第二話
今回は原作をだいぶ使わせてもらっています、
始めのこの部分はどうしても必要だったため申し訳ありませんが勘弁してください。
そして説明多いです、
この回はそんな回です。
将が連れてこられた場所は孫策の館の一室、
そこにいるのは孫策、黄蓋、将、
そして孫策の帰りを待っていた周瑜であった、
周瑜が口を開く、
「それで、草薙将といったな?」
「ああ。」
「お前は未来から来たと?」
「ああ。」
「それをどうやって証明する?」
「このランタンやゴーグル、他にもいろいろ今の時代では作れないようなものがあるが、それをもって未来から来たと主張してみたところで納得しない人間は納得しないだろうし、理解できない人間は理解できないだろう?」
「ほう。」
「つまりは信じてもらう以外にはない、だから俺はっ!我が名、草薙将と我が魂にかけて誓おう、そして、嘘偽りがあると思うのであれば処断してくれて結構、これが今の俺にできる唯一のことだ。」
「へぇ。」
「ほぅ。」
「ふむ、では、お前はどのように? 何の目的があってやってきた?」
周瑜が問う、
「気がついたらこの場所にいた、だから帰り方も解らない。」
「お前の言っていたと言う、ぱらなんとかというのは一体なんだ?」
「ああ、パラレルワールドね、並行世界とも言うんだけど。」
俺はポケットから紙とペンを取り出し横長に一本の線を引きその右端に今と書いて丸で囲う、
「俺と孫策が今日出会い、そして今ここに居る訳だが、もしも、俺と孫策が出会わなかったら? おそらく俺は一人であてのない旅でも始めていたんじゃないかな? そうしたら貴方達と俺の人生が交わることはないだろうな。」
そう言いながら途中から枝分かれを書き込み、【孫策と合わなかった未来】と書き込む。
「もし出会っても孫策が俺に興味を抱かずここに連れて来なかったら?こうして会うことも無かっただろう、その場合も俺たちの人生が交わることはなかっただろう。」
別の枝を書き込み【交わらなかった未来】と書き込む。
「もしもあの場で戦闘となり誰かが死んでいたら? といった風に世の中の行為には全て、もしも何何だったらなんて言う想像が働かせられるのは解ってもらえる?」
そう言いながら俺はいくつもの枝を書き足していく。
「うむ。」
「パラレルワールドっていうのはそんな何何だったらという世界が存在している、とする考え方の一つだ、選択肢一つで別の世界が生まれるそれは世界中の人々すべての行為に及ぶからパラレルワールドはそれこそ無限に広がる世界であるとも言われている。」
そして俺は書き込んだ枝を指し示しながら、
「これらの数多ある世界が同時進行で存在しているとする考え方の世界の一つをパラレルワールドと呼んでいるんだ。」
「それで何故そのぱられるわーるどだと決め付ける? お前の知る歴史と齟齬があるとでもいうのか?」
「流石は周公瑾、そうなんだよ、俺の知っている歴史では三人とも男だ、それ故に俺はこの世界はパラレルワールドへのタイムスリップだと感じたんだ。」
「たいむすりっぷ?」
「ああ、タイムスリップっていうのは時間旅行とも呼ばれているけれど未来から過去へ、過去から未来へと行くことだったりすることを言うんだけど俺の居た世界でも考え方の一つでしかない、けれども出来ないとされているな。」
「しかし今お前はここに居る。」
「うん、【過去は変えられない】タイムスリップを否定する人は必ずそう言うんだ、けれどもタイムスリップとパラレルワールドが二つで一つであるならば?」
「そうかっ!!過去の変わった未来と変わらない未来とが存在することになる。」
ポンと手を打つ周瑜、
「おそらく過去は何度となく変わっている、けれどもそれはその世界の人間には解らない、」
周瑜が俺のペンを取り枝を付け足す、
「変わった未来の人間にもそれを知る術はないから誰もそれを証明できない、そういう事だな?」
「おそらく。」
そんな感じで周瑜と話が盛り上がる、
「ふむ、お前の言うことは荒唐無稽過ぎるがお前の行っていることの全てを否定することはできんな。」
顎に手を当てながら答える周瑜、
「理屈っぽいいのねー。」
ハァとため息をつきながらやれやれと手を上げる孫策、
「それこそ軍師の性だ。」
フンと胸を張る周瑜、
あ、揺れた。
「で、この子どうする?」
処断の決定権はお前にあるとでも言わんばかりに孫策は周喩に問う、
「こやつが天の御使いかは解からん、未来から来た、パラレルワールドから来たなんていうのも事実かどうかは解からん、しかし、少なくとも我々の知らぬ知識や技術のある国から来たのであろうこと、そして、嘘を言っていないということくらいはその話ぶり、目を見れば解る、信じても良いだろう。」
自信たっぷりに周喩が答える、
「ほう、お眼鏡にかなったようじゃな、儂もこやつの氣を肌で感じているが心地よい氣を放っているのが解る、この氣は悪人ではでぬよ。」
氣を扱えるのだろう黄蓋も口添えをしてくれている、
「なら決まりでいい?」
「天の御使いとして祭り上げるには十分だろう、伯符の好きにすればいいわ。」
「ふふ、ありがと。」
「さっきも出てきたが天の御使いとは?」
