〜異世界冒険記〜風呂を作ってみた2
家の裏に温泉を作ったのがトモコさんに知られてしまったワタル達。しかし、トモコさんは怒らなかった。その代わりに村に大きい温泉を作ることを頼まれてしまう。なのでワタルはその頼みを聞くことにした。
家の裏に簡単な温泉を作った翌日、僕は部屋で少し考えていた。
(昨日の温泉のおかげで確かに疲れはとれた。
だけどこの村には年配の方が多く住んでいるからな〜。
だから公衆浴場みたいに大きな温泉を作ってみたいんだけど…)
確かに、昨日使ってみたエルから貰った箱はとても役に立った。
あれがなかったら温泉なんか作れなかっただろう。
だけど、あんな何でも作れてしまう箱を使うことに何のデメリットが無いのもおかしい…
そう思いながら腕を組み、首を傾げていた。すると、
「ちょっとこっちに来てくれないかい?」
と部屋の外で手招きをしながらトモコさんが呼んでいた。
まだ2人が気持ち良さそうに寝ているので起こさないように部屋の外で話そうとしているらしい。
僕は2人を起こさないように静かに布団から出て、部屋の外に出た。
「家の裏に出来ているあれは、あんたたちが作ったのかい?」
トモコさんがそう言ってきた。
流石にバレるよね、と僕が説明をするように、
「実は―――。」
とトモコさんに説明していった。
「うんうん、なるほどね。
確かにシャルちゃんはいつも家の掃除をきれいにしてくれてるからね。
確かに疲れも溜まってただろうから疲労回復に良い温泉なんかはとても気持ち良かっただろうね〜。」
と納得してくれた。続けて、
「なら、出来たらで良いんだけど、村の真ん中ぐらいに家の裏にあるような大きい温泉を作ってくれないかい?
この村ってほとんどが私みたいな高齢者が多いからねぇ。
その上、畑仕事を毎日やってるから毎日布団でゆっくり寝ても、しっかりと疲れを取り切れないのよねぇ。
だから、温泉みたいな疲労回復に良いものが村にあったら、みんな助かると思うんだよねぇ。
ちなみに、後で作れるそうな広いスペースを教えるんだけど、そこのスペースは自由に使って良いからね?」
トモコさんがそう言った。
確かにこの村の人達には、とてもお世話になっている。突然、この村に来て、
「泊めてもらえませんか?」
って言ったら、色々手伝いをする代わりにではあったが、
「良いよ。」
と言ってもらえた。
だから恩返しをするにはいい機会である、そう思った僕は、
「この村には、たくさんお世話になりましたからね。
少しでも恩返しが出来るなら温泉を作るのを頑張ってみます!」
と、はりきりながらトモコさんに言った。
「無理だけはしないでね?」
とトモコさんが心配をしてくれたので、僕は本当に初めて訪れたのがこの村で良かったと、
心からそう思えた。
「さてと、はりきってトモコさんには言ってみたものの、どこから作っていこうかな?」
僕は少し悩んでいた。トモコさんから、
「作るならここでお願いね。」
と、広いスペースを教えてもらえたので、作る場所は確保できた。
後は、どんな温泉を作るかなんだけど、
「やっぱり、男湯と女湯は分かれてなきゃまずいよね…」
僕達だけなら、まあ普段も割と一緒に入っているから今更、
「別々に入ろうよ。」
と言ってもマリが、
「何で今さらそんなこと言ってるの?別に今までどおりで良いじゃん!」
とか言ってきそうだった。
でも、ここの人達は流石に僕たちみたいに男と女一緒に風呂に入っている筈がない。
だから男湯と女湯の両方を作りたいんだけど…。
「大体の事はトモコさんから聞いてきたよ!
だから女湯は私が作る!」
とちょうど起きてきたマリがそう言った。
ちなみにシャルはというと、
「まだ気持ち良さそうに寝ていたから起こさないように静かに起きてきたよ。」
とのこと。
普段だったらもう起きてきているのだが…
よほど昨日の温泉が気持ちよかったのか、まだ眠っている様だ。
普段は忙しそうに掃除や洗濯をしてもらっているから、たまにはゆっくりしてもらっても別に構わない。
むしろもっと休んでくれても構わなかった。
「なら、女湯の方はマリに任せようと思うけど、大丈夫なの?」
と僕は少し心配していた。
確かにマリもエルから箱を貰っているので、作ることは出来るだろう、でも、
「昨日、僕が作った温泉とは別の温泉って知ってるの?」
とマリに聞いてみた。
「いいや?知らないよ?
