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〜異世界冒険記〜新しい勇者がやってきた

エルは少し悩んでいた。それはワタル達がモンスターを狩らずにほのぼのを続けていたからだ。そのためエルはある行動に出ることに………

 (何ががおかしい…)


そんな気持ちに襲われながら、俺こと廣瀬ひろせ 勇人はやと(25)は今日も仕事をしていた。


俺は建設業をしていて、仕事が終わると家に帰り、漫画やゲームにアニメと高校生みたいな生活をしていた。


見た目は短髪で、身長は180cmと少し平均より高いぐらいだった。


そんな生活をしていたとある日のこと、家から仕事場へ車で行き、朝礼をしていた。


不意に、


(あの人、今から欠伸をするな。)


と確信を持っているかのように思っているとホントに欠伸をした。


それからも仕事中に連絡事項を確認していると、


(今からあの人、こういう事言うな。


あの人は今から手に持っているものを落とすだろうな。)


そんな予知みたいなことが出来た。


別にじっくりと見たわけではなく、何となく見ていると、頭の中に勝手にその後の映像が流れてきた。


(やっぱり今日の俺は何だかおかしい…


早めに帰らせてもらうか。)


そう思い、上司に早退することを伝え、車に向かった。


 車のところへ着き、車のエンジンをかけた。


いつもなら少し経って車のナビが光りだすはずだったのだが、


「おいおい、ナビまでおかしくなっちまったのか?」


そう呟いた。


ナビを見ると、何やら模様が映されており、よく見るとアニメや漫画で見たことのあった魔法陣だと分かった。


「ははっ、アニメや漫画のようなフィクションの世界ならこれを触ると異世界へ行けるようだが、現実じゃあ行けるわけないんだよ。」


勇人はそう思っていた。


確かにアニメや漫画は好きでよく読んではいたが、現実とフィクションの区別はしっかりとついていた。


なので、


「触っても何も起きやしないんだ。


だったら触ってみて明日、


「昨日、車の中に急に魔法陣が現れたんだけど、触ってもないも起きなかったぜ!」


と言って笑い者にでもされておくか…」


今日起きていた不可思議な現象に少し参ってしまっていた勇人は躊躇いなく魔法陣に触れた。


しかし、何も起きなかった。


「ほら、やっぱり何も起きない!


やっぱりフィクションはフィクションでしか無いんだ!」


そう思い、触れていた魔法陣から手を離そうとした。


しかし、


「何だ!


急に魔法陣が光りだしたが、何が起こってるんだ?」


勇人はそんな風に言ったが光は次第に強くなり、車の中が光で満たされていった。


収まるとそこには誰も居なかった。



 エルは悩んでいた。


「ワタル達を送った世界には今、勇者が居ない。


一応ワタルを勇者ってことにして、色々準備をさせて送ったのだけれど、勇者らしいことはせずにずっと〈始まりの村〉に住んじゃってる。


確かに、魔王が居ないから勇者の出番はないのだけど、一応あの世界には人に害をもたらすモンスターが居るから出来たらそれを退治して欲しかったんだけどね…」


ワタルには勇者としての才能はなかったが、それと同時に困っている人を見捨てる人ではない。


だが、とても優しい人である事も資料を読んで知っていた。


だからあの世界に行って旅をしてたくさんの人を救うだろうと期待して、色々持たせて旅立たせたのだが。


「これはもう1人、勇者として喚ぶしかないわね…」


エルはそう決意した。


しかし、勇者候補の資料は調べ終わってしまっていたので、悩んでいた。


「とりあえず、見落としがあるかもしれないからもう一度資料を漁ってみましょうか。」


そう思い、資料に目を通していった。


 「あれ?この資料、よく見たら2枚重なってる。」


資料を漁っていると、2枚が重なってるのを見つけた。


「これで運良く勇者の適正が高い人だったら良いんだけどね…」


あまり期待をせずに目を通していった。すると、


「この人凄い!


勇者としての適正が歴代トップじゃない!


しかも性格もそこそこ良く、人の話もきちんと聞いてくれるらしい。


え〜と、名前は「廣瀬ひろせ 勇人はやと」名前に勇って入ってるし、これほど適任って人はいないでしょ!」


エルは興奮していた。


なのですぐに連絡をしようとスマホをとり電話をしてみた。


ちなみに、実際には電話という風にはならず直接、頭の中に内容が伝わるのだが、


「あれ?繋がらない…どうしてなの?」


伝えようにも相手に繋がらなく、それから何度も試してみたが同じく繋がらなかった。


「しょうがない。もう繋がらないから事前に伝えるのはやめた!


おとなしく、こっちに来てもらってから説明しよう!」


そう吹っ切れて、魔法陣の用意をした。


 「え〜と?今から帰るらしいから、この魔法陣はどこに置こうかしら?


