第三話
「冥琳、二人きりで話がしたい。」
「ほう、私を口説こうというのか?」
周瑜が将を見つめる、
「ああ、俺は冥琳を口説き落とさなければいけない。」
そう言って将も真剣な目で周喩を見つめる、
周瑜は将の真剣な目を見て、
「では私の部屋で話を聞こう。」
周瑜はそう答えた、
「さて、草薙よ私をどうやって口説いてくれるのかな?」
そう言って周瑜はフフフと笑みを浮かべる、
それはつまらない内容であれば斬って捨てるとでも言わんばかりの笑みだった、
「うん、先ずは今の孫家を取り囲む状況を知りたい。」
周瑜から語られた現在の状況は将にとって衝撃的なものだった、
孫堅が既に死んでいたことは予想の範疇ではあったが、
袁術から未だに独立しておらず客将であったこと、
(将は周瑜がいるということで既に独立していると思っていた。)
黄巾の乱が未だに起きていないこと、
当然反董卓連合も起きていないこと、
頭が痛い、
自分の知る知識と大分誤差が有る、
おそらく何らかの形で黄巾の乱、反董卓連合軍、
その後の群雄割拠は起こると思うがそれがいつなのかは読めなかった、
「冥琳、今って皇帝は誰で何年?」
「皇帝は劉宏、光和6年になったところだ。」
【来年が黄巾の乱が起きる年です。】
AIがモニターに表示する、
「で、冥琳、お前の病はどれくらい進んでいる?」
「!!!……お前の知る歴史の周喩は病死か?」
一瞬驚いた顔をするもすぐに表情を取り戻し将に聞き返す周瑜、
「自分が病に侵されているというのは知っているようだな。」
「私をひっかけたのかっ!!」
「悪いとは思ったが素直に聞いて答えてはくれないだろう?」
諦めた表情で答える周瑜、
「ありとあらゆる伝手を頼ったが治らないと言われた、もってあと数年だろうとも……な。」
将は少し俯きながら言う、
「俺なら治せる。」
「なん……だと、治せる? どうやって?」
先程とは打って変わって目に光が灯る周瑜、
将の肩を掴み将を揺さぶる、
「房中術の技の中に【玉女採戦】というのがあるのを知っているか?」
「いいや、しかし房中術だと?」
「ああ、俺の氣を冥琳に分ける、俺の家では氣分転換と呼ぶがね、氣を分け与え、相手の氣へと転換させるから氣分転換という、二択だ、一度で治すか、それとも時間をかけて治すか。」
「二択というからには何かあるんだな?」
「一度で治すなら俺に抱かれるのは一度だが苦しみが続く、およそ100日だな、時間をかけるのであれば俺に抱かれるのは約70日だ。」
「説明してくれるのだろう?」
「一度であれば冥琳の氣とほぼ同量の俺の氣を冥琳に送り込む、俺の氣が冥琳の氣と交じり合い、馴染むまでおよそ100日かかる、その間俺が常に冥琳の意識を乗っ取るかのように体の中にいることを感じるそうだ。」
「そうだ、というのは?」
「俺自身は経験したことがないからな、ただこれは事実らしい、多くの人間が一度で試して発狂したという。」
「時間をかける方法は?」
「冥琳の現在の氣量を100とする、俺はその100分の1相当の氣を冥琳に分ける、次の日101になっている冥琳の氣を100とみなして100分の1を冥琳に分ける、これを繰り返せばおよそ70日で冥琳の氣は今の倍くらいまでなっている計算だ。」
「ふむ、それは私が自分で氣を増やそうとしても駄目なのか? もしくはお前以外の相手では駄目なのか?」
「一つ目の答え、冥琳が自力で増やしても病に侵された身で増やした分は結局病に侵されていることに変わりがない、二つ目の答え、他に玉女採戦が出来る者がいれば問題はない。」
将はまっすぐに周瑜の目を見て話す、
「俺の話を戯言であると思うならそれでもいい、治った後に俺に誑かされたと俺を始末してくれても構わない、それでも俺は冥琳を救いたい、頼むから俺に冥琳を助けさせてくれないだろうか?」
周瑜も将の目を見て話す、
「何故そんなにも真剣な目で今日あったばかりの私を治そうとする?」
「俺は歴史上の孫伯符、周公瑾という義兄弟の繋がりが好きでね、今ここにいるのは世界は違えどもその二人を救うために来たと思っている、俺は俺の知識、力、全てをかけて呉に尽くすと約束をした、だからこそ俺は冥琳、お前を全身全霊かけて癒してみせるっ!!」
そう言って将は周瑜へ手を差し出す、
この手を握れと、
「信じているぞ。」
そう言って周瑜は将の手を取った。
将はその手を引き周喩を抱き寄せる、
「ありがとう、ありがとう、ありがとう。」
そう言いながら周喩を力強く抱く将、
「馬鹿者、泣く奴があるか。」
「冥琳が俺を信じてくれた、冥琳を救える、それと……冥琳を抱ける、こんなに嬉しいことがあるかよ。」
「こら、私を治すんだろう?」
「ああ、俺は幸せ者だ、自分の好きな人を助けられる機会に巡り会えたのだから、俺は自分の運命に感謝する。」
将は周喩にキスをすると寝台へと向かった。
こうして将は冥琳の死亡フラグをへし折りました、
物語はこの辺から徐々に違う方向へと向かっていきます。
でわ、
ちゃおノシ