だからワタルが作る様子を見ながら作っていくよ!」
と元気に言った。
僕は、
(つまり、僕が変な温泉を作るとマリもそれを真似しながら作ってしまうのか…
変な温泉は作れないな…)
と少し緊張してきた。
「まあ、とりあえず作っていこうか。」
「うん!」
とマリと2人で温泉を作っていった。
「とりあえずは、建物を作って範囲を決めて、そこの床を変えることから始めたいんだけど…
大きさってどれくらいが良いと思う?」
僕はマリに聞いてみた。
「大きさなら、やっぱり大きいほうが良いんじゃない?
別にトモコさんはスペースは自由に使っていいと言ってたんでしょ?
なら大きく作ろうよ!」
と言った。
確かにトモコさんからは自由に使って良いと聞いていたので、別に大きくても小さくても構わないんだけど…
「小さいほうが簡単で良いかもよ?
箱に関してもまだよく分かってないことばかりだし。
もしかしたら物を作ったら体力を持っていかれるとか…
ちょっとしたデメリットみたいなものがあるかもしれないよ?」
とマリに提案してみるが、
「そんなの気にしないよ!
この村にはたくさんお世話になってるからね。
恩返しが出来るなら構わないよ!」
とのこと。
まあそこには僕も同意なので、
「なら良いんだけど、もし作っている途中に何か変だなと思ったらすぐに言ってくれよ?
僕だって箱について全然知らないから、おそるおそる使っていくし。」
と念の為注意しておいた。
エルから貰ったし、貰うときに特に注意はされなかったから何も起きないだろうけど、たまにエルはやらかしてしまう事がある。
つい最近でも、割と大変な事をやらかしたし。
まあそのおかげでシャルにも出会えたから、僕としては良かったけど。
「うん、分かった!
まあどうせワタルのすぐ近くで作業するし、大丈夫だと思うけどね!」
と元気よく言った。だから、
「それじゃあ、作っていこうか!」
「うん!」
そうして、2人で温泉を作っていった。
とりあえずは、教えて貰ったスペースいっぱいをきれいな板で囲んでいった。
板は、水に強い素材をイメージしながら作ったので問題ない。
次に、その囲ったスペースの床を土からヒノキの板に変えていった。タイルだともしかしたら、転んで怪我をする可能性もあるので木材の板にしてみた。
とりあえずはこれで大まかには出来た。
次は、
「温泉に浸かるだけなら、シャワーや石鹸が要らなくて楽なんだけどな…まあ、とりあえずは無くてもいいか。」
と日本の温泉にはあったシャワーや石鹸は用意しなかった。
疲れをとるだけなので、ここを風呂として利用するなら話は変わってくるが、疲れをとるのが目的なので必要はないだろう。
僕はそう思ったので、
「これなら、割とすぐに出来ちゃうな。」
とマリに向かっていった。
「私、ここまで何もしてなくてワタルしかやってないけど良いのかな〜?」
そう言ってきたので、
「大丈夫だよ。
これからお風呂のスペースを作っていくし、1人だと大変だから手伝ってもらうよ。」
僕がそう言ったので、
「なら、私は何をしたら良い?」
と聞いてきた。だから、
「とりあえず、脱衣所を作ってもらおうかな。
脱衣所なら家の風呂の近くにもあるし、あの感じをイメージして作ってもらえば大丈夫だから。」
とマリに言った。
本当の温泉なら違うけど、あまり難しいものをマリに作ってもらうのも可哀想だった…
元々犬なので温泉なんか知らないだろう。
だから家にあるものを参考に作ってもらえれば失敗しないだろう。
僕はそう思ってマリに脱衣所を作るように言った。
「了解〜。一応男女分けて作るんだよね?」
「もちろん。」
と会話をした。
僕達も一緒に風呂に入っているが、流石に服を脱いだり着たりする時は別々にしている。
