〜Day2〜 ブラック、裏切り
「ハァ、ハァ……」
まただ。追いかけられるのは何度目だよ……。でも前とは違う……。今までとは。
「おい、ルーシェこっちだ」
「ありがとう」
この僕に手を差し伸べてくれる。顔はなんだか眩しくてよく分からない。
「待つのです。止まるのです。この僕につかまるのです。」
ん?この声聞いた覚えが……。
「止まらないともふもふで押しつぶすのです」
あ、ブールだ。でも巨大だ。
「おい、やめろッ。助けてくれッ」
でもブールじゃない。ブールは人を襲わない、多分。でも仲間を襲っている。僕は助けられない。立ちすくんで助けようともできない。何も力を持たない。非力だ。
あれ?様子がおかしい。どんどん増えている。
一二三四……人がいなくなった数と増えている人数が一緒…。これってもしかして……。増殖……。
やべッこっちに来る。
「あ〜、やっとご主人様を見つけたのです〜。もふもふするのです〜」
「逃げるぞ、ルーシェ」
「う、うん」
途方もなく逃げ続ける。
ずたッ。
振り向いたが誰もいない。あれ、いつの間にか周りに誰もいない。誰も。僕は一人だった。いままでずっと。いても辛いだけ。でも今はやっと一人を抜け出せたかと思ったら。すぐこれだ。もう僕は疲れた。このまま……。
……い。……ーい。…おーい。
「ルーシェ!何寝転んでんだよ。さっさと逃げるぞ」
「元……元気?」
「あぁ、そうだよ。逃げよ?寝てないでさ」
手をピースにして歯を見せながら笑っていた。僕の光だ。
「ってかこれどんな状況?」
「知らないで来たのかよ」
「いやだってさなんかきたらそこらにいる奴らが変なもんに食われてるしルーシェが寝てるし」
「助けてくれてありがと」
「え?なに?」
恥ずかしくてありがとなんて言えない。感謝の気持ちでいっぱいだけど。
「なんでもねーよ」
「ちぇー、友達なんだか……」
途中で元気の話が途切れる。前を見て唖然としている。
「なんだ……」
僕も続いて見る。おい。これなんだよ。もふもふの奴らに挟まれてるし……。
「ってかこんな状況になったのはお前のせいだ!ルーシェ」
「え、でも助けに来てくれたって……」
「知らねーよ。ここに来て見つけたのがお前だったんだよ。何も分かんなくて。でもお前を見つけてお前と来たんだよ。でもそしたらこんな事になってる。僕達は終わりだ」
「僕もなんにも分かんないよ……」
「お前が強かったら……」
「……」
何か刺さるものがあった。
「や、やめろォッ」
「え、あッ」
僕はこんな時でも立ちすくんで何もできない。僕が強かったら元気も助けられたのに。こうやって一人になっていく。さっきまで<元気>だった人影もなく周りと同じもふもふになっている。
今度は僕の番だ。
最後まで読んでいただきありがとうございます。まだ小説初心者なので未熟な点がありますがこれからもよろしくお願いします。コメント、感想、アドバイス待ってます!