〜異世界冒険記〜新居を建てようとしてみた
掃除をしていたある日の事、家の中を見てみるとヒビが目立ってくるようになっていた。なので相談をしようとトモコさんの元へワタルは向かった。
「僕達はこの家を出ていこうと思います!」
トモコさんに僕はそう、提案した。
突然の事でトモコさんがとても慌ててしまったので、
「あ、この家を出ると言っても村は出ませんよ?というか横に家を建てようと思ったので家を出ようと言いました。
言葉足らずですいません…」
と僕が言ったので、トモコさんが安心したように、
「びっくりさせないでおくれよ…
心臓が止まるかと思ったよ…」
と言った。
アニメや漫画でよく見たことがあったので実際にやってみたらどうなるのか試したくなったので、トモコさんで試してみようと思ってやったのだ。
しかし、思いのほか大事にされていたようで、とても心配をされてしまった。
そのことを嬉しく思ったが、要らない心配をかけてしまい罪悪感がものすごく出てきたので、
「本当にすいませんでした!」
と僕は土下座をして謝った。
トモコさんはもう平常運転に戻って
いて
(僕の暴走に慣れてしまったようだ…
前回のこともあるしね…)
僕に質問をしてきた。
ちなみに、この前のマグロは村のみんなで美味しく頂いた。
(調理はシャルに任せたが。)
「それで、何で急に家を建てようって話になったのさ?」
と予想していた通りの質問をされた。なので、
「えっと、実は―――」
と僕は振り返りながら答えていった。
それはある日の事、シャルが掃除をしていたときの事だ。
「この家には余っている部屋は無いですが、それにしては広いですね…」
とシャルが掃除をしながら尋ねてきた。
ちなみに僕はシャルの手伝いで掃除機をかけるのを手伝っていた。シャルの話を聞きながら改めて、家の中を見回してみた。
家の中は4人で住んでいてもかなりのスペースが余るくらい広い。キッチン近くの食卓は、昔はここによく集まっていたのか、割と広めのテーブルが置いてある。
なので4人で座ってもまだ余裕があり、テーブルの真ん中の物をとろうとすると結構手を伸ばさなくてはいけなくて大変だった。
しかし、その割には風呂も1人なら割とゆっくりとは出来るが、2人で入ると少しキツかったり、部屋も元々2人暮らしだったので、寝室は2つだけしか無かったりと割と人数が増えてきたこの家では少し不便さも出てきた。
まあ部屋に関してはもう今更分けて欲しいと相談してくることもなくこれまでと同じように、僕、マリ、シャルと3人で寝ていて問題は無かったのだが、掃除をしていると問題がよく見えてきた。
「確かに広くて掃除も大変だけど、それに関しては僕が水汲みを終わらせてから手伝えば解決するんだけど。問題がたくさんあるからねぇ。」
と僕は壁を見ながらシャルにそう言った。
シャルも壁を見ながら、
「確かにこの壁は少し問題ですね。老朽化が進んでしまっており、かなり危なくなっていますから…」
とシャルも僕と同意見のようだ。
家の壁を見てみると、シャルの言うとおり老朽化が進んでおり、少しヒビが入っている箇所がそこかしこに有る。
このまま住んでいると、もしかしたら崩れてきて生き埋めにあるかもしれない恐れが有った。
だから僕は、
「壁の見えているヒビを直すこと自体は簡単に出来ちゃうんだけど、見えないところは直せないからね…」
と少し困ったようにシャルに言った。
確かに僕が貰った箱は便利なのだが、結局は僕の想像力でしか物を作ったり、直したりする事しかできない。家のヒビだけなら簡単に直せてしまうのだが、僕は建築をしたことがないので、家の内部の作りには詳しくは無い。
そのため下手にイジると後が怖いのでなかなかイジれなかった。それに、
「トモコさんがもし、この家に何かしらの思い出があったら僕はそれを壊しちゃうことになるからね。」
老朽化が進んでいるという事は長く住んでいるという事なので、きっと何かしらの思い出はあるだろう、僕はそれを壊してまで家をどうにかするつもりは無かった。
「いっそ、家を1つ作ったほうが楽かもしれないね。こことは別のところにだけど。」
そうシャルに提案してみた。
僕も短いとはいえこの家には既に愛着もあるので、壊してしまうのは嫌なのでこの家は残して、新しく住みやすい家を作るのもいいかもな、
僕はそんな気持ちだった。
「まあとりあえずはトモコさんに相談してみましょう?」
シャルがそう言ったので、
「そうだね。僕が相談しておくよ。」
とシャルから離れ、トモコさんの元へ向かった。
「普通に相談して欲しかったねぇ…」
と少し呆れられてしまった。確かにいきなり、
「家を出ていうと思います」
って相談をされたら普通は驚くだろうと、僕も深く反省しながら、
