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〜異世界冒険記〜女神に振り回されてみた

川から流されてきた聖女。理由を聞くとどうやらエルが関わっているらしい。そしてワタル達はエルのせいでどだばたしていき………

  川から家に戻ってきた。

エルからは、色々衝撃的な事を聞いたばかりだが、まずは女性の無事を確認したかった。

 女性は陰で寝ていて、扇風機で風を当ててもらっていた。

 首にはタオルが巻かれてあり僕が言ったとおりにしていたので、

「よくやったな、マリ。」

とマリを褒めた。

 マリは嬉しそうに尻尾をバタバタさせながら、

「トモコさんが言うには、しばらくしたら目を覚ますだろうって。

 だから安心して良いよワタル。」

とりあえずひと安心だ。


 多少の知識はあってもやはり経験からの推測の方が信頼できる。

 しかし、大丈夫とは言われてもやはり心配だったので目を覚ますまでは側に居ようと思い、女性の近くに腰をおろした。

「ワタル?エルから何か言われたの?」

 普段から一緒に生活をしているので、ちょっとした変化からマリには見抜かれてしまった。

 なので僕はエルから聞いたことをそのままマリに伝えた。


「へぇ〜、まあとりあえずはこの女性、えっとエルが言うにはシャルロッテ?が目を覚ましてからだね。

 まずは話をして見ないと分からないことも多いし、それから考えても遅くないよ、きっと!」

マリがとても頼もしく思えた。

 元々は犬のはずなのだが、たまに経験を重ねた大人みたいな事を言うので驚かされる。

「そうだね、考えててもしょうがないから目を覚ますまでは待ってようか。

 ありがとねマリ。」

僕はマリの頭を撫でながら女性が目を覚ますのを待った。


 しばらく待っていると、女性は目を覚ましたようで少し寝ぼけているみたいにボーッとしていた。

 そうして次第に目が覚めてきたみたいで、こちらを振り向き、

「えっと、ここはいったいどこなんでしょうか?」

 丁寧な口調でそう尋ねてきたので、

「ここは始まりの村で、この家は一応僕達の家だね。

 ちなみに僕はワタル。向こうで少しバテているのが獣人のマリだよ。

 そして今は居ないけど、僕達がお世話になっているトモコさんが居るよ。」

そう答えた。


 一応僕達2人は、トモコさんから家族だよとは言われたがまだ慣れないので曖昧あいまいにしておいた。


 女性は僕とマリを眺めていた。

ちなみにマリはというと床に突っ伏していた。

 この暑さの中で全力疾走をしたのでヘバッてしまったのだろうがマリは、

「よろしく〜…」

一応ではあるがそう言って元気なく挨拶をした。

 尻尾も下がっていてホントに疲れているらしい。

なので、

「早く水を飲んできなよ。

お前まで熱中症になられたら大変だから。」

僕はマリに向かって言ったが、

「無理〜もう1歩も歩けない…。」

というので仕方なく僕はキッチンから水も持ってきてマリに上げた。 

 ついでに女性の分も持ってきたので、

「良かったら飲んでください。」

そう言ってコップを渡した。

 女性は、

「ありがとうございます。」

そう言って水を飲んだ。


 少し落ち着いたのでゆっくり話を聞くことにした。

「とりあえず貴方のお名前も教えてもらえませんか?」

僕はそう言った。

 エルから教えてもらってはいたが、ここは聞いておかないと不自然に思われてしまうので聞いてみた。

 女性は、

「ご挨拶が遅れて申し訳ありません。

わたくしは、シャルロッテと申します。

 一応、聖都では聖女として教会で働いておりました。」

そう挨拶をしてくれた。


 エルから聞いた通り、この女性はシャルロッテさんで聖都の教会で働いていたらしい。

 僕は、

「えっと、聖女様って事は偉い人なんですか?」

そう尋ねた。

 エルからは名前と教会を辞めた理由しか聞いていなく、聖女というものがどういう存在なのか知る必要があったからだ。 


 シャルロッテさんは、

「聖女とは女神様から選ばれるもので、私のときも家で家事の手伝いをしている時に突然、頭の中に声が聞こえてきました。確か、

「アンタはたった今、聖女に選ばれたわ!頑張ってね!