「おぬしがここに現れる前に管路という占い師が吹聴しておっての。」
「曰く流星とともにやって来る者はこの乱世を鎮める天の御使いである、とな。」
「信じてなかったんだけどね、眩しい光とともにあなたが現れた、ならあなたには天の御使いとしての資格があるってこと。」
「ああ、そういうことか。」
「ほう、理解したのか?」
「ああ、俺を担ごうってんだろ?」
「それは我らが主の意思による、どうする?」
「もともと考えていたことを実行するわ。」
「ふむ、お好きにすればよろしい、特に反対もせん、何より…わしはこやつの氣、気に入ったぞ。」
バシバシと肩を叩きそして俺の首に腕を回してくる黄蓋、
「で、俺はどうしたらいい?」
「ねぇ、将はこれからどうしたい?」
孫策が真面目な顔で聞いてくる、
「少し時間をくれないか?」
将は考える、
自分の技、力量、道具、知識、AIのサポート、
この時代でもやっていけるはずである、
パラレルワールドであろうが大きなイベントが起こることは間違いないはずである、
官途の戦い、孫策の死、赤壁……
俺が考えていると周喩が、
「行く宛はあるのか?」
「今のところ考えはない。」
「生きる術……は、ありそうじゃの?」
黄蓋が聴いてくる、
「十二分に。」
苦笑しながら将は答える、
孫策が不意に将に問いかける、
「ねぇ?私たちと行動を共にしない?」
「渡りに船だが俺に何を望む?」
指を一本立てて孫策が、
「察しがいいのね、まず一つ目あなたの知識、力、その他もろもろね、呉の統治に役立てること。」
「俺にできる範疇であれば、全力で応えよう。」
ドンと胸を叩く、
二本目の指を孫策が立て、
「よろしい、で、もう一つは私に仕えている武将たちとあなたが率先して交流を持つこと。」
「仲良くしろってことか? まぁ大丈夫だろ。」
「違うわよ、口説いてまぐわれって言っているの。」
理解してないなーそんな表情で将を見る孫策、
「まぐわ…え? え? え? 本気か?」
「あなたの胤を呉に入れるの、そうすれば呉に天の御使いの血が入ったと喧伝できるでしょ。」
先程より真剣な表情の孫策、
「種馬……か?」
「そういうこと、でも嫌がる女の子にするのは駄目だからね。」
いたずらっぽい表情で言う孫策、
「あなたが口説いて女の子が良いって言うまでは手を出しちゃ駄目よ。解った?」
「それで良いのか?」
将は周喩を見る、
「良いとは言えんがな、伯符の言うことにも一理あるのは確かだ。」
やれやれという表情で答える周瑜、
「俺でいいのか?」
「私は良いわよ。」
にっこり笑う孫策、
「儂も構わんぞ。」
豪快に笑う黄蓋、
「まぁ、その辺の話はおいおい話し合っていけばいいだろう。」
「で? どうするの? 受けるの?受けないの?」
「ああ、受けるよ。」
「ふふ、決まりね、改めて自己紹介、姓は孫、名は策、字は伯符、真名は雪蓮よ。」
ニッコリと笑って孫策が自己紹介をする、
「ほう、真名までお許しになのか?」
黄蓋が笑みを浮かべて孫策に問いかける、
「だって身体を預けることになるかも知れないでしょう、なら、それくらい特別扱いしてあげないと。」
「真名って何?」
「真なる名と書いて真名だ、私たちの誇り、生き様が詰まっている神聖なものだ。」
周瑜が説明をする、
「自分が認めた相手、心を許した相手、そういった者だけに呼ぶことを許す大切な名前じゃよ。」
先程と打って変わって真剣な顔つきで話す黄蓋、
「他者の真名を知っていても、その者が許さなければ呼んではいけない、そういう名前。」
孫策もまた真剣な表情で語る、
「ふーん、許した者以外が真名を呼ぶっていうのは辱めたと言う事と同義っていう意味合いでいいのかな?」
「ああ、そう言う意味で考えても問題はないな。」
と周瑜、
「親しい者以外が呼ばないっていう意味じゃぁ、俺の名、将も似たようなもんだ。」
「「「!!!」」」
「俺は大人になれば【剣皇】を継ぐからよほど親しくない限りは俺の事を将と呼ぶ人間はいないんじゃないかな?」
「じゃぁ、おぬしは初めて会った儂らに真名を許したっていうのか?」
信じられないものを見るような目で見る黄蓋、
「ああ、君らの流儀に従えばそういうことになるだろうが気にする必要はないよ、俺が勝手に許しただけだ、それに真名って言うのは誰かが預けたから自分も返すっていうほど安いものじゃあ無いんだろ?」
「ふふふ、将、あなたやっぱり面白い男ね、私のことは今後、雪蓮って呼んでね。」
「ああ、よろしく雪蓮。」
「我が名は黄蓋、字は公覆、真名は祭じゃ。」
「祭さん、よろしく。」
「うむ、よろしくしてやるぞ。」
「姓は周、名は瑜、字は公瑾、真名は冥琳、草薙よ、貴様には期待させてもらうぞ。」
「ああ、よろしく冥琳。」
コホンと咳払いをして将も自己紹介をする、
「姓を草薙、名を将、字や真名は無いが将が真名に近しい、今後は将と呼んでいただきたい。」
三人と握手をし挨拶を交わすのだった。
そして今日は夜も更けたことだし明日改めて紹介していないものに紹介するということでお開きとなった。
「冥琳、二人きりで話がしたい。」
将が周喩に話しかけた。