〜Day1〜 新高校、入学前
「ハァ、ハァ……」
ここはどこだ?蒼と紅の月明かりの下、息を切らして僕は走っていた。足が滑る。パッと振り返ってみれば……
「なんだあれ……」
ドロドロの液体の固まりみたいなやつが俊敏に動いている。気持ち悪い。いくら逃げても追いかけてくる。だめだ。逃げきれない……。
と思ったら急に体が起き上がった。
「ハァ、ハァ……」
いつもの風景が目に入った。カーテンの隙間から日光の光芒に室内が照らされている。そろそろ片付けなきゃいけないこたつの上にみかんが二つ。その前にはテレビ。角にある自分の机には勉強道具。いつもと変わらないなと、ここが現実である事を確かめた。
「なんだ、夢か……」
いつからだろうか。こんな悪夢を見始めるようになったのは……。思い出せない。昔の事なんて。
「ご飯できてるのよー。早く下に降りてきなさーい」
母さんの大きな声が家中を駆け巡る。ふと時計を見ると、もう学校の支度を始めなければいけない時間だった。
「今行くー」
そう言返すと僕は制服に着替えて階段をとことこと降りた。部屋に入るとテーブルの上に目玉焼きとハムがあった。椅子に座って食べ始める。おいしい。いつもと変わらない味。
「ルーシェ、今日から高校一年生ね!おめでとう!」
母さんが台所から顔を覗かせにこにこ笑っていながら言った。今日は僕の高校の入学式。うれしい、楽しみってよりかは不安だ。中学の時僕は虐められていた。なんでだろうね。僕の右目が蒼で左目が紅だから?肌の色がみんなより白いから?髪の毛の色が翠だから?僕がみんなよりチビだから?勉強できないから?それとも性格が気に入らなかったから?……
僕はふと過去の僅かな記憶(苦い思い出しかないけど)を思い出す。もちろん高校はみんなと違う少し遠い所を選んだ。おっと、今はこんな事考えない方がいい。これからの高校生を楽しもう。
「ルーシェ、大丈夫ー?」
「え、あ、うん。大丈夫だよ」
母さんの心配している顔が僕の顔を覗き込んで言った。僕は我に表情を緩める。母さんは僕が虐められていた事を知らない。僕が言わなかったからだ。余計な心配をかけさせたくない。
「ごちそうさまー」
そう言って洗面所に向かう。歯磨きして顔洗って……
用意が終わった。忘れ物ないかな?少し不安。バックを持ってドアを開けた。
「行ってきまーす!」
そして僕の高校生活が始まった。
読んで頂きありがとうございます。初投稿でよみにくく未熟な所がありますがこれからも暖かく読んで頂けると幸いです。よろしくお願いします。たくさんの感想待ってますm(*_ _)m






