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〜異世界冒険記〜村の手伝いをしてみた3

マサさんに話を聞いてワタルは水汲みを。マリは、トモコさんから説明を聞いて料理をすることになったのだか……

 ワタルがマサに連れられているのと同時刻、マリはキッチンに居た。

一緒にトモコさんもいて、

「今日から一緒に料理をしましょうか。」

と提案をしてくれた。


 マリにもお世話になっているというのはきちんと理解はしていたので何か恩返しのようなことをしたいとは考えていた。

 しかし、

「実は私、力はあるのですがその代わりに細かい作業がほとんどダメでして。

 しかも頭を使う作業なんかもダメで、していると頭が痛くなっちゃうんです…」

マリはそう答えた。


 マリの言うことは正しく、確かに力はある。

力だけなら、それこそワタルに勝ってしまうだろう。

 だが、考えたりする事は苦手で、考えることは、ほとんどワタルに任せっきりにだった。

 たまに直感的に閃くこともあったりはするのだが、ワタルの意見を優先するために言わないでした。

 マリが料理が無理そうだと考えたトモコさんは、

「そうだね〜。ならワタル君と一緒に水汲みに行くかい?」

そう提案してくれた。


ただ、

「ただの水って汲みだからって甘くみていちゃダメだよ。

 汲みに行くのは川なんだけど、それがまた遠くてね…

バケツいっぱいに汲んでくると重くて片手では持てないくらい重くなっちゃうのよ。」

と注意をしてくれた。

 しかしマリは、

「大丈夫ですよ! 

力だけならワタルにだって勝てますから!」

と元気よく返事をした。

「そこまで自身があるなら頼もうかね〜。

ただし、無理はしないでね?」

トモコさんが言ってくれたのでマリは、

「は〜い!」

と元気よく走り出した。


 後ろから、

「多分ワタル君なら、家の裏に居ると思うからね〜!」

とトモコさんの声が聞こえたので、 

「ありがとうございます〜!」

と返事をして家の裏を目指した。


 僕が、バケツを持って川へ行こうと歩きだそうとすると、

「ワタル〜!待って〜!」 

と後ろから大きな声が聞こえたので振り返ってみるとマリが居た。

 マリが追いついてくるのを待ってから、

「どうしたんだ?

確か、マリはトモコさんと一緒に家事をする予定じゃなかった?」


「細かい作業は私には無理!

だから、ワタルと一緒に水汲みする!」

(僕としては助かるから良いけど、トモコさんは良かったのかな…)

 僕は内心そう思っていたが、顔に出ていたらしくマリが、

「大丈夫!

ちゃんとトモコさんから許可貰ってきたから!」

親指を、ぐっ!としながら言ってきたので、

「まあそれなら良いか。

じゃあ一緒に行こうか。」

「うん!」

そう言い、2人で川に向かっていった。


 向かっている途中、畑で仕事をしている人達の声が聞こえてきて、

「あの2人が村長が言っていた噂の子達ね。

仲良さそうに歩いてるわねぇ。

男の子はイケメンだし、女の子は美人さんだし。

羨ましいわねぇ〜。」


 どうやら村長が事前に説明していてくれたらしく、もう噂になってしまっていた。

 しかし、僕は少し今の会話で気になったことがあった。

 確かに、マリが美人なのは僕も認めるが、別に僕はイケメンではない。

 僕は、身長が170cmちょいで黒髪の短髪である。

 痩せているわけでもなく、かと言って太っているわけでもない、いわゆる中肉中背という感じだ。

(そんな僕が、マリと釣り合うとは思えないんだけどね…)

そう思っていると、

「だよね〜!ワタルってかっこいいよね〜!」

とマリが言った。

 僕は、

「別にかっこよくなんかないよ…」

と拗ねたように言うと、

「いやいや、かっこいいって!

 普段は普通だけど、いざって時は凄いから!きっと!」 

(それは褒められていると受け取っていいのだろうか…)

 今の言葉的に過去の出来事から思ったことではなく、これからの行動へ期待しているようにも感じたった。

 まあとりあえずは手伝いを早くやってしまおう。

 そう思いつつ、川への歩みを進めていった。 川へ着いてみると、マサさんから聞いた通りとてもキレイな水が流れていた。


 そう思いつつ、2人でそれぞれバケツに水を汲んでいった。

 汲み終わったバケツを、持ってみると意外に重かった…

(マリが居なかったらやばかったな…)

