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〜異世界冒険記〜村を訪ねてみた

村に訪れた2人は村長に泊めてもらおうとした。しかし、それにはある条件があった………

  少し歩くと村が見えてきた。

 遠目から見る限り、田舎の村のようで村の近くには畑が見えた。

 近づいて畑を見てみるとどうやら野菜を育てているようでトマトやキュウリが見えた。

 どうやら農作物は日本とそこまで変わらないようだ。


 そんな事を考えながら、次はどうやって村に入ろうか考えているとマリが、

「先に行って村の様子、見てくる!」

そう言って村へ向かって走っていってしまった。

(行動力あるな〜まあ助かるから良いんだけどね。)

苦笑しながら先に行ったマリを追っていった。


 村に入ると、入口のような場所に少し人が集まっているようだったようなのでそこに行ってみた。

 近づいてみると、どうやらマリが村に入ろうとしているのを村の人が止めているようだ。

(普通の人なら知らない子を入れないよな。)

 とりあえず話を聞いてみないと分からないので近づいてみた。

「だからちょっと村に泊まらして欲しいんだよ!」

「だからどうして泊まらして欲しいのか理由を聞かせてくれよ…」

 聞こえてきた声を聞く限りどうやら村長らしい人とマリが話しているらしい。


 しかし、上手く説明できていないらしい。

(う〜ん、どうやらマリはあまり説明が得意ではないらしいな。これからは僕が説明をすることになりそうだな…)

と考えながら2人に近づいた。


 近づくと、

「ワタル!

 この人がさっきから泊めてって言ってるのに聞いてくれないの!」

と少し泣きそうになりながら言ってきた。

 その様子が可愛らしくて良かったのだが、今は説明のほうが先だなと村長らしき人の方へ振り向いた。

 少しげんなりしていたので、少し申し訳なくなりながらも、

「突然のご無礼を申し訳ございません。

僕は、ワタルと申します。それでこの子は、マリ。僕達は2人で旅をしているのですが少し森で道に迷ってしまい、今日は野宿かなと考えていたのですが、偶然この村を見つけました。

そこで、ご迷惑でないなら泊めてもらおうかなと思い、少し寄らせてもらいました。」

と説明をした。


いきなり、

「異世界からやって来ました!」

なんて説明をしても頭のおかしい人に思われるので、旅をしている設定にしておいた。


村長らしい人は、

「こりゃご丁寧にどうも。私はこの村の村長のマサだ。 畑仕事をしているところにその子が来て、いきなり、

「村に泊めてほしい!」

と理由も言わずに言ってくるもんだから少し対応に困っていたんだよ…」

と少し疲れたように言った。


 30歳前後に見えたので村長かどうかわからなかったが、どうやら本当に村長だったようで探す手間が省けて良かった。

 しかし、先にマリのことで迷惑をかけてしまっているので、

「すいませんでした…」

と謝っておいた。


 謝りながら、少し気になったので村長に、

「この子、他に何か言ってませんでしたか?」

と聞いてみた。

 村長は少し思い出すようにしながら、

「確か、「私は、ニホン?だとか言う国から来た。」とか言っていたな。

聞いたことがないから頭のおかしい事を言う子だなぁと思っていたよ。」

と呆れながら言うもんだから僕は、

「そうですか…

それはすいませんでした。」

と再度謝りながら、内心冷や汗ものだった。

(やっぱり少しマリに注意しておくべきだろうな。)

