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〜異世界冒険記〜温泉を作ってみた1

ある日、ワタルが時間があまったのでシャルの手伝いをした。シャルに聞くと毎日の家事で疲れが溜まっているらしい。そこでワタルは温泉を作ることを決意した。

 時間は少しさかのぼり、8月9日、ちょうど日本ならお盆の時期で社会人の人も少しは休める頃だろう。


そんな中、


「暇だな…」


僕はそう呟いた。横ではマリも、


「そうだね〜暇だね!」


と言っていた。


場所は家の縁側で、まだ午前7時ぐらいの時間だった。


夏で暑いとはいえ、まだ朝ならそこまででもない。


だから僕達は朝早く起きて日課の水汲みをしていたのだが、


「慣れちゃったらほとんど時間もかからないな。


おかげでやることがなくなってしまった…」


始めの頃は体力もなく、休憩を何度もしていたのだが、慣れてしまうと割とすぐに終わってしまうようになっていた。


しかも僕達は2人でやっているので、それこそ、1時間もかからなくなっていた。


「これからどうする?


まだ時間も早いしもう一回寝直す?」


僕がマリに相談すると、


「いや、良いよ。


どうせもうすぐ暑くなってきちゃうし。


だから、誰かの手伝いにでも行こうよ!」


(働き者だな〜。


そのおかげで、僕はサボれなくなちゃうんだけどね…)


マリだけ働いていて、僕だけ働かないのは流石にダメだろうと思ったのでサボるにサボれずに、


「なら、まずは身近な人の手伝いから始めようか。シャル〜!」


とりあえず、家の家事をしてもらっているシャル


の手伝いをしようと思って呼んでみた。


ちなみに、呼び方に関しては、


「堅苦しい呼び方はなしに致しましょう。


同じ家に暮らしているのですから、どうぞ呼び捨てでお願いします。


ちなみに、この喋り方に関しましては仕事で使ってたので、どうやらそのまま残ってしまったようです。


気になるようでしたら直しますがどう致しましょうか?」


とのことだった。だから僕は、


「それじゃあ、シャルロッテ?」


そう呼んでみた。すると、


「どうか、シャルとお呼びください。


親しい人は皆様、そう呼んでくださいましたから。」


とのことなので、それ以降呼び方を「シャル」と変えていた。


ちなみに、喋り方に関しては、


「なら、シャルの喋り方も、もう少し砕けた感じにしてほしいかな。


せめて、丁寧語くらいまでにしてほしいかな?」


僕は、そう提案した。


シャルと話していると、まるでメイドと会話しているみたいで不思議な感覚になってしまっていたので、この機会に直してもらおうと思った。


「分かりました。


では、これからはもう少し砕けた話し方をします。」


シャルはそう言い、口調も少し砕けた感じになっていた。


 「何でしょうか?」


時間は、シャルを呼んだ時に戻り、呼ばれたシャルがキッチンから出てきた。


どうやら朝食の準備をしていたようだ。


「何か手伝って欲しいことってある?」


僕は、そう聞いた。


「でしたら、家の中をほうきで掃いてもらえませんか?


マリさんには、風呂掃除をお願いします。」


「「了解〜!」」


と2人で声を揃えて言った。


ちなみにこの世界には、掃除機の様に便利なものはなく家の床掃除は、ほうきや雑巾を使ってするのが当たり前だった。


「時間はかかっちゃうけど、まあ時間もあるしゆっくりやっていくか。」


そう思いつつ、掃除を始めていった。


 「やばい…めっちゃ体力使うな…」


僕は、掃除をしながらそう呟いた。


普段から水汲みをしているので体力にはそれなりに自身があったのだが、やってみて分かった。


かなり腰にくる。そして何よりも、


「この家、やっぱり広すぎるわ…」


元々、トモコさんとマサさんの2人暮らしだったはずなのだが、それにしては広すぎる。


この家には今は5人でしたら住んでいるのだが、5人で住んでいてもスペースがかなり余っている。


そのくせ、部屋は余っておらず僕達は毎晩ずっと、僕、マリ、そしてシャルの3人で揃って寝ている。


ちなみに布団はもちろん別々にしてある。始めはマリが、


「3人で一緒の布団で寝よう!」


と言ってきてが、流石に1つの布団に3人は無理だったので布団を増やした。


ちなみにシャルに、部屋が余っておらず一緒の部屋で寝ることになったことを話すと、


「まあ、別に問題はないでしょう。


これまでもマリさんと一緒に寝ていて特に問題も起きてないですし、大丈夫でしょう。」


とのこと。


男として見られていないので少し残念なのはあるが、実際にマリやシャルに欲情したことがないのも事実なので当然の反応だろう。


(普段から毎日この掃除を1つの文句も言わずにしているのは凄いな。


僕なら1日で他の人に代わってもらうな…)