 そう思いつつマリの方を見てみると、

「なんだぁ、意外と軽いじゃん!」

僕とは反対に思ったより軽かったらしい。

 水の量はほとんど変わらないので、どうやらマリの方が力があるようだった。

(男としてはなさけないけど、まあ頼りにさせてもらおう。)

そんなことを考えながら家に戻った。


(…いったい、何往復したのだろう。)

そんなことを考えながらバケツに水を汲んでいた。

 村長の家に水を運んでいるのを見ていたらしく、

「村長の家のが終わったら次は家もお願いできないかしら?」

「その次は家を」

「いや、家が先に」

と、どんどん周りに広がっていってしまった。


 どうやらこの村には若い子達がいないらしく、ほとんどが、おじいちゃんやおばあちゃんばかりだった。

 そのため、力仕事でかつ、少し長い距離を歩くのは辛いようで結局村の全部の家に水を汲んでいくことになってしまった…

(農作業出来るなら水汲みだって行けるだろう…)

 そう愚痴をこぼしそうになってしまったが、マリが楽しそうに水を汲んだり運んだりしている様子を見ていて、

「女の子のマリが頑張っているんだ。

なら僕だって頑張らないとな…」

 疲れた身体に喝を入れながら、頑張っていった。

 途中で昼ごはんを食べたり、休憩をはさんだりしていたので終わる頃にはもう夕暮れ時になっていた。

「疲れた〜もう動けない…」

2人揃ってそんな言葉が出たがまあ、当然の結果だろう。

 ちなみに水を運んで行った家の人から、

「明日もよろしくね!」

と全ての家から頼まれてしまい、明日からこれが毎日なのかなと少しげんなりした。


 まあ不幸中の幸いは、今は春らしくそこまで暑くないことである。

 どうやらこの世界にも、四季というものがあるらしい。とそんなことを考えていると、

「今日も1日お疲れ様〜明日も頑張ってね。」

とトモコさんが晩ごはんを持ってきてくれた。僕とマリはがっつく様に食べていった。


 その様子をトモコさんは、微笑ましそうに眺めていた。

「そういえば、朝にマサさんから聞いたのですが。」

と食事が終わって少ししてから、朝に聞いていたことを確認したくて聞いてみた。

「ここに住んでも良いと聞いたのですが、それは本当なのですか?」

トモコさんは、

「もちろん構わないわよ。 

何ならいっそ、うちの子になっちゃいなさいよ!」

 確かにありがたい提案なのだが、どうしてなのか分からずに首を傾げていると、

「まあ家は私と息子の2人暮らしだったし、息子は嫁は作らずに仕事が忙しくてねぇ。

 貴方達がここに住んでくれるなら、ちょうど孫が出来たみたいで嬉しいからねぇ。」

とトモコさんが言った。

(まあ確かにトモコさんから見たら僕達はちょうど孫っぽくは見えるだろうが…

 それでもまだ出会って1日くらいでそこまで思うか?)

 まだ疑問が拭えてなかったが、

「それに貴方達はとても良い子で言うこともちゃんと聞いてくれるから、そんな子達が家の子になってくれたら嬉しいからねぇ。」

 少し泣きそうになってしまった。   

確かに手伝いはしたが、1日だけでここまで言ってくれる人はそこまでいないだろう。

そんな思いで、マリの意見を聞こうとして、

「ワタルが決めることなら、私はそれに従うよ。」

とマリも選択権を僕にくれた。

 本当に一緒に来れたのがマリで良かったと心から思い、トモコさんの方を見ながら、

「それでは、これからもよろしくお願いします!」

と言った。

「よろしくお願いします!」

続いてマリもそういったので、トモコさんも、

「こちらこそよろしくね。」

と言ってくれた。

そうして重い会話も終わったので、

「ほら、サッサと風呂に入っておいで!

明日も大変なんだから。」

と本当の親みたいに言ってくるので僕達は少し照れくさそうに風呂へ向かった。


 風呂から上がると一気に疲れが押し寄せてきた、慣れないことをしたので、かなり疲れたようで昨日と同じく眠かった。

なので布団をしき、寝る準備をした。

「今日も一緒に寝よ?」

マリがそう言ってきた。

 もう断る元気もなく、自分が布団に寝転がり、横にマリも来るように手招きをした。

 マリが入ってきてから、

「明日から大変だけど、一緒に頑張ろうな。」

「うん!」

そう確認して、2人は眠りに落ちた。

今回で一応手伝い編は終わりです。次は新しい娘が増える予定ですが、変わってしまうこともあるので、ご了承ください。それではまた次もよろしくです!

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