「それでさっきの相談なんだけど、この家を残してその横に新しく家を建てるのはトモコさんはどう思ってるの?」
と聞いてみた。すると、トモコさんは、
「そうだねぇ。この家には短くはあるけど、あんた達3人と暮らした楽しい思い出がたくさんあるからねぇ。残してくれたら嬉しいねえ。」
と言ってくれた。
僕達との生活が楽しいと言ってくれ僕はとても嬉しくなった。色々迷惑もかけているが、「楽しい」のひと言で救われた気持ちに勝手になったしまった。
そんなことを思っていると、
「というか、新しく建てなくてもあんたの箱の力を使えば楽にこの家をリフォーム出来るんじゃないの?」
と反対にトモコさんから提案された。
「あ、なるほど。その手があったよ。」
僕は箱を見ながらそう言った。
箱を使えば部屋の要らない部分をなくしたり、反対に増やしたり何か特別な付与を付けたりも出来るな。
そう思って、早速立ち上がってリフォームを始めようとすると、
「でも、条件を1つ出させてもらうよ。」
そうトモコさんが言いつつ、
「しっかりと3人で相談しながらリフォームしていってね。3人で納得出来たなら私からは何も言わないよ。」
とのこと。
僕の暴走を抑えるのが目的だろうが、最近は割と暴走していたので、
「了解です!暴走しないように気をつけます!」
と軽く敬礼をしてマリとシャルと合流しようとトモコさんから離れた。
とりあえず、僕達は3人で集まって家を見て回った。
「とりあえず要らないスペースは消していこうと思うんだけど良い?」
マリとシャルに聞いてみた。
「良いよ〜!」
「私も異論はありませんよ。」
2人の賛成も得られたので、普段の生活で使っていないスペースを3人で考えながら無くしていった。ちなみにそのスペースに新しく部屋を作ろうと提案してみるも、
「もう部屋を分ける必要は無いんじゃない?着替えも風呂の横の脱衣所でするから問題なし!」
「そうですね。私も初めは戸惑いましたが、マリさんの言う様に慣れてしまいました。
なので特には必要ありませんね。」
とのこと。
人間の慣れって凄いと改めて感じた。
そうして、要らないスペースをどんどん消していき、だいぶ過ごしやすくなったと思う。
最後に、
「この家にどんな付与をするかなんだけど…どんな物が良い?」
と2人に聞いてみた。
「う〜ん、私はあまり思いつかないや。シャルは?」
とマリにはお手上げのようで、
「私は老朽化を防げれば良いとは思いますが、その他となるとあまり思いつきませんね。」
シャルも僕と話していた時の老朽化だけしか思いつかないらしい。
なので僕が、
「とりあえず、この家がこれ以上老朽化しない付与だけで良いって事だね?」
と2人に聞いた。
一応家を回りながら見えているヒビは直していた。なのでヒビはこれからは見ないで済むと思う。
「オッケー!」
「問題ありません。」
2人からも承諾を得たので老朽化をしない付与を付けた。
「今回はここまでだね。流石に今回はやらかしたくないし…」
とこれ以上のリフォームはやめておいた。
まだ僕的には足りないとは思っていたのだが、最近の僕の行動を振り返ってみてやめておこうと自重した。
2人は僕の話を笑いながら聞き、
「それじゃあ、トモコさんに報告しようか!」
とマリが元気よく言ったので、
3人でトモコさんの元へ向かった。
「確かに前より住みやすくなったねぇ。みんな、ありがとね。」
とトモコさんに報告をしたら褒められた。
「流石に今回は自重出来たんだねぇ〜。」
「ははっ…」
と僕を見ながら言ったので愛想笑いを返した。
「今回は不要だと思ったスペースを消して、ヒビがあったところはきれいに直すだけにしたけど、もし何か問題が出てきたら僕に相談してね?」
とトモコさんに一応言っておいた。
まあ3人で話し合って決めたのでよほどの事がないと相談はされないだろうけど。
「ありがとねぇ。」
とトモコさんが再度お礼を言って、
「これからは家の掃除も楽になるわねぇ。」
「そうですね。だいぶ使ってなかったスペースがあったので掃除も半分の時間で終わるかもしれませんね。」
とシャルと話していた。そこで僕のお腹がなったので、
「とりあえず、ご飯をお願いします。」
とシャルに頼んで、
「分かりました。」
と言いつつ、シャルはキッチンに向かい、
「私はご飯まで散歩してくる!」
とマリは元気に飛びだしていき、
「あらあら。なら私はマリちゃんに付いていこうかね〜。」
とトモコさんがマリを追ってゆっくりと歩いていき、そうして僕達は普段の生活に戻っていった。
つづく
今回は家のリフォーム回にしました。そろそろネタが無くなりそうなので、グダグダするかもしれませんがお付き合いください!一応予定としてはまだ終わるつもりはありませんので、よろしくです!