そんな事を思いながら掃除を進めた。


 「やっと終わった…」


終わった頃にはちょうど昼になっていた。そこでちょうどご飯が出来たようで、


「昼ごはんが出来ましたよ。」


と言う声が聞こえてきた。キッチンに行くとテーブルには、そうめんがあった。


「今日もかなり暑いのでそうめんにしてみました。」


シャルが言った。


確かに暑いときはよくそうめんを食べていた。


まさかここでも食べることが出来るとは思ってなかったけど。


そう思いつつ、食べていった。味も日本にいた頃とさほど変わらずに美味しかった。


そうめんを食べつつシャルに、


「家の掃除って思ってたより大変なんだね…体力には自身があったんだけど、かなり疲れちゃったよ。」


少し笑いながら言った。


わたしもかなり疲れますよ。


ただ聖女の仕事をする前は家の掃除や家事を1人でしていたので慣れているだけですよ。」


とシャルは言った。


やはり慣れというのは大事だなと、僕は改めて思った。


続けてシャルが、


「ただ、家の風呂だと足を伸ばしたり、ゆっくりと入ることも出来なくて、疲れも取り切れないので、いつも夜の9時頃には寝るようにしています。」


と言った。


なるほど、いつもシャルが風呂から出るとすぐに部屋に戻っていたのはそのまま早く寝るためだったらしい。


いつも僕とマリが部屋に戻ると既にシャルが寝ていて起こさないように静かに布団に入るようにはしていた。


「だからゆっくりと出来て、足を伸ばすことが出来る施設が欲しいなとは思っています。」


シャルがそう相談してきた。僕は少し考えて、


「なら温泉でも作る?」


とそう言った。


ただこの世界には温泉は存在しないらしく、


「温泉?いったいどんなものなのですか?」


そう聞いてきた。 


僕は詳しくは知らなかったので、


「簡単に言うと、広いお風呂ってところかな。


本当は旅館と一緒になってる事が多いんだけどこの世界には旅館もないんだね。


ちなみに旅館ってのは向こうの世界では旅行とかどこか行ったりするときに泊まったりする場所なんだけど、この世界にはそれにし近いものは無いの?」


とシャルに聞いてみた。 


シャルは、


「そういったところはこの世界にはないですね。


この世界では、旅に出たら基本的には野宿になってしまいますね。」


と言った。


(なるほどね。


食生活は日本に近いけど、その他の道具や施設なんかはあまり発展していないらしいな。)


僕はそう思いつつ、


「温泉には、だいたい効能ってのがあってね。


ほとんどのところで疲労回復の効果があったからそれを再現できたら疲れもとれると思うんだけど…」


少し言いよどみながら僕は言った。


1から温泉を作るなんて僕には出来っこない。


それに作れてもその後の維持なんかもしなきゃならないだろうし。  


そんなことを考えていると、


「ならこの箱を使って再現してみたら?」


マリはそう言い、胸から箱を出した。


アニメや漫画では、お色気シーンとして良く見ていたが実際にする人がいるとは思ってなかったので、思わず驚いてしまった。


「それはいったい何ですか?」


とシャルが質問した。


そういえばシャルには箱のことを説明してなかったなと思い、


「この世界に来る前にエルから渡されたんだよ。


どうやら武器に変形することが出来て、戦闘すると武器に経験値が入るようなんだが…


この世界に来てから一度もモンスターみたいなものを見たことがないな。」


僕はそう言った。


実際にモンスターが出て来てもらっても困るので出来たら一生出てこないで欲しいところではある。


そんなことを思っていると、


「自分の思い描いた武器になるんなら、もしかしたら武器以外にも何かに変形出来たりするかもしれないじゃない!」


マリがそう言った。


確かに理屈は通っている。


しかもここは異世界だ。


これまでの常識はこの世界では通じないだろう。


まあ、物は試しということで、


「まずは、簡単なものでコップでも作ってみるか。」


僕はそう言いつつ、箱を持った。


まあ、コップならもし作れたとしても普段の生活で使えるし別に問題ないだろう。


そう思い、目の前にあったコップを手本にして、それを頭の中で強く思い描いてみた。  


すると、


「本当に出来ちゃったよ…」


目の前には2つのコップがあった。


1つは元からあったもの、そしてもう1つはどうやら箱が作ったものらしい。


それに物を作る場合は、変形ではなく箱から産み出されるらしく手の中には箱が箱のままあった。


「つまり、これを使えばきっと―――」


僕がそう言うとマリも続けて、


「そう。きっと温泉だって作れるよ!」


元気にそう言った。


 「温泉を作るにしてもどこに作ろうか?