流石に一緒にするのは僕としては目のやり場に困ってしまうので、ここだけは絶対に譲れないところである。
「それじゃあ、脱衣所を作ってくるよ〜!」
「頑張ってね〜。」
そう言い、マリは脱衣所を作っていった。さてと、
「それじゃ、僕も風呂を作っていくか!」
と気合を入れ直した。
ちなみにもう決まっていて、昨日作ったヒノキ風呂を作ろうと思っていた。
ヒノキの床を通って来て、入る風呂もヒノキになってしまうので少しヒノキが多いとは思うけど…
僕としてはヒノキを見ていると安心するので作るならヒノキにしようと思っていた。
「とりあえずは昨日作ったものを参考にしてっと。」
頭の中でイメージを膨らませていった。
その時に、
(お湯の管理をするのは大変だからなぁ…
管理が要らないように自動でお湯の張替えをする設定にしておこう。)
そう思って、昨日作った風呂そっくりに作っていった。
見た目は同じだけど、お湯は入った人数が一定に達すると自動で張り替えるようになっている。
その時には、
少し光を出してしまうのでどう誤魔化そうかな…
と作った時に頭の中に自然と張り替えの様子が思い浮かんだので少し考える事が増えてしまった。
「注意書きでも作っておこうか。」
と簡単にではあるが、注意書きを作っておいた。
とりあえず風呂はこれで良いだろう。後は、
「とりあえず風呂同士が見えないようにっと。」
周りを部屋の壁みたいに囲んでいった。
これで向こう側からはこっちは見えなくなった。
後は、
「脱衣所と風呂が見え過ぎるのも問題だよなぁ〜。」
と脱衣所と風呂の間にすりガラスの扉をつけた。
ちなみに横にスライドするようにした。
横にスライドしたほうが出たり入ったりする時に相手にぶつけたりする心配もないだろうと思ってスライド式にしてみた。
「これで完成で良いかな?」
と1人呟いた。
少し質素に見えるが身体を休めるならこれでも問題はないだろう。
「後はこれをもう1つ作らないとだな。」
そう言って脱衣所に向かった。
扉を開けて脱衣所に入ると、
「本当に温泉に来たみたいになってるな…」
少し、いやだいぶ驚いた。
マリには家の脱衣所みたいに簡単なもので良いと言ったのだが、出来たものを見てみた。
そこには、たくさんの少し大きめのカゴとその中には身体を拭くためのバスタオルがたくさんあった。
しかもキレイに並べてあり、まるで温泉旅館に来たみたいになっていた。
「ずいぶん気合入れて作ったな〜。」
と床に寝転がっていたマリに向かって言った。
流石に頭をフル回転させて作ったようで、
「こっちは終わったよ〜。
普段はあまり頭を使わないから疲れたよ〜。」
と本当に疲れているようで、尻尾も元気なく垂れ下がっている。
「こっちは男湯の方は完成したから、後は同じものを女湯として作ったら完成だよ。」
僕がそういうと、
「頑張ってね〜。
私はここで扇風機で涼みながら待ってる〜。」
と言って扇風機を作って涼んでいた。
ちなみに脱衣所の空調管理もしっかり設定したようで割と快適に過ごせるようになっていた。
(下手したら、ここに住みたい!って言いそうだな…)
と笑いながら、さっきと同じように女湯も作っていった。
そうして作り終わると、
「ワタル、これでやっと。」
「そうだな、マリ。これでやっと。」
そうして2人、声を揃えて、
「「温泉の完成だ〜!!!」」
と2人でハイタッチした。
割と真剣に作ったので、かなりの達成感と少しの疲労感があった。
普段は力仕事ばっかりであまり頭を使ってなかったので予想以上に疲れた。
「とりあえずは、トモコさんに報告に行こうか。」
「うん!」
とマリと歩いて家に戻った。戻るとそこにはトモコさんとシャルが居て、
「すいません…寝坊してしまいました…。」
と僕達が帰って来ると謝ってきた。
