〜異世界冒険記〜川で魚を釣ってみた
ヒマワリを作った翌日、ワタルは暇になったので釣りをしようと思い川に向かった。今回はやらかさないようにと強く心に思っていたのだが………
「今日は何をしようかな〜。」
僕は空を眺めながらそう思っていた。
ちなみに昨日たくさんヒマワリを作った翌日の事である。
割と最近はかなり色々やってしまった感があるが
(そのとおりなのだが…)
気分を切り替えて今回はほのぼのを貫いてみようと思っていた。
「ほのぼのと言ったらやっぱりこれだろ!」
と言い、箱で釣り竿を作ってみた。
僕が日本で暮らしていた頃は近くに川や海が無いので釣りが出来なかった。
ちなみに釣りをしたことは無い。
テレビで見たことしか無いが時間を潰すには最適だろうと思っていた。
(テレビでもそんなにすぐには釣ることが出来てなかったし、ちょっと暇つぶしには良いだろう。)
そんなことを思いながら、
「誰か一緒に魚釣りに行く?」
と3人に聞いてみた。
「う〜ん、魚釣りって待っている時間が長いから私、寝ちゃいそうだからやめとくよ〜。」
とマリが言った。
確かにマリはいつも元気で良いのだが、あまり待つことが好きではなく、すぐに色々動き回ってしまう。
そのおかげで普段は助かっているけれど、今回みたいに長時間待つのはやはり嫌みたい、というか寝ちゃいそうと自分で言ってる事から分かるようにマリは日向ぼっこが割と好きで
(ネコみたいだ)
よく家の縁側で寝ている。
なのでマリは不参加の様だ。
「私も魚釣りはあまり…
あ、でも魚を捌くのは出来ますので釣れたら持ってきてください!」
とシャルも不参加の様だった。
(元聖女だけど、聖女というよりもはや田舎のお母さんみたいだな…)
シャルは本当に器用で1度見ただけでほとんど覚えることが出来る。
そのためトモコさんから魚の捌き方を教わったけど、1回聞いただけで覚えてしまった。
僕は普通に凄いと思った。
日本の会社に勤めたらすぐに上の方の職につけるだろうな〜
と思った。
「私も今日は畑でやることがあるからねぇ。すまないねぇ。」
とトモコさんも不参加の様だった。
なので、
「分かったよ、なら1人でゆっくりと魚釣ってくるよ〜。
シャルは期待してて待っててよ。大きいの釣ってくるよ!」
と伝えて、
「分かりました。行ってらっしゃいませ。」
「行ってらっしゃい〜。」
「気をつけてね。」
と3人に見送られ、
「行ってきます!」
と3人にそう言って釣り竿を持って出かけた。
川に向かいながら、
「そういえば、こうして1人になるのは久しぶりだな。」
と僕は呟いた。
こっちに来るときからマリが一緒に居てそこからもずっと一緒にいるので何だか新鮮な気持ちだった。
(まあ、もしマリが居なかったら今頃はどうなっていたのか予想も出来ないけど…)
と僕は心の中でそう思っていた。
マリには本当に感謝している。
(本人には恥ずかしいので言わないけど…)
1人でこの世界に来ていたら、その辺で野垂れ死んでいたかもしれない。
まあこの村を見つけたのはスマホのマップを見たからなのだが、最近は使わないようにしている。
というか使わなくても不便と思わないので最近では持ち歩かなくなっていた。
「最近は大変だったからね。
たまにはゆっくりするのも良いかな。」
と呟きつつ、いつもの川に着いた。
「さあ、釣りを始めようか!」
そうして僕は持ってきた釣り竿を川に向かって投げた。
「やっぱり釣れないな〜」
1時間ぐらい経った頃、僕はそう呟いた。
予想はしていたけれど、やはり釣れなかった。
(だって魚見えないし…)
川を見ながら思った。
この川には毎日来ているから知っているけど、川の水が透き通っていて底まで見えるのだが、魚のようなものは1度も見たことがなかった。