 そう思ってマリの方を向き、村長に聞こえないように、

「マリ、これから説明する時は、僕達は旅をしていることにしてておいてくれ。」

と言った。

 するとマリは、

「なんで?」

と僕に合わせて小声で話してくれた。

 こういうところは日本人っぽいなと思いながら、

「そっちのほうが都合が良いんだよ。

日本の説明をするのはちょっと面倒なの…」

と言っておいた。


 日本のことを説明すると、僕たちがこの世界の住人ではないことが知られてしまう。

 別にエルからは何も言われてはないが、本当に必要なとき以外は言わないほうが良いだろう。

「そうだね。わかったよ!」

と納得をしてくれたようだ。


 物わかりの良い子だと思いながら、村長の方を再び見た。

 村長は何やら考えているようで、

「何か問題でもあるんですか?」 

僕はそう聞いてみた。

 村長は、

「さっきの話なんだが、泊めてはあげたいんだが、何もしないで泊めてあげれるほどこちらもお人好しではないのでね。

 少し村の手伝いをして貰うことになってしまうが、それでもいいかい?」

と申し訳なさそうに言ってきた。


 僕は、

「元々タダで泊まらせて貰うつもりはありません。

 勿論、僕達に出来ることがあれば喜んで手伝いますよ。」

と笑顔で答えた。

 僕は、

「無理だね。他を当たってくれないか?」

と言われる事を考えていたので、泊まらせて貰えるなら手伝いぐらい進んでやるつもりだ。


 マリの方を見ると、

「もちろん、私も手伝うよ!」

と言ってくれた、やる気があるようで何よりだ。


村長は、

「二人共やる気があるようで何よりだ。

それじゃあ、約束通り村に泊めてあげよう!」

と言いながら歩き、僕達はそれについていった。


 案内された先はどうやら村長の家のようだった。


 周りの家より少し大きいが、日本で見たことのある無駄に大きいだけの建物と違って、機能性を重視した造りになっているらしい。

 そうして中に入るとそこには1人の女性が料理をしていた。

 入ってきた僕達を見て驚いていたが村長が、

「近くの森で迷ったらしく、迷っている内にこの村に着いたらしい。

 他に行くところもようだからここに泊めてあげようと思うんだけどいい?」

と説明をしてくれた。


 どうやらその女性は村長の母親らしいが、見た目がとても若く見え、はじめは村長の奥さんかなと思ってしまった。


 その女性は、

「まあ、それは大変だったわね。

何もないところだけどゆっくりしていってね。」

と言ってくれた。


 優しい口調だったのでまるで自分の母親のように思ってしまった。

 僕達はとりあえず、

「僕はワタル、それとこの子はマリです。

申し訳ありませんが、本日は泊まらせていただきます。

どうぞよろしくお願い致します。」

と言い、続いてマリも、

「よろしくお願いします!」

と元気に挨拶をした。


「まあ、2人共元気だね〜。

私はトモコといいます。この子の母です。

今日だけと言わずにいつまでも居てくれていいからね?」

と言ってくれた。


 優しい人だなぁと思い、初めて会ったのがこの人達で良かったと心からそう思った。

 そうして一通り挨拶を済ませてから村長の案内についていくと、小さな部屋に着いた。

「家に余っている部屋がここしかなくてね…

小さくて悪いが、我慢してくれ。」

と言うので僕は、


「いえいえ、泊まらせてもらうだけでも十分なんですから贅沢は言えませんよ。どうもありがとうございます。」

とお礼を言った。

「そりゃあ良かったよ。

もうすぐ晩ごはんになるからそれまではゆっくりしておいてくれ。

手伝いは明日からよろしくな。」

と言い、村長は部屋を出ていった。


 僕達は言われた通りにゆっくりしておこうと思い部屋の中で横になった。


 部屋の床は畳になっており、横になっているとそのまま寝てしまいそうだった。

 どうやらマリも疲れていたらしく、僕の側で横になりながら少しウトウトしていた。

(まあ無理もないだろう。

1日森の中を走ったりしていたんだ。)

と思いつつ、僕も眠気に襲われたのでそのまま目を瞑り、眠ってしまった。


 何だかいい匂いがしてきたので、その匂いに釣られて僕は目を覚ました。

(どのくらい寝てたんだろう?)

 横では、マリが気持ち良さそうに眠っていた。とても微笑ましい気持ちになりながらその様子を見ていると、

「晩ごはんが出来たよ〜!」

とトモコさんが呼びに来てくれた。


「分かりました。マリを起こしてから行きますね。」

と言いマリの身体をゆすりながら、

「晩ごはんが出来たってさ。食べに行こう?」

と言うと、マリは寝ぼけながら

「ん〜。もうちょっと寝かせてよ〜。」

と言いながらも起きた。


 そうして晩ごはんの匂いが分かるまでに脳が覚醒したようでマリのお腹が鳴った。

 そういえば、朝ごはん食べてからは何も食べてなかったなぁと思いつつ、立ち上がって食卓に向かった。

 テーブルの上には、ご飯と野菜のサラダ、それに鶏のから揚げがあった。

(こっちの食事も日本とはあまり変わらないんだなぁ)

と少し安心しながら食事を始めた。 

 こっちでの初めての食事だったが、とても美味しかった。

 やっぱり変わったものよりも慣れ親しんだ味の方がいいなぁーと思っていると、

「料理の味はどうかな?」

とトモコさんが聞いてきたので僕とマリは口を揃えて、

「「美味しいです!」」

と言った。


 マリは獣人になってから初めての食事だったがどうやら人間と同じものを食べても平気になったようだ。

 そこに、ひと安心しながら食事を進めていった。

 食事が終わり、村長にした説明をトモコさんにもした。

「大変だったわね〜今日はゆっくり休んでね。」

と言ってくれた。


 ホントに優しいので、

(いずれは異世界から来たことを打ち明けても良いかもしれないな)

と思いながらも、今日は疲れているので早く休もうと思い、部屋に戻って寝ようとしたが

(そういえば、森の中を歩き回っていたので汗をかいてしまっていたな)

 と思い、シャワーでも浴びたい気分だったので、

「申し訳ありませんが、シャワーをお借りしてもよろしいでしょうか?」

と聞くと、

「シャワーだけじゃあ疲れもとれないだろうから風呂に入ってきたら?