「別に良いよ。
普段から家事で大変だろうし、たまにはゆっくり休んでもバチは当たらないよ。」
と僕が言ったので、
「ありがとうございます。」
と頭を下げながら言ってきた。
本当ならこっちが頭を下げるのが正しいのだが…
まあシャルの性格からいって、サボってしまったことに罪悪感を感じているようだ。
別に気にしなくても良いのに。
「あなた達が帰ってきたってことは完成したのかい?」
と出かけていた理由を知っているトモコさんが聞いてきたので、
「ええ。無事に完成しましたよ。」
「結構頑張ったから期待していいよ〜!」
と2人で言った。
「なるほどね〜なら後で入りに行ってみようかねぇ。」
とトモコさんが言ったので理由を知らないシャルが、
「何かを作っていったのですか?」
と聞いてきたので、
「2人で家の裏に作ったような温泉を作ってたんだよ。
あっちとは少し違って力を入れで作ったから期待してて良いよ。」
と僕が言ったので、
「では、私も後で入らせてもらいますね。」
とシャルが言ったので、
「なら、私と一緒に入ろ〜!」
とマリが言ったので、
「なら晩ごはんの後にでも行きましょうか。」
と言った。
夢中で気付かなかったが割と時間がかかっていたらしく、もう夕方になっていた。
「なら後でみんなで行こうか。」
と提案してみんな賛成したので晩ごはんの後は温泉に向かうことになった。
「凄く立派だねぇ〜!」
「ええ、これはとても凄いですね!」
2人は声を揃えて言った。
本当は温泉や脱衣所だけで良かったのだが、
割と力を入れてしまったのでどうせならと外見もこだわってみた。
そのせいで本当に温泉旅館みたいな外見になった。
ちなみに本当に旅館みたいに泊まるところはないのだが、将来的に作っても良さそうだな。
と僕は密かに思っていた。
「ここは暑いから中に入ろう。」
僕が提案して中に入った。
中に入ると、そこには2つの暖簾がかかっており、そこに「男」「女」と書かれてある。
「流石に家と違って僕達だけが使う訳じゃあないからね。
ここは分けさせてもらったよ。」
と僕が言った。
「後でお風呂の感想を聞かせてね〜。」
と僕達は分かれて、のれんをくぐっていった。
「あ〜やっぱり温泉は最高だな〜!」
と僕は言った。
一応誰でも使えるようになっているので人が居たら大きな声を出すのはマナー違反なのだが、今は誰も居ないため大きな声を出して感想を言った。
「これならこの村の人達も満足してくれるだろう。」
少し不安だったが、入ってみてとても気持ちが良かったので自信が出てきた。
後は、女湯の意見を聞くだけだな。
と女湯の方を見てみた。
「気持ちいい〜!」
「そうですね。
この前入った時も気持ちよかったですが、なんとなくこの前よりも気持ちよさがましている感じがしますね。」
マリとシャルがそう言ったので、
「そうだねぇ〜。
これなら村のみんなもリラックスできるだろうねぇ〜。」
とトモコさんもリラックスしながら言っていた。
マリがふと思いだし、
「確か、こっちのお湯には疲労回復だけじゃなくて、美容効果もつけたって言ってたよ!」
と言った。
「それは素晴らしいですね!」
「まあ私にはもう要らないかもしれないけど、この村にも一応若い女の子もいないわけではないからねぇ〜。」
と2人は少し感動していた。
私も元は犬だったから美容なんかは気にしたことがなかった。
でも今は人の姿になったのでそこそこに美容にも興味が出てきており、
「そのうちワタルに、
「あれ?キレイになったね〜。」
って言わせてみせる!」
と立ち上がって2人に宣言してみた。
「元々仲が良いとは思っていましたが、お2人は本当に仲がよろしいですね。」
「そうだねぇ〜。」
と2人が言ったので、
「日本でも一緒に生活してたからね!