なので釣れない事は何となく分かっていた。分かってはいたが、
「箱で作ったものだし、もしかしたら何かしらの補正でもあるかもな〜と思ったんだけどね。」
釣り竿を見ながらそう思った。
ちなみにこの釣り竿を作る際にはそんな事は思わずに作ったので本当にただの釣り竿だったのだが、今思わず考えてしまったので、
「あ、まずい…」
と箱が効果を発揮するのを感じてしまった。
ちなみに最近はよく物を作っているので箱も進化したらしく、出さなくても少し強く思うと作ったり何か付与を付けたりできるようになっていた。
「ということはつまりこの釣り竿は今は特殊な効果が付与されたという事で。」
と恐る恐る釣り竿の先を見てみることにした。
ちなみに釣り竿の先はずっと川の中に入れてある。仕掛けなんかつけてないのでどうせ釣れないだろうと放置していた。
しかし、さっき箱の効果で特殊な付与がされてしまった。
僕自身も何が付与されたか分からないので少し怖かった。
そして釣り竿の先を見てみると、
「あ…これはまずいな…」
と僕は思った。
そこには全長が10mくらいのマグロがいた。
「やっぱりやらかした…最近の僕は何だかやらかしキャラになっているな。そういうのはエルに譲りたいんだが…」
と割と冷静だった。
なので、
「お〜い、マリ〜!川の方に来てくれ〜!」
と大声で叫んでみた。
ここから家まではそこまで距離はないので叫んだら聞こえるかもと
(300mあるので普通は聞こえない…)
思ってマリを呼んでみた。
するとマリは走ってきて、
「どうしたの、ワタル?ってうわ!凄い大きなマグロだね〜。」
と驚いた。
驚いてはいたが、僕が最近はよくやらかしているので慣れてしまったようで
(本当にエルに返したい…)
「この釣り竿を引き上げるのを手伝えば良いの?」
と落ち着いていた。
なので、
「理解が早くて助かるよ。
だからよろしくね?」
と僕はマリと一緒に釣り竿を持った。
ちなみに、何度も補足を入れてしまい申し訳ないが、この釣り竿は壊れないように設定してある。
結界を作った事により壊れない設定にしても前みたいに倒れることはなくなったので釣り竿にも付与してみた。
だんだんと異世界の主人公っぽくなってきた自分に少し呆れてはいたが、この力は戦いには使わないと自分で決めているので武器は作らないと自分に固く誓っている。
そうしてマリと一緒に竿を持ち、
「思いっきり引っ張っても問題ないから、思いっきり引っ張っちゃて!」
「分かったよ!」
とマリが竿に込める力を強くしていき、
「「せーの!」」
と2人で声を揃えて竿を引き上げた。
すると、竿は持ち上がりマグロが大きく弧を描きながら川から出てきた。
しかし、落ちてくる軌道的にどうやら僕達の真上に来そうで、
「これは〜やばいね…」
僕が衝撃に備えようとしていたら、
「問題ないよ〜!」
とマリがマグロをキャッチしてくれた。
確かに元から僕より力は有ったけどここまでとは思ってなかった。なので、
「重くないの?」
とマリに聞いてみた。
「全然平気だよ!何なら片手でも持てちゃう!」
と言って片手を離した。
(そんな細い身体のどこにそんなパワーがあるんだろう…でもそれだけパワーがあると分かったから、これからは絶対にマリに喧嘩を売るのだけはやめよう…)
固くそう心に誓った。そうして、
「家に帰ろうか。」
「うん!」
と2人で家に戻っていった。
つづく
最近はワタルがやらかしキャラとして誕生しそうで困っています。おかげでエルを出す機会が減っています…エルを出してほしいと希望があれば頑張って出そうと思いますが、なければしばらくは登場しません。よろしければご意見お願いします。意見はTwitterの方でも構いませんので是非お願いします!それでは明日も頑張って行きましょう!