 ちなみに必要な物は教会に全て揃っているからそのまま来ても大丈夫だから!」

そう言われました。」

と言った。


僕は、

(いかにもエルらしいな…)

そう思いつつも、シャルロッテさんが話を続けようとしていたので話に集中していった。

「そこから私は、聖女として教会で働きました。

働いたと言っても教会に来た人の相談や悩みを聞くだけの簡単なお仕事ではありました。

 それに教会の中も涼しくて、とても快適でした。」

(あれ?エルの話では、上司からセクハラを受けていたって聞いたはずなんだけど、違うのか?)

 少し雲行きが怪しくなってきたが、僕は続けて話を聞いた。


「そうしてしばらくの間、教会で働いていたのですが、仕事も終わり教会に誰もいなくなった頃にエル様の声が再び聞こえてきました。

「突然だけど、たった今〈始まりの村〉に勇者がやってきたわ。

 でも勇者としてはあまり才能がないの。

でもその息子には期待できそうなの。

 ただそれにはアンタと結ばれるのが条件なのよ!

 だからすぐに〈始まりの村〉に向かってくれない?

 見た目は30代ぐらいで、名前は〈コウ〉って言うの!

 あ、聖女の仕事ならこっちで後任を見つけておくから安心して行ってきてね!」

 確か、こんな内容のはずでした。」


(頭が痛くなってきた…)

とりあえず後でエルに聞こう、そう心に決めた。

 そして話しは続き、

「そのお告げを聞いたあとに私は、聖都を出発しました。

 夜の間も歩き続けていつの間にか朝になっていました。

 その後も歩き続けていたのですが、飲み物も既になくなってしまって喉も乾いてしまっていました。」 

 ここで一息してから続けて、

 「しかし、あの日はとても暑くてもう歩くのもやっとでした。 

 そうして歩いているうちに川が見えてきて、ようやく水が飲める、そう思って気を緩めてしまいました。

 その後は記憶も定かではないのですが、こうして助けられてしまったということは、きっと川へ落ちてしまったのでしょう…」

そう申し訳なさそうに言った。


「いや大丈夫だよ、ただ僕は少し用事が出来たから席を外すね?

 その間はマリ、よろしくね。」

「分かった!」

と元気よく返事をしてくれたので僕は少し外に出た。もう日も暮れていたがまだ少し暑かった。

(これからもっと暑くなるんだよな…

これからもっと暑さ対策をしないとな!)

 そんなことを考えながら、ポケットのスマホを取り出しエルに電話した。

 

 エルはすぐに出て、

「やっぱり説明しなきゃダメ?」

「当たり前だろ?」

 やはりエルは僕達の様子を見ていたらしく、そこからエルの説明が始まった。


 ワタルが異世界に渡って少し経った頃、エルは悩んでいた。

「ちょっとマズイわね…

どうやら魔王が誕生しそうになってるわね。」

 エルは2つの世界を管理している。

1つはワタル達が送られた世界で、あちらは魔王が誕生しそうな感じもなかったし、それにもし誕生してしまっても、一応ワタルを勇者(仮)として召喚したので今のところは問題ない。


 問題なのはもう1つの世界だ、そちらは今勇者がいない。

 一応、他の世界から喚ばなくても勇者は魔王が誕生すれば一緒に誕生するものなのだが、どうやら魔王が誕生しても勇者は誕生しなかったらしい。

「う〜ん、ワタルをあっちの世界に送ったのは間違ったかしら…」

少し後悔を思想になっていると、

「おや?ここはいったい何処なんだ?」

扉が開き、そんな声が聞こえてきた。

「アンタ、どうやってここに来たの?」

 エルは少し警戒した。 

自分から喚ぼうと思って探した人ならあまり警戒しないのだが、迷い込んで来てしまった人もたまにくるのでそういった人は割と危ないので注意が必要だった。


 見たところ歳は30代ぐらいに見え、見た目は黒髪のロングヘアーで太っていた。

 どうやら引きこもりの男が来てしまったらしく先程のエルの質問に、

「いや、パソコンをイジってたら急に変な模様が出てきて、気がつくと変な空間にいたんだよ。

 扉に「異世界への扉」と書かれていたから、もうあの世界には未練もなかったからいい機会だと思い扉を開けたら、君が居たんだよ。」

男はそう答えた。

「え〜と、この人の才能はどんな感じかな〜と。…え?」

エルは驚いた。

 この男自身には勇者としての才能はほとんどなかった。

 だが、この男の()()()には、勇者としてかなり期待できるものを持っていた。

(今すぐに魔王に対抗は出来ないけど、将来的になら…)

