愛されなかった双子の弟が手に入れたのはアイでした。
アイディアがぱっと浮かんで勢いだけで書いた作品です。書いた私でも、これがどんな話かよく分かりません。しかし、内容が暗めの作品ですので、もし不快感を感じましたら途中で読むのを止めてください。
○○さん家には双子の兄弟がいました。兄の大翔君は運動が得意で、弟の大和君は勉強が得意でした。しかし、みんなに愛されていたのは、兄の大翔君だけ、弟の大和君はみんなからいないもの扱いをされていました。そんな大和君は思います。
どうして、僕は愛されないの。僕たちは同じなのに、どうして…
ある日、二人は事故にあい、一人だけが生き残りました。しかし、どちらが生き残ったのか、誰もわかりません。二人の見た目はそっくりだったので、二人の親でさえ見分けがつかなかったのです。けれど、みんな思っていました。生き残ったのはヒロト君のはずだと…
数日後、彼は目覚めました。お医者さんがききます。「君はヒロト君なのかい?」と。それがヤマト君とは知らずに… そう、生き残ったのはヤマト君の方でした。愛されてこなかったヤマト君は思いつきました。
そうだ、僕がヒロトになればいいんだ。そうすれば、僕はアイサレル
ヤマト君は答えます。「うん、俺はヒロトだよ! 先生、ヤマトは? 無事だよね?」ヤマト君は知っていたのです。ヒロト君が死んでしまってることを… なぜなら事故の際、ヤマト君をヒロト君がかばったからでした。あんな状態で生きていられるはずがないと分かっていたからです。そして、周りの人たちはヤマト君の言葉を信じました。こうして、その日からヤマト君はヒロト君となったのです。
ヒロト君となったヤマト君は幸せな日々を過ごしていました。今まで得られることがなかった愛を手に入れたからです。彼の偽りに周りの人は気がつきませんでした。もし、気づかれる原因をあげるとするならば、ヤマト君の運動能力でした。ヤマト君は運動が苦手でした。けれど、足を失ってしまったのでもう走ることすらもできませんでした。だから、誰も疑いもしなかったのです。
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もうすっかりヒロト君となっていたヤマト君のもとに一人の少女が現れました。そして彼女は言いました。「ねえ、あなたはヤマト君でしょう? どうしてヒロト君のふりをしているの?」と。ヤマト君は焦りました。しかし、彼は冷静に答えました。「何のこと? 俺はヒロトだよ。」「嘘、あなたはヤマト君でしょ。なんでみんなは気づかないのかな…? こんなにも違うのに… とにかく、何でヒロト君のフリしてるかはきかないけど、何かあったら相談してね。それが言いたかったんだ。」
ヤマト君に手を振りながら去っていく少女を見て、ヤマト君は思います。
気づかれてしまった… どうして!?
僕は完璧にヒロトを演じているはずだ!!
このシアワセを壊されるわけにはいかない。
早く彼女をどうにかしないと…
口止めすれば… でもいつかバレてしまうかもしれない。
そうだ! 消せばいいんだ、アノコを…
ちょうど最近、通り魔による犯行が多い。その一つにみせかければ…
多くの人が報道されている事件で悲しむ中、ヤマト君はひとり笑っていました。今回の事件の被害者はあの少女だったからです。そして、ヤマト君は呟きました。
「僕はヒロトだ。もうヤマトは存在しない。」
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実は… 少女が殺害され、ヤマト君が去った後、彼女はこう言い残していたのです。「ヤマト君、私はヤマト君の方が好きだったよ… ヒロト君じゃなくてみんなをいつも助けていたヤマト君が…」と。ヤマト君は知らなかったのです。ヤマト君はちゃんと愛されていました。事故の後、多くの人がヤマト君のために涙を流したのです。あの少女もその一人だったのですが、彼女は偽りに気がつきました。しかし、理解者となってくれたはずの彼女もいなくなってしまいました。彼女がいれば、ヤマト君は消えることにはならなかったのに、ね…
おめでとう、ヤマト君。いや、ヒロト君といった方がいいだろう。もう大和君はいなくなってしまったのだから。君は… 望み通り、これからもアイサレルンダヨ、大翔君。
誤字脱字などがありましたら報告してくださると助かります。ここまで読んでくださりありがとうございました。