〜異世界冒険記5 森騒動解決編〜 長引いていたこの話の幕を下ろす時がきたようです 中編
その5の部分を1つにまとめました〜
(ーー何故、斧が止まったのだ?)
確か俺は
『目の前の男に向かって斧を振り下ろすと見せかけて実は女の方へと斧を振り下ろそうとし、しかもそれすらもフェイントであり実は途中で止める作戦』
を実行した。そして男は俺の策略通り罠に掛かって体制を崩して倒れた。しかも運の悪いことに、男は両手を出しながら前のめりに倒れていたので俺の斧を防ぐ術が無くなっていたので、俺は勝ちを確信しながら斧を振り下ろした。
だが結果はどうだ?斧は男の目の前で止まっていて男は五体満足のままである。そう、止められた訳ではなく止まっているのだ。ーーうん、全然解らん…
(ーーこれは少し探りを入れてみるか?)
そう思った俺は男の方を見てみたが、男はいつの間にか立ち上がっており
「あれあれ?そんなに驚いちゃってどうしましたか?」
と、あからさまに俺の事を煽ってきていた。
(ーーほぅ?いい度胸だな…)
と、俺は探りを入れ終わった後にこの男を殺す事を決心しながら何とか怒りを押し殺しつつ
「……今のはどういった手品だ?」
そう質問するのだった
(ーーよし、効いてる!)
分かりやすく挑発をしてはみたものの「もしかしたら乗ってくれないのでは?」と、少し不安になっていたけれど無事に僕の挑発に乗ってくれたようで何よりだった。そしてこれは挑発に乗らせてから思った事なんだけど
(……ちょっと効き過ぎてない?)
僕が思っていたよりも遥かに沸点が低かったらしくかなりお怒り状態になってしまっている。それこそ常時殺気を放っているかのよう|だった。が、
(まぁやってしまったものは仕方が無いし、なる様になれで行ってみようか!)
と、僕は吹っ切れることにした。
(さて、どうやって説明をーーあぁ、女性を担いだままだとちょっとマズイよね?相手は僕に殺意を持っているんだし…)
説明を始めようとしたものの敵意を持っている魔族を相手に女性を担ぎながらのままだと少し危ないので
「ええっとですねーー」
僕は担いでいる女性を近くの木陰へと下ろしていき、その過程で僕は女性を護るためにとバリアを張っておいた。
ちなみに今僕が作ったバリアに関してだけど、強度は『今の僕の箱で』作れる限界にしておいた。(←箱を弱体化した事は覚えてるよね?)
それとバリアの発動条件は無しにして常時発動型にしておいた。最後にバリアの視覚化の有無に関しては村のと同じく見えない様にしておいた。
とまぁ説明はこんなところかな?
「ーーーー(身振り手振りを加えながら)」
「ーーほう?」
僕は魔族のリーダーに対してさっきの攻撃を受け止める事が出来た理由を話しており、僕の話を聞いている魔族のリーダーは納得したとばかりに頷いていた。そして僕が
「まぁそんなところですね」
と言って説明が終わった事を伝えると
「つまりお前の話だと、俺はお前を殺すチャンスみすみす逃した、という事なんだな?」
「ーー(笑顔で頷きながら)ええ、そうなりますね〜」
「ーーふん、小賢しい奴め」
魔族のリーダーはそんな悪態をついていたが先程よりも表情が柔らかくなっていた。それを見た僕は心の中で
(ーーうんうん、予想通りだね!)
そう、ほくそ笑むのだった……