エルはそう期待して男に、

「ねぇアンタ。異世界に行って勇者を育ててみない?」

そう言った。

「勇者を育てる?自分が勇者にはなれないの?」

と疑問を口にしたので先程エルが調べたことを伝えた。

「アンタ自身には勇者の才能がほとんどない、でもアンタの子供なら勇者の才能がありそうなのよ。

 だからアンタにはこれから行く世界で生活してそこで結婚して子供を産み、育ててほしいの!」

そう男に伝えた。

 

男は、

「結婚か…。

この見た目だからどうせ誰も結婚なんかしてくれないよ…。」

そう呟いた。

(確かに見た目は結構酷いけど、頑張ってもらわないと世界が…)

エルがそう思っていると、ふと思い出した。

(確かあの世界には勇者と聖女は夫婦になるって決まりがあった筈よね?

なら!)

だから、

「問題ないわ!

 これから行く世界は勇者と聖女は夫婦となる決まりがあるの!

 だからアンタは聖女を頑張って探して!」

男にそう伝えると、

「そうなのか…。元の世界では結婚したかったけど出会いがなかった…。

 だがそんな決まりがある世界ならこんな私でも!ぜひその世界へ連れて行ってくれ!」

エルはひと安心した。


だが、

「ところでアンタ、名前は?」

自分が探したわけではなかったので名前を知らなかった。

だから聞いておこうと思った。

「おっと、紹介が遅れたね。

私はコウ、漢字にすると航と書くよ。」

 偶然にもワタルと同じ漢字だったので

ワタルを喚んだ影響でついでに喚ばれてしまったのかなと思ったがとりあえず、

「よし、それならコウ。

アンタは着いたらすぐに村を目指して!

多分近くに、〈始まりの村〉があるからそこに居て。

 これから行く世界はかなり広いから聖女は、私が探してみるわ。

 多分すぐに見つかると思うから、見つかったら連絡するわ!」

「よろしく頼むよ!」

そう言って男を転移させた。

「とりあえずはこれでよし、後は…」

とエルはそう呟き、聖女を探そうとした。

だが、

「あれ?

今送ったのってどっちの世界だったっけ?」

ついさっきのことなのにもう忘れてしまっていた。

 少し焦っていたのでど忘れしてしまった。

「まあ調べたら分かるけど面倒だから両方に連絡しちゃお!」

そう言いながら、2つの世界に連絡した。

偶然にも聖女の名前はどちらの世界も「シャルロッテ」だった。

 これがこの勘違いの始まってしまった原因にもなってしまった訳なのだが、エルはお構いなしに連絡を始めた。

「突然だけど、たった今〈始まりの村〉に勇者がやってきたわ。――――。」

そうして一通り説明を終えたエルが、

「これでよし!これで世界は守られるわ!」

少し興奮気味だった。 

なので落ち着いてくると、

「あれ?2つの世界に連絡したってことはワタルの世界にも連絡がいってるのよね?

つまりは………。」

 よしとりあえず、今のうちに代わりの説明をワタルにしておきましょうか。

 どうせいずれバレちゃうけど…」 

とスマホをとりワタルに電話した。←(ここは前の話のエルがワタルに電話をしたシーンなので省略します。)


 エルからの説明を聞き終わると僕は、

「なんで連絡の時にしっかり調べなかったんだよ!

