第一話
眩しい光に包まれたと思った瞬間だった、
「ここは?」
目の前の敵が突如として光を放った、
それは覚えている。
「そうだっ敵はっ?」
先ほどまで対峙していたはずの敵の姿を確認するために俺は構えると共に当たりを見回した、
しかしその眼に映ったのは…
周りが暗く感じたのはフラッシュの後だったからではないようで実際に夜のようだ、
この状況を理解するにも情報不足過ぎる、
ゴーグル型デバイスのAIを起動し情報収集をすることにした、
「AI、位置座標の特定を頼む、こう暗くてはここがどこだか解らん。」
そう言いながら俺は太陽光充電式のLEDランタンを取り出して電源を入れた、
「位置座標特定できません。」
「何?」
「そもそもなんの電波も受信しません。」
「ちょっとまてよ、この地球上で電波を受信できないなんてことがあるはずないだろう?故障でもしたのか?」
「故障の可能性は0です、ちょっと待ってください、人が二人こちらに向かってきます。」
ゴーグルに赤く二つの点が灯る、
「だいぶ大きな氣だな、A-って所か? 挨拶でもしてここがどこか聞かないとな。」
おっと二人共美人さんだ、
胸も大きいし露出も大きい、
褐色の肌に髪の色が少し気になるが夜だしランタンの光の反射でおかしく見えるだけかもしれない、
友好的に行くか、
俺は手を挙げながら
「申し訳ないがここが何処か教えていただけませんか?」
若い方が答える、
「ええ、いいわよ、その前にこちらの質問に答えて欲しいんだけど。」
彼女の右手には剣が握られている、
それも直剣だ、
もう一人が弓を構えているのが見える、
どうやら歓迎されていないようだが現代でこんなことするのはどんな所なんだ?
「ええ、しかしその前にその剣と弓を仕舞って貰えますか?」
「そうね。」
そう言うと彼女は自分の剣を仕舞い後ろの女性に弓を仕舞うように指示を出した、
「ねぇ、貴方さっきの光と何か関係あるのかしら?それとその手に持っているの大分明るいのね? それはなぁに?」
「さっきの光? それに関してはよく解らないが直前まで妖魔と戦っていてね、そいつが光ったと思ったらここに居たんだが…それとこれはランタン、太陽光充電式の最新型LEDランタンだよ。」
「ようま? らんたん?」
「ああ、今度は俺の質問に答えてもらえないかな? ここはどこ?」
「ここは荊州南陽じゃ。」
後ろの女性が答える、
「荊州南陽? 山形県の南陽市じゃなくて? AI、荊州南陽って今の地名ではないよな? 三国志とかに出てくる地名じゃなかったっけ?」
「現在では河南省南陽市ですね。」
「「!!!もう一人どこにいるの!?」んじゃ!?」
「は? デバイスと会話しただけじゃんか? それともデバイスがそんなに珍しい? 確かに完全自立思考のAIは珍しいかもしれないけれど、この程度の会話なら簡易AIだってできるでしょ。」
と俺はゴーグルを指す、
「でばいす? えーあい?」
うーん会話がなかなか成立しない、
俺の格好である程度素性はしれていると思ったんだがそう甘くはないのかもしれない、
対魔学園の制服は結構有名だと思ったんだけどな、
「俺は対魔学園一年草薙将富士山の樹海で実習をしていたはずなんだがなぜか今ここにいる、ここがどこか教えて貰えませんか?」
「姓が草、名が薙、字が将?」
姓・名・字なんていつの時代だよ、
「姓が草薙、名が将、字はない……」
いつの時代……荊州南陽……
「申し訳ない、二人の名前を教えてもらえませんか?」
「私は孫策、字は伯符よ。」
「儂は黄蓋、字は公覆じゃ。」
孫策!!黄蓋!!
「情報の整理をしたいので一晩休める場所を探したい、どこか宿はありませんか?」
「こっちもいろいろ聞きたいことがあるわ、私の館に泊めてあげる。」
「策殿っ!!」
「いいじゃない、こんなところにいつまで居たって埒があかないもの。」
「やれやれじゃ。」
「ねぇねぇ将、その眼鏡なんで喋るの? それって何? 妖の術? 妖魔って何? らんたんってすごい綺麗に明るく光るのね。」
将は孫策から質問攻めだった、
「この眼鏡、これはゴーグル型デバイスって言って俺のサポートをするための機械、喋るのは俺と意思疎通させるための完全自立思考型のコンピュータで名前はAI」
「さぽーと? こんぴゅーた? あいちゃんって言うんだ?」
横文字がまるっきり通じない…
どうやら俺とAIはパラレルワールドへとタイムスリップしたらしいと結論付たのだった。
初めての方もそうでない方もこれからよろしくお願いします、
話が短いのと更新が不定期なのといろいろありますが、
どうぞよろしくお願いします。
こっちでは既にネタがバレたので書きますと、
AIと書いて【あい】と呼びます、
将が会話や思考でAIと呼んでいるときは【あい】と呼んでいます。
向こうの方でルビを振るのはまだ先になります。
でわ、
ちゃおノシ