風呂は、もういれてるからいつでも入れるよ。」

とトモコさんが言ってくれたので、至れり尽くせりであった。

 

 村長も、

「明日から手伝いで、かなり力仕事もしてもらうからな。

しっかり身体の疲れはとっておいたほうがいいぞ〜。」

と言ったので、お言葉に甘えて風呂に入ろうとした。

 しかし、そういえば着替えがないことを忘れていたが、トモコさんが、

「風呂の近くに着替えを置いてるから、それを着といてね。

今着ている服は、洗濯機に入れといてね〜。」

 まるで、実家の家に居るような安心感に包まれながら、

「それでは、風呂に行ってきます!」

と言いながら風呂場へ向かった。

 

 そして風呂場に着き、服を脱ごうとしてやめた。

「ワタル?

服を脱がないとお風呂に入れないよ?」

と言ってきた。


 そうなのだ。マリも一緒に来てしまったのだ…

犬の姿だったら良かったのだが、今の見た目は完全に普通の女の子である。

 要するに風呂に一緒に入ると目のやり場に困ってしまうのだ。


しかも僕が、

「流石に一緒に入るのはやめておこうよ?

女の子と一緒に風呂はマズイよ…」

と言っても、

「え?別に良いじゃない。

見られて困るところはちゃんと私の毛で隠れてるんだし、問題ないよ。」

とのことだ。

(確かにしっかりと隠れてはいる。

だが、風呂に入って濡れると身体のラインはしっかりと見えてしまうわけで…)

と考えていると、


「もう考えててもしょうがないから一緒に入ろうよ〜。」

と脱ぎ始めてしまったので慌てて目を逸らし、マリが、

「じゃあ、先に入ってるからね〜。」

と言いつつ風呂に入っていった。

「はぁ〜、もう覚悟を決めるしかないか…」

 ここで入らずに部屋に戻ると裸のまま部屋まで呼びに来そうだったので、僕は諦めて風呂に入ることを決意した。


 一応の抵抗として自分の見られたらまずい部分はタオルで隠すことにした。

(もう少し普通の女の子らしいところをおぼえてほしいんだがな…)

そう思いつつ、風呂に入っていった。


 風呂を出て、部屋に戻ってきた。

入る前にあれだけ心配していたが、これといって何か起きたわけでもなくのんびり風呂に浸かることが出来た。


 しっかりと身体と髪を洗い、さっぱりと出来て気持ち良かった。

 マリも1人で自分のことを洗えていたので、僕は内心、

(1人で出来るなら、一緒に入る必要はなかったんじゃ?)

と思いながらも口には出さないでおいた。

(拗ねられると、大変だからね…)

と大人の対応をした。


 そうして部屋に着くと、布団が1つ敷かれてあったが多分、トモコさんが敷いてくれたのだろう。

(ここまでしてもらったからには明日は頑張らないとな。)

そう決意して眠ろうとした。

 したが、1つ問題があった。

それは布団の数だ。そう、1つなのだ。

これでは一緒に寝るか、1人は畳の上で寝ることになる。

 しっかりと身体を休めるには布団の上で寝たほうが良いだろう。

 実際に晩ごはん前に畳の上で、寝て起きたら少し身体が痛かった。

 そう思い、トモコさんに相談をすると、

「ごめんね〜。

今余っている布団は1つしかないのよ…

明日には準備できるだろうから今日は1つで我慢してね?」

とのことだった。

(まあ、ここまで色々してもらったからね。

これぐらいは我慢しないといけないな…

そこまで子供でもないし。)

と決意した。

まあ子供じゃないから問題なんだけどね…

 

そう思いつつ、僕は畳の上で寝ようとした。

 しかし、マリは、

「え〜そこで寝たら疲れがとれないよ。

こっちに来て一緒に布団で寝ようよ〜。」

とのこと。


 簡単に言わないで欲しい…

言わないで欲しいが、この姿になってからの行動を振り返ると、犬の姿の頃から天真爛漫ではあった。


 この姿になってから更にその天真爛漫さに拍車がかかったようだ。

(今日は疲れたし、どうせ僕がこのまま畳で寝たらマリも畳で寝ると言い出すのは目に見えている…

なら大人しく一緒に寝るか…)


 割とマリの天真爛漫さに慣れてきていたし、本当に眠かったので布団の上に向かい、そのまま布団に寝転がった。

 その横に当然の様にマリがやってきた。


 前の僕ならテンパったりしたのだろうが、慣れというのは怖いもので特に何も思わなかった。

 それはまるで小さい頃に兄弟で一緒に寝ている時の感覚に似ていた。


 そういう意味では、僕とマリは家族なんだろう、全く血は繋がっていないはずだけどね。

と、そこまで考えていて急に眠気がひどくなってきたので、

(もう寝よう…明日はきっと忙しくなるだろうし。)

そう思いつつ最後にマリに向かって、

「マリ。おやすみ〜」

と言い、

「ワタルも。おやすみ〜」

その言葉を最後に、僕達は眠った。


 

ちょっと今回は長めですがよろしくです!

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