調べてたらこんな間違い、起きなかっただろうが!」

声を荒げながらそう言った。

もう1つの世界なら問題はないだろうが、こちらの世界はいい迷惑だった。


 僕は別に問題ないのだが、シャルロッテは既に人生が変わってしまっていた。

なので、

「聖都の聖女探しはもう終わっているのか?」

少しいつもの口調から変わってしまっていたが気にしなかった。

 エルは、

「うん…もう見つけて今教会で働いてもらってる。

 しかも、既に馴染んでちゃってるから今から、

「アタシの勘違いだった。

ごめ〜ん。だから元の場所に帰って」

とはもう言えないのよ…」

「何でそういうところは早いんだよ…」

僕は呆れてしまっていたが僕は、

「それなら彼女はどうすればいいんだ?」

エルに聞いた。

 すると、

「悪いんだけど、この村に住まわせてくれない?もう聖都の教会には帰してあげられないし、

お願い!」

と頼まれた。

 僕はやれやれといった感じに、

「今度何かお礼としてこの借りを返してもらうからな…」

そう言い、電話を切った。

 電話を終え、家に戻ってくるとマリとシャルロッテさんが一緒に遊んでいたので、どうやら元気になったらしい。

 そう思いながら家に入ると、

「長かったけど、何してたの?」

マリが聞いてきたので、

「エルと少し話してた。」

そう答えたのでシャルロッテさんが、

「女神様と話すことが出来るんですか!素晴らしいです!」

そう言って目をキラキラさせていたので、どうやらこの世界で女神と話せることはないらしく話せるのは聖女みたいな人だけらしい。

 なので、

「いや、この世界に来るときにこのスマホで連絡をとれるようにしてもらったんだよ。 

 だからこのスマホを使えば誰でもエルと話せるよ。」

そう説明した。

「すまほ?

聞いたことがないのでよく分からないのですが、便利なものなのですね!」

 シャルロッテさんはそう呟いていた。

そこでマリが、

「それでエルと何を話していたの?」

と聞いたので僕はさっきのエルの説明を2人にした。


「なるほど〜。

 それでは結婚の話はこことは違う世界にいる他の「シャルロッテ」という人で私のことではなかったと、そういうことなんですね?」

 そう話した。

「そのようだね。

しかもシャルロッテさんの聖女って仕事も、今は他の人がしているらしいし、聖都に戻っても聖女としての仕事は出来ないらしいよ。」

僕はそう言った。

(これからどうしよう?

エルの言う様にこの村に住んで貰うのが1番なんだろうけど、この村でやってもらう事は何かあったかな…)

そう迷っていると、

「シャルロッテって何か特技とかはないの?」

 マリがそう聞いたのでシャルロッテさんは、

「そうですね〜、特技というほどではないですが、料理や洗濯などの家事ならだいたい出来ますね。」

そう答えたので、

「それじゃあ家事をお願いしようかな。」

 そう言って僕はシャルロッテさんに、家の家事をしてもらうことにした。


 これまではトモコさんがしてくれていたが、歳のせいで苦労しているのをよく見ていた。

 僕とマリは手伝おうとしたが、僕達は2人とも不器用で料理や洗濯をしても余計にやることを増やしてしまっていて、邪魔をしてしまっていた。

 トモコさんは気にしていなかったが、僕とマリは何かいい方法はないかと考えていた。

 そこへちょうど家事の得意なシャルロッテさんがきてくれたので思い切って頼んでみた。


シャルロッテさんは、

「そういうことなら是非私にやらせてください!」

 そう言って家事をトモコさんの代わりにしてくれるようになった。

「いや〜、本当に助かったよ。

僕とマリは不器用で力仕事しか出来なくてね…」

僕が少し申し訳なさそうに話すと、

「いえいえ。

この家に住まわせてもらうのですからこれくらいは手伝いますよ!」

と笑顔で答えてくれた。

 一応この村に住まわせる条件として家の、家事を手伝ってもらうことにしたのだが、本当に良かったのだろうか、そう思っていると、

「大丈夫ですよ。

私、家事をするのも好きですから!」

「そう言ってもらえるなら助かるよ。」

そんな会話をした。


 エルのミスのせいで色々と迷惑をかけてしまったので大変だった事は間違いないのだが、気にしていないなら良かった。

そう思いつつ、

「この村はどう?」

シャルロッテさんに聞いてみた。

シャルロッテさんは、

「とても住みやすくて良いですよ。

挨拶をするときちんと返してくれますし、何より近くに川があるので近くに行けば涼しいですし。」

と満足そうにしてくれていた。

 なので、

「これから色々大変だとは思うけど、これからもよろしくね!」

僕がそう言うと、

「こちらこそ、これからあの家に住まわせてもらう身ですので頑張っていきますので、どうぞよろしくお願いします!」

 シャルロッテさんはそう言い、今日という日が始まっていった。

少し遅れてしまいました。次はもう少し早く投稿したいです。それでは次回もよろしくお願いします!

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