運転席だと、確かに1番確実だけどこの魔法陣は少しの間、触れていないと魔法が発動しないのよね。


もし驚いていて、席から離れてしまったら召喚出来ないし…」


と悩んでいた。


その間にも勇者候補の男は車に近づき、そして車の中に入って運転席に座ってしまった。


この魔法陣、ワタルの時は事前に場所を伝えられたので、予め設置出来ていたのだが、設置する前に何か物などがあると設置出来ないのだ。


「どうしよう〜もうエンジンもかけちゃてるし急がないと…」


焦ったエルはもう、なりふり構っていられずに、


「失敗の可能性も高いけどイチかバチか―――ここに決めた!」


そうして決めたのがナビの画面だった。


ナビのだが画面なら自分で見てから触るのですぐに手を離すことはない。


しかし、怪しがって触らない可能性もかなりあるので本当に賭けだった。


「お願い!触って!」


そんなエルの祈りが通じたのか男はナビに現れた魔法陣を触った。


「よし、後は起動をすればっと。」


エルが呟き、魔法を起動した。


この起動するまでの間、触り続けていてもらわないとこの場所に来てもらえないので、


「そのまま触り続けていてね〜。」


そう思いながら、手早く魔法を起動していった。


どうやら間に合ったらしく男は光に包まれていった。 


「よし!転移は成功したわ。もうすぐここにあの男が来るから、それまでに色々と準備と説明の用意をしておかなくちゃ!」


エルは、男に必要な物の準備と、ここに喚ぶことになった理由の説明を考えながら男が来るのを待った。


 光が収まったようで、目を開けると目の前には1人の少女がいた。


何でここに少女が?と、そう思っていたら、


「突然で悪いけど、ワタシはエル。アンタをここに喚んだのはワタシ。


いきなりで悪いんだけど、これから異世界に行って勇者として生活していってもらいたいの!」


目の前の少女が、予め考えていたかの様にそんな事を言ってきた。


なので、


「とりあえず、こちらも自己紹介させてくれ。


俺の名前は、廣瀬 勇人だ。


車の中で魔法陣みたいな物があったんで、どうせ何も起きないだろうと触って少ししたら、急に光に包まれて、眩しくて目を閉じてたんだ。


収まったと思って目を開けたら、目の前にはアンタが居たんで、びっくりしたぜ。」


こちらも自己紹介をしておいた。


喚ばれたということは俺の事は知っているだろうが、一応は礼儀としてしておいた。


「ごめんなさいね、事前に連絡をしようと何度かアンタに呼びかけたんだけど、繋がらなくてね。


だから、こっちに来てもらってから説明しようと思ったのよ。


多分だけど、何か普段と変わったことがなかった?


たまにアンタみたいに繋がらないこともあってね。


そんな人達はみんな来るときに不思議な体験をしたって言ってたから。」


(なるほどね。


どうやらあの予知みたいなのは女神とやらが連絡しようとした影響で起こってたわけだ。)


俺はようやく納得出来た。


普段からあんな予知が出来たら、俺は今頃占い師として世間から注目されていただろうな。


そんなことを考えていると、


「とりあえず、さっきも言ったとおりアンタにはこれからとある世界に渡ってもらい、そこで勇者としてモンスターを倒していってほしいの。


勇者といえば魔王を倒すってのが定番なんだけど

これから行く世界には魔王は居ないの。


でも、モンスター達が溢れていて、たくさんの街や村が被害を受けているの。


だからそんな村や街を助けて欲しいの!」


目の前の女神が言った。


とても女神には見えないが、俺が実際に召喚された事を考えると、どうやら本当に女神様なんだろう。


そんな事を思いつつ、


「そうだな。それが俺の役目ならしっかりと果たそう!」


俺はそう答えた。


確かにいきなり勇者と言われ、異世界でモンスター達と戦うなんて、アニメや漫画でしか見たことがなかったが…


そんな生活をしてみたいという願望もあった。


だからやってみようという気持ちになった。


「ありがとう。助かるわ。


実はアンタの前に別の人を1人喚んだんだけど、転移させた近くの〈始まりの村〉ってところにずっと住んでいてね。


どうやらそこの生活が良かったらしくて、全然旅に出ようとしないのよ。

 

そのせいでモンスターが溢れちゃってね。


しかも不思議なことにその村の近くにはモンスターが発生しないらしくてね。


だからもしかしたら、モンスターなんて居ないと思ってるかもしれないわ。」 


(へえ〜、何だかのんびりしている奴だな。)


俺はそう思った。


普通なら勇者だって言われたら旅に出てみたくなるだろう。


実際に俺は旅に出たくなってるし。


「ちなみに、その喚んだ人、実は勇者の才能があまりなくてね。


色々持たせて、勇者(仮)としていたの。


だから、正確には勇者ではないのよ。」


エルはそう補足した。


なるほど、確かにそれなら旅には出ようと思わな


くても不思議でない。


期待されてないと始めから言われたらやる気も出ないだろう、俺はそう思った。


まあ実際にはマリが一緒に居たりするのだが、犬から獣人に変えるのは禁忌に触れてしまうのでエルはそこの説明は省いていた。


「あとね、勇者って世界に1人しか存在出来ないの。


今はワタルが仮の勇者になっていて、これからそこにアンタも行ってもらうんだけど…


何でかは分からないけど、正式な勇者と仮の勇者が接点を持つと仮の勇者まで、正式な勇者として扱われちゃうのよ。


勇者が2人になると色々と面倒な事が起こるのよ。


だからお願いだからあまり村には近づかないでね?


