第七話
「下がっていいですよー。」
「はっ。」
孫策の報告を受けるよりも早く配下の細作から帰還兵の報告を受ける、
袁術軍全滅、孫策軍半壊、
ある程度の被害は予想していたがここまでとは思わなかった、
それに兪渉には戦うのは孫策軍だけにして一切戦わないように指示しておいたはずなのに、
全滅故に情報がなさすぎる、
孫策に聞かねばならないのが癪に障った。
袁術城
「あなたの言うとおり黄巾党の本隊を殲滅してきたわ、こっちの被害も尋常ではなかったけどね。」
孫策が帰還報告をしていた、
「被害はどうだったのじゃ?」
なんとも偉そうな物言いの発言は袁術、
そして幼女、
「袁術軍兪渉将軍以下三千全滅、孫家は半分が死んだわ。」
(報告通りですねぇ。)
「ぜ、全滅じゃとうぅ~~。」
「ええ、ごめんなさいね、私たちの方も自分たちが生き残るので精一杯、兪渉将軍を助けることはできなかったわ。」
「そんさ…」
張勲が詰問しようととしたところで孫策が続ける、
「それでね、お詫びの代わりにこれを袁術ちゃんにあげようと思って。」
そう言って小さな壷を一つ差し出す、
「おおおおおおぉぉぉぉ。」
袁術が目を輝かせながら孫策の手元にある壺を見る、
そう、
袁術の大好きな蜂蜜だ、
孫策が持ってくる蜂蜜は質も良く高級品で張勲がご褒美以外では許してくれないほどの代物だった、
それを孫策がくれるという、
「うむ、うむ、仕方がないから許すのじゃ、孫策はあれじゃの、よく解っておるの。」
「ありがと、でもうちの方ではもう分隊の相手を出来るほどの戦力はないわ、最初の話のようにそっちで何とかしなさいよ。」
「言われんでもすぐに殲滅するのじゃ、七乃(張勲の真名)すぐに準備せい。」
「じゃぁ失礼するわ。」
「お嬢様ぁ、良かったんですか?」
「蜂蜜が手に入ったから良いのじゃ、七乃それよりも蜂蜜水作ってたも。」
「あんまり沢山は駄目ですよ。」
その日出撃した袁術軍は行軍途中に襲撃を受けて全滅した。