まあその時は今みたいに人の姿じゃなくて犬の姿だったんだけどね…」
と笑いながら言ってみると、
「どうして犬の姿から人の姿になれたのですか?」
とシャルが聞いてきたので答えようとして、
「それは秘密なんだよね〜。」
と勿体ぶるように言った。
エルから口止めされているのを覚えていたので話すのはやめた。
「まあ秘密と言うことはあまり人に話さないほうが良いことのようですね。」
とシャルは察してくれたようだ。
本当は犬から人の姿になった事を言ったらダメだったのだが、シャル達ならあまり言いふらさないだらうと思って伝えてしまっても問題はないよね…
マリはそう思っていた。
「これからは、定期的に利用させてもらおうかねぇ。」
とトモコさんが言ったので、
「そうですね。私もお付き合いしますよ。」
「私も私も!」
私とシャルも同意したので、
「まあとりあえず今日はゆっくりと使って疲れをとろうかねぇ。」
と3人でゆっくりと温泉に浸かった。
ぼくが温泉から上がると既に3人ともあがっていた。
「ごめんね。待たせちゃった?」
と僕が謝ると、
「ううん、私達もさっき出たばかりだからそんなに待ってないよ。」
とマリが言った。
温泉からあがったばかりなので身体が少し火照っているようで、いつもより扇情的に見えた。
普段も風呂に一緒に入ったり、風呂上がりの姿を見ていたけれど今日は別々に入っていたので少しいつもとは違った感想が思い浮かんだ。
(普通ならこんな美少女に囲まれた生活してたら平常心は保てないだろうね…
まあ僕の場合は慣れちゃたからな〜。)
と自分に呆れたように少し笑っていた。
「とても気持ち良かったです。」
「ありがとねぇ。」
とシャルとトモコさんも満足したようだ。
ちなみにシャルも顔が少し火照っていていつもより扇情的に見えて少しドキッとしてしまった。
まあ普通ならここから恋が始まったりするんだろうが、僕は割と今のこの生活が気に入っているので、恋愛にはほとんど興味がなくなっていた。
まあ、もうマリやシャルは家族なので恋愛対象には僕としてはならないかなと思っていた。
割と2人もそんな感じに見えるので僕としてはこのまま過ごしていきたいと思っている。
「満足してくれて良かったよ。
ちなみにマリから聞いたと思うけど、そっちの温泉の湯には美容効果もつけたから入っているとキレイになるかもね。」
と言った。元々、マリとシャルはキレイで可愛いし、トモコさんにしても年齢の割に若々しく見えてまだ50代ですって言っても通じるだろう。
ちなみにトモコさんはもう60歳を超えている。
「まあ私は別に今のところは美容には興味はないかな?」
とマリが。シャルは、
「まあ私も、そこまではまだ興味がないですね。
もう少し歳を重ねると少し気にするかもしれませんが。」
とのこと。ちなみにトモコさんは、
「私もあんまりかねぇ。
もう恋愛とかする歳でもないからねぇ。」
とのこと。
まあ美容効果をつけたと言っても僕のイメージ通りにしかつけれないし、3人とも既に美しいのでこれ以上はキレイになったら注目の的になってしまって外を歩けなくなってしまう。
まあ若い男なんかは居ないのでそんな心配は要らないのだけどね。
と自分で思ってておかしくなって笑えてきた。
「そのうち、健康効果もつけようかと思ってるからもしかしたら温泉によく入っていたら風邪なんかもひかないかもね。」
と僕はそう言った。
シャルがいつも健康を考えて料理をしてくれているので、僕達は体調を崩すことがほとんどなかった。
崩したとしても割と普段から身体を動かしたりしているのですぐに治ってしまう。
だが、一応トモコさんは割と歳なので一度体調を崩したらあまりすぐには治らないだろう。
しかも、この村にはトモコさんよりも高齢の人も居る。
だからみんなには、いつまでも健康に過ごしていて欲しいと思っている。
そんな僕の考えがバレてしまったのか、
「村の人達の健康を気遣ってくれてありがとねぇ。
こんなに優しい子で嬉しいよ。」
とトモコさんが僕の頭を撫でてくれた。
昔、僕のおばあちゃんに撫でてもらったことを思い出し、少し恥ずかしくなってしまった。
マリとシャルはその様子を微笑ましそうに見ていた。
「とりあえず家に帰ってもう寝ちゃおう?」
と僕は恥ずかしさを誤魔化すようにして、家に走って帰った。
「待ってよ、ワタル〜。」
とマリが、僕の後ろを走りながら追ってきて、
「せっかく温泉で汗を流したのに。走ったらまた汗をかいちゃうのにねぇ。」
「そうですね。ふふっ。」
とマリの後ろではシャルとトモコさんが笑いながらその様子を見ていた。
(これからもほのぼのとここで生活していきたいな。)
僕は温泉に入っていたときの事を思い出しつつ、走りながら家に帰っていった。
つづく
温泉回の第二弾です。もう少し短くする予定でしたが、書いていると止まらなくなりました…
少し長いですが、ぜひ最後まで読んでみてください!それではまた次回もよろしくです。