多分ワタルは村から出ないと思うから、こちらから村に行かない限りは会わないわ。」


(なるほどね。


勇者は世界に1人しか存在できない、お約束だな。)


アニメや漫画でも確かにそんな感じだったので、


「分かった。村には近づかないぜ。」


「助かるわ。」


そこで一旦会話が途切れた。


 「ところで武器とかは貰えるのか?」


気になったので俺は聞いておいた。


アニメや漫画では、たいてい異世界へ行く勇者ってのは女神やら神に何かしら特別な物を貰えていた。

 

なので俺も何か貰えるだろうと期待していた。


「心配しないで。もう準備してあるから。」


と女神が言い、続けて、


「はい。これがアンタの武器のヘルサイスよ。」


と1本の鎌を渡された。


ちなみに、何で鎌だったのか理由を聞いてみると、


「アンタが仕事で使っていたツルハシがこの鎌と似ていたからね。


出来るだけ慣れ親しんだ物に近いものを選んだつもりよ!」


とのこと。確かにツルハシに近くて使いやすかった。


「サンキュー!」


俺はそう言った。


「ちなみに、そのヘルサイスは手を離すと自動でしまわれるわ。


出したい時は、手を前に構まえて軽く握るようにしたら出てくるから。」


そう女神が言ったので、俺は試してみた。


手を離してみると光の泡になって消えて、今度は出してみようと手を前に突き出し、軽く握ってみた。


するとその手の中にはいつの間にかヘルサイスがあった。


「なるほどね。これは便利だな。」


俺はそう言って鎌を離してしまっておいた。


「これで一応説明は終わったけど、何か他に聞いておきたいことはある?」


女神が尋ねてきたので、


「本当に魔王は存在しないのか?」


と少し気になっていたので聞いておいた。


確か勇者が生まれると魔王も一緒に生まれると、読んでいた漫画ではそんな感じになっていた。


「確かにアンタが行くと、正式な勇者が誕生したことになるから魔王も誕生するかもしれない。


でも、アンタなら魔王だって倒せる、アタシはそう信じてるわ!」


(ここまで言われたら俺も1人の男として頑張らないとな!)


なので、


「よし分かった!


もし魔王が誕生したら俺が倒してやるぜ!」


俺が力強くそう言ったので女神は安心したように、


「良かったわ。それじゃあ、ちょっとついて来て。」


とついてくるように言われたので、俺はついていった。


 連れられた先に石板があり、どうやら触れるとその異世界に行けるらしい。


「その石板に触れて異世界に行くと、もう元の世界には帰れないけど良い?」


そう聞いてきたので俺は、


「もう覚悟は決まってる。だから問題ないぜ!」


そう言いつつ石板に近づき、そして触れながら、


「それじゃ、行ってくるぜ!」


俺はそう言って女神に別れを告げた。


エルはひと安心していた。


「これでワタル達が居る世界も大丈夫ね。」


そう言った。これで始めのモンスター退治は解決できた。


でも、勇人が聞いてきたように、勇者と魔王は切っても切れない関係にある。


だから多分魔王も誕生してしまうのだが、


「まあ勇人なら大丈夫でしょう。


それにもしダメでもその時はきっとワタル達がきっとなんとかしてくれるわ。」


ワタル達には最終手段として箱を渡してある。


あの箱は何でも生み出したり、武器にも出来る。


その時に多少の体力を使ってしまうが、その人の想像力や創造力次第で世界だって破壊できてしまう。


だから正しく使える人に渡そうと思っていた。


ワタル達なら間違った使い方はしない、そんな確信があったから箱を渡しておいた。


だから、


「もしもの時はよろしくね、ワタル。」


ワタシは、そう呟いた。



 一方、そんな少し重たい感じになっていた頃、ワタル達はというと、


「ワタル、これでやっと。」


「そうだな、マリ。これでやっと。」


そうして2人、声を揃えて、


「「温泉の完成だ〜!!!」」


温泉を作っていた。



                        続く

今回は正式な勇者がやってくる話を書かせてもらいました。少し重い雰囲気になってしまいましたが、次は読んだら分かるように温泉回にしたいと思っています。残念なのはアニメみたいに絵がないので、読んで想像していただくしかないのですが、そこは皆さんの想像力を期待しています。それではまた次回もお楽しみに〜!

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