第十四話
黄巾党の夜襲から始まったこの戦も黄巾党による妖術により多くの犠牲を出したものの諸侯による連合軍により黄巾党は殲滅していた、
現在は夜も明け、どの陣営も戦後処理を行っていた、
孫策陣営を除けばどの陣営も大なり小なり被害を被っていた、
「みんな準備は良いかしら?」
雪蓮が声をかける、
うむ、おう、はい、等とそれぞれ返事が返ってくると満足そうに雪蓮はうなずく、
「じゃぁ確認ね、私と張三姉妹は皇甫嵩、朱儁のいる官軍の所、冥琳は、」
「袁紹の所だ。」
雪蓮の問いに冥琳が答える
「で、穏は、」
「曹操さんのところです~。」
穏がいつもの調子で答え、
「だったわよね、で、蓮華と思春それと歩が、」
「董卓陣営です。」
「しかしお姉様、私でよかったのでしょうか?お母様と華雄は因縁があったとか…」
「そのあたりも含めて上手くやって来なさいよ。」
雪蓮はにっこり笑って蓮華を見る、
「やってみます。」
自信無さ気に蓮華が答える、
「今後の外交問題にも関わって来るのですから蓮華様もそのおつもりで。」
亨さんが無駄にプレッシャーを掛けていた、
「なぁに、蓮華嬢、俺も行くんですから気を楽にしてください。」
歩さんが今にもガハハと笑いそうな勢いで豪快に語りかける、
その豪快さがあまりにも男前過ぎて女性であることを忘れてしまいそうだ、
なんて思いながら見ていると視線に気がついたようでこちらに向かってくると、
ムニュン
いきなり将の顔をその豊かな胸へと埋める歩、
「将、お前俺を見て失礼なこと考えていただろ?」
あ、気持ち良い…
「って、やめいっ!!」
そう言って将は歩から剥がれる、
等とやっている間にそれぞれの行き先確認も終わりに近づいており、
「で、将は本当にあそこでいいの?」
雪蓮がその陣営を指差しながら将に確認する、
「ああ、あそこで良い。」
将も指差しながら答える、
雪蓮はフフフと笑みを浮かべると、
「ならいっか、じゃみんな出発ね。」
*****************************************
side雪蓮
「あの、孫策様、私たち本当に大丈夫なんでしょうか?」
張角が雪蓮に声を掛ける、
「貴女たちがボロを出さなければ大丈夫よ、そのためにお土産用意してあるんだし。」
そう言うと雪蓮が荷馬車に目をやる、
「手はず通りやってよね、これに貴女たちだけじゃない、私たちの命運もかかっているんだから。」
「うーー緊張するーー。」
「お姉ちゃん大丈夫かな。」
「姉さんたちは深く考えないほうが良いわ、むしろ今のままで良い、偉い将軍様に会うから緊張しているように見えるだけだから。」
「そっか。」
「うん、なら大丈夫だね。」
(ふーん、この娘かなりしっかりしているわね、拾い物だったかしら。)
そうこうしている内に官軍の陣に到着する、
陣の前に居る警護の兵が呼び止める
「どこの陣営の者か?」
「孫策軍総大将の孫策だ、先に使いの者は出しているはずだが。」
「承っていましたが、これも我々の仕事です、ご理解下さい、では、私が案内いたします。」
「警護はいいのかしら? それと荷もあるのだけれど。」
雪蓮が荷馬車を指差す、
「ええ、交代の者もあそこに見えますし、荷馬車もそのまま引いて来てもらって大丈夫です。」
「皇甫嵩将軍、朱儁将軍、お目通りが適いありがとうございます。」
「そんなに畏まらなくとも良い、お主の母、孫堅とは知らぬ仲ではない。」
朱色の髪をした女性が雪蓮に声を掛ける、
「それで、張三兄弟の首を持ってきたとの事だったな?」
次いで黒髪の女性が声を掛ける、
「は、おいっ。」
雪蓮が声を掛けると荷馬車の御者をしていた兵士が首桶を持ってくる、
「これが張三兄弟の首にございます。」
「ふむ、しかしこれが本当に張三兄弟の物と誰が証明する?」
黒髪が素直に疑問を問う、
「つれて来い。」
雪蓮が声を掛けると先ほどの兵士が娘を三人連れてくる、
「この三人は昨日我々が保護した娘でございますが黄巾の賊に囚われその時に張三兄弟の顔を見たとのことでございます。」
「ふむ、その方たちは張三兄弟を見たというのは本当か?」
顎に右手をやりながら黒髪が三人に問う、
「は、はい、確かに見ました。」
長姉の張角が答える、
すると朱髪の女が首桶から三つの首を出してその顔を三人へと向ける、
「「「ひっ!!」」」
生首を出され三人は息を呑む、
「どれが張角だい?」
朱髪が問う、
「ま、ま、ま、真ん中です。」
張角が答える、
「では張宝は?」
「み、み、右の。」
と張宝が指差しながら答え、
「ではこれが張梁かい?」
黒髪が問い、
「はい、私たちが囚われている所にやってきた三人がそう呼ばれていましたので、間違いは無いと思います。」
そう張梁が答える、
「ふうむ、孫策よ我々の所にこの首を持ってくるって言うのはどういうことだい?」
朱髪が雪蓮に問う、
「朱儁将軍が母と知己の縁が有ったのは母より聞いております、我らは母亡き後袁術の客将扱いとなっておりますゆえに…」
「皆まで言わずとも良い、我等も宦官共の所為で冷や飯を食わされてはいるがお前たちに悪いようにはしないさ。」
黒髪が遮る、
「朝廷のほうには我等が口添えしておくがあまり過度の期待はするなよ。」
朱髪の女、先ほど雪蓮が朱儁と呼んだ女が答える、
「は、よろしくお願いいたします、それと。」
兵士が樽を数個持ち込んでくる、
「こちらは戦勝の祝い酒でございます、お納め下さいますよう。」
数個あるということは朝廷への手土産分もあるということかと判断し、
「うむ、先ほども言ったが確約は出来ぬぞ。」
黒髪が答える、
「皇甫嵩将軍、そのお言葉だけで結構でございます。」
こうして雪蓮の種まきは終わった、
「あれで良かったのでしょうか?」
帰り道張梁が声を掛ける、
「上出来じゃない? 私たちに出来ることはやったわ、後は他のみんなの成功を待ちましょう。」
この辺のくだり、
いくつかに分けます、
短いのにというお怒りは無しの方向で。
なるべく早く書きたいと思います。
でわ
ちゃお
ノシ