あまり目立つところに作っちゃうと目立って人が集まってきちゃうし………。」


とみんなに相談してみた。


ちなみにトモコさんは既に寝てしまっている。


昼に作ると村のみんなにバレてしまいそうだったので夜に作ろうと晩ごはんを食べてから僕達は部屋に集まっていた。


まあ、どうせ寝るときにはここで一緒に寝ているから元々寝ようとしたら自然と集まる形にはなってしまうのだが。


そんなことを考えていると、


「では、家の裏に作るのはどうでしょう?


裏ならば、前からは見えませんし、温泉の周りを柵か何かで囲ってしまえば周りの人には見えませんから。」


シャルがそう提案してくれた。


「まあ試験的に作ってみて、明日問題があったらまた直したら良いか!」


そう言い、家の裏に来てみた。


そこは、一応水を入れるタンクがあるが、広いスペースがあるのでちょうど温泉を作るのには最適だった。


なので、


「ちなみにどんな感じが良い?」


僕は2人に聞いてみた。


僕が知っているのは、昔に行ったことのある温泉旅館とやアニメや漫画の温泉シーンで見たちょっと変わった温泉しか知らない。


ちなみに温泉旅館の方はあまり覚えておらず、アニメや漫画の方は詳しい描写がなく少し想像がしづらかった。


「とりあえず、地面は土から変えたほうが良いと思うよ。」


マリがそう言った。


それには僕も同意だった。流石に土のままだと温泉は出来ないだろうと思っていた。


続いてシャルが、


「その前に柵を作って、範囲を決めておいたほうが良いでしょう。


地面を変えるにしても、範囲を決めずに変えてしまうと不必要な場所まで変えてしまうことになりますから。」


とアドバイスをくれたので、とりあえずは、


「縦横10mずつぐらいにしようか。」 


とそう言い、周りを木の板で囲っていった。


その範囲の地面を土からきれいなタイルに変えていき、


「後は温泉の形なんだけど、四角か丸のどっちが良い?」


2人に聞いてみた。2人は、


「どっちでもいいよ〜。」


「私もどちらでも構いませんよ。」


と言ってくれたので、


「なら四角にしようか。」


と言って、作ってみた。


ちなみにイメージとしては檜風呂ひのきぶろを想像してみた。


「じゃあ、早速入ってみようか。」


と言って3人で入ってみた。


ちなみにみんな、ちゃんと前は隠している。流石に隠さずに入るのは恥ずかしいからね。


そうして風呂に入ってみた。


「あ〜気持ちいい〜。癒やされる〜。」


「私も〜。」


「そうですね、これはとても気持ちが良いですね。」


みんなとても気持ちが良さそうだった。


これなら風呂としてきちんと機能している。実験は大成功だ!


 僕は、そう思いつつ温泉を堪能していた。


「しばらくはこのままにしておこうと思うけど良い?


ちなみに管理とかは必要ないようにイメージして作ったから管理は要らないと思うよ。」


そう2人に伝えた。


2人はぼーっとしているようだったので、


(まあ、上がってからもう1回伝えようか。)


そう思いつつ、僕もしばらく温泉を堪能していた。


 しばらくして上がり、身体をしっかりと拭き終わってから、


「一応、試験として温泉を作ってみたけどまだ村のみんなには内緒にしといてね。


各家に作るとなると時間もかかっちゃうし、この箱についてもまだまだ知らないことがたくさんあるから色々と調べたいし。」 


そう2人に伝えた。


「了解〜。」


「分かりました。」


と2人とも返事をしてくれたので、


「じゃあこのまま部屋に戻って寝ちゃおうか。」


2人にそう提案し、3人で部屋に戻り、布団をしきそのまま眠った。


           



                  つづく

今回で温泉回を書き切ろうと思ったのですが、少し長くなりそうだったし、ちょうど切りが良かったので2つに分けようと思います。なので次回も温泉回が続きます。そういうことでよろしくです!次回もお楽しみに〜

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