ニホン」

・・・とアーリアちゃんがニホンちゃんを促します。

「そうそ、バカンコのそばはキムチ臭いから。」

タイワンちゃんがニホンちゃんの手を取りさっさか歩き出します。

「う・・・うん。」

心配そうにカンコ君に目をやりながらも結局はアーリアちゃんとタイワンちゃんに連れられその場から退散していきます。


そして・・・彼女等が去ったと同時に崩れ落ちるように倒れるカンコ君。

お~い、生きてますか?

「・・・ウ・・・ウリナラ・・・マンセ~」

あ・・・生きてた。



その日の夜。

カンコ君はくやしくて眠れません。

生徒会執行部役員増員を決める生徒総会のプリントをエラを震わせながら睨みつけてます。

「チュゲッタ!!ヴェノムの分際で兄の国を出し抜くとは・・・ニホンはやっぱり悪いう奴ニダ!!絶対懲らしめてやるニダ!!」


・・・なんでニホンちゃんがカンコ君に懲らしめられなくてはならないのか・・・イマイチ理解不能ですが・・・ウリナラ脳では既にそういう定説が完成してしまっているようです。


歯軋りしながらプリントを最後まで読むカンコ君。

一番下に小さな文字で書いてある一行を見つけました。


「生徒会役員補佐、立候補募集中」


カンコ君のウリナラ脳に稲妻のような天啓が閃きました。

「よぉぉぉぉぉっし!!!ウリは生徒会役員(補佐)に立候補するニダ!!当選すれば学校中にウリの偉大さを知らしめる事が出来るニダ!!ホルホルホルホル♪ウリナラマンセー!!!!!!!!!!」


おお・・・なんか異様に盛り上がっちゃってますよ。

まぁ・・・当選できるといいですね、がんばってねカンコ君。(^^;)

・・・って・・・立候補の締め切り今日の放課後3時ってなっているじゃん!!

もうとっくに過ぎちゃってるよ?!

「ケンチャナヨ♪」


翌日

生徒会室のまえで両手両足を振り回し大騒ぎして無理矢理立候補を認めさせたカンコ君。

さすが・・・ケンチャナヨ精神は無敵です。

その勢いを駆って選挙運動開始です。


「ニホン!!ウリは生徒会役員(補佐)に立候補したニダ!!兄たるウリに投票しる!!投票しなかったら謝罪と反省と保障を要求するニダ!!」

ニホンちゃん、昨日と変わらないカンコ君のキムチパワーに辟易しながらも日之本家特有の「アルカイックスマイル」を浮かべながら言いました。

「・・・考えとくね。」


「ホルホルホルホル♪♪マズはニホンの支持を取り付けたニダ♪ウリナラマンセー!!!」

・・・あ・・・あのね・・・カンコ君・・・ニホンちゃんのお家で「考えとく」ってのは遠まわしな「お断り」なんだけど・・・って、聞いてないよ!!

次はタイワンちゃんの所へ向うカンコ君。

意気揚々と切り出します。

「タイワン!!次の生徒会役員(補佐)選挙でウリに・・・」

バコ!!!!顔面にタイワンちゃんの正拳突きがめり込む!!

「あたしには投票権ナイんだよ!!」

そしてジロリと傍にいたチューゴを睨みつけます。


そうなんです。

最初はタイワンちゃんが執行部の役員だったのですが、横からチューゴ君が割り込んできてタイワンちゃんを追い出したうえ生徒会の投票権も取り上げちゃったのです。

いぢわるですねぇ・・・チューゴ君は。


風向きが悪くなってきたのを感じたチューゴ君、ソソクサと逃げに入ります。

「おのれ・・・カンコ!!宗主たる朕を巻き沿いにするとは!!後で体育館の裏でボコるアル!!」


気の毒なカンコ君・・・とりあえずチューゴ君にボコられる前にタイワンちゃんにボコボコにされちゃってます。

「だいたい!!アンタとは断交したはずだろ!!どのツラ下げてきやがった!!」

「アイゴォォォォォ~」


ボロ雑巾のようになってほうほうの態でタイワンちゃんから逃げ出したカンコ君。

めげずに次の有権者のところへ。

いやぁ・・・不屈の闘志・・・ですねぇ。

おや、今度はベトナちゃんですか?


「ベトナ!!次の生徒会役員(補佐)の選挙ではウリに・・・」

そこまで言った途端、カンコ君は凍りつきました。


そう・・・ベトナちゃんが絶対零度の冷たい目でカンコ君を睨んでいたのです。

「カンコ君・・・あたし・・・忘れてないから・・・」

その台詞で、カンコ君の顔から滝のような汗が流れ落ちます。

カンコ君・・・キミ、ベトナちゃんになにしたの?!


そこまで言ったベトナちゃん、無言でカンコ君に背中を向けます。

その背中からは「帰れ!!」というオーラが発せられてます。


哀れカンコ君、すっかりビビッて両手両足を同時に動かしすごすごと退散して行きました。


その後・・・カンコ君は学校中の有権者に支持を訴えに廻りましたが、水をぶっかけられたり、無視されたり、逃げられたりと散々な目に合い、そして最後はチューゴ君に体育館の裏に連れ込まれボコボコにされ・・・と無残の一言でした。


にもかかわらず・・・カンコ君は妹のチョゴリちゃんを連れ、なぜか意気揚々と下校していきます。

「ホルホルホル♪手ごたえはバッチシニダ♪これでウリの当選は確実ニダ♪」


えええええええ????!!!!

・・・ど・・・どうしてぇ????!!!

・・・ど・・・どうも・・・カンコ君のウリナラ脳は特異の方程式で、あの生徒たち皆のリアクションから「当選確実」という答えをはじき出したようです・・・


「すごいニダ!!さすがオモニは学校で一番の人気者ニダ!!」

お兄さん想いのチョゴリちゃんはカンコ君の大本営発表を素直に信じてくれます。

「当選した暁には、ニホンをウリの足元に平伏させ下僕にして毎日謝罪と保障をさせてやるニダ!!ホルホルホルホル♪」


あ・・・あの・・・カンコ君?

ニホンちゃんが推薦された執行部役員って・・・キミが立候補した「生徒会役員(補佐)」よりはるかに上のポジションなんだけど・・・って、やっぱり聞いてないよ!!


「ウリナラマンセー!!!!!!」

夕焼け空に、カンコ君の雄たけびが響きました。


そして選挙結果発表。

ペナン君:181票

フィリピーノ君:179票

アルジェちゃん:178票


----以下落選----

カンコ君・・・1票(自分で入れた)


その瞬間、カンコ君の世界は真っ白に凍りついた。


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