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第十三話

黄巾党が立て篭る城を各勢力が囲い明日にも大規模な戦闘が行われるであろう事は誰の目にも明らかであった。


*****************************************

side黄巾党


「張角様、この城の周りは既に多数の勢力に囲まれております、いかがいたしましょう。」


張角と呼ばれた女は髪がピンクで腰まであり、

黄色の大きなリボンで飾られている、

服はだいぶ露出が多くその大きな胸と腰を隠しているだけのような服装だ、


そばにいる二人の妹も服装は同じような感じである、

上の妹は張宝、

青い髪のポニーテール、

ぺたん娘である、


下の妹は張梁、

紫の髪はショートカットで、

眼鏡っ娘、

胸は下の姉よりも大きいが普通サイズである、



「追って指示します、それまでは今まで通りでお願いします。」

そう指示を出したのは張角ではなく末妹の張梁、

三姉妹の中での実質の頭脳労働者であった、


ちなみに姉二人を評価するならば長姉は天然、次姉は我儘、

当然末妹がしっかりしなければいけない構図となっていた、


そんな彼女たちが今いる部屋は元はこの城の城主が住んでいたと思われる部屋、


今この場所には姉妹しかいない、


「お前達が張三姉妹だな?」


不意に男の声がする、


「誰よっ!!」

張宝が声を上げる、


「それにどこにも人がいないよ~。」

張角が周りを見回しながら誰もいないことを確認する、


「我こそは天の御使いなり。」


「「「天の御使いっ!!」」」


「天の御使いって、あの、管路が予言した乱世を治めるって言うあの天の御使い?」

張梁が質問をする、


「さよう、このままではお前たちの死は目に見えているであろう?」


「ええ、確かに。」


「このままではお前たちの選択肢は狭まるばかり、我が手助けしてやろうか?」


「天の御使いが私たちを助けてくれるって言うの? 信じられるわけないじゃないっ!!」

張宝が声を上げる、


「信じる信じないはお前たちの自由だが、現状確認のためにも表を見よう、外の勢力に見つかっては敵わないから顔まで隠れるようにこれを着ろ。」


その言葉の直後に頭巾付きの体がすっぽり隠れる大きさの外套が三着現れた。


「これ、どうやったって言うの?」


「天の御使いであると言ったろう、それを着たら城壁、門の上まで行くぞ。」


その声に三人は従い城門の上までくる、

既に周りは多くの勢力に囲まれており、

ざっと見ただけでも10万以上は居るであろうことは解った、


ヒュッ


音を立てて一本の矢が飛んできた、


その矢が張角に当たる寸前目の前で止まる、


「え? え? え? どういうこと?」


「ちょっとこんなところ危ないじゃないっ!!」


「これも天の御使いのあなたの仕業?」


「この矢が飛んできたのは我の所為ではないが、この矢を止めたのは我の力だ、この角度はおそらく曹操の陣の様だな、この距離で狙えるということは夏侯淵であろう、さて、これだけの軍勢に囲まれていることは理解したであろう?」


「理解しているわよっ!」


「これではどうやっても逃げ切ることは出来ないであろうが、我が力を貸せばここより逃げることは出来るであろう。」


「どうすれば良いの?」


「張角よ、曹操の陣営に向かって腕を振ってみろ。」


「えっと、こう?」

張角が言われるままに腕を振る、



ドゴーーーーーンッ!!!

その直後に曹操陣営の中心で爆発が起きる、

天幕が飛び、人が飛ぶ、

曹操陣営では混乱が起きているだろう、


「な、何が起こったって言うの?」


「天の御使いの力だ、この音で兵士も上がってこよう、部屋に戻ろう、兵は上手く誤魔化せ。」


「「張角様、張宝様、張梁様、ご無事ですかっ?」」


「大丈夫です、曹操の陣営に天罰を下しただけです。」

上がって来た兵の問いかけに即座に返答をする張梁、


城門の上から曹操陣営を確認した兵たちが大騒ぎしている、





*****************************************

side曹操陣営


紅い瞳、水色の髪をしたショートカット、

顔の右半分だけ伸ばした髪で右目を隠し、

青色のチャイナ服を身にまとった美女が陣内を歩いていた、


その美女の名は夏侯淵、

夏侯淵は現在陣内の見回りをしていた、

翌日には各勢力による攻撃が始まるであろう、

とは言え黄巾党側からの夜襲が無いとも言えないからだ、

ふと黄巾党が根城にしている城門を見れば三人の人影が見えた、


夏侯淵は警告の意味も込めて一矢放った、


ヒュッと音を立て一人を射殺した、




筈だった、


「ば、馬鹿な。」


しかしその矢は人影の眼前で止まっている、


宙に浮き止まっている、


射殺そうとした人物が腕を振るのが見えた、

どうもこちらに対して腕を振るったようであった、


その直後、


ドゴーーーーーン


と自分の後方で大きな爆発音がする、

振り返ってみれば天幕が飛び人が飛んでいた、


夏侯淵は即座に自分の主である曹操の元へと走る、

曹操の天幕はなんとも無かった、

中に入るなり夏侯淵は問う、


「華琳様はご無事か?」

華琳と呼ばれたのは曹操、

金髪碧眼の美少女、

髪はツインドリルテール、

紫色の服はデコルテタイプの服である、


「秋蘭これは何事か?」

戦装束に身につけながら曹操が今天幕へと入ってきた夏侯淵に問う、

夏侯淵は曹操の問いに自分の行動、見たことの全てを報告する、


「ふむ、その三人が張角たちであったとして妖術かしら、警戒を怠らず監視させなさい。」





他の陣営も曹操陣営の被害を見て監視が増えていた。






*****************************************

side黄巾党



「さて、我が力は解って貰えたと思う、この力でもって他陣営を混乱に招き、兵を戦わせているその隙に逃げることはできるであろう?」


「それは解ったけれどもあなたに何の利点があるの?」

と張梁が問う、


「お前たちは孫策陣営へと逃げ込めば良い、【黄巾の賊により囚われていた所を逃げてきた】と言ってな。」


「なんで孫策陣営なの?」


「一番最初に天の御使いが降り立った戦場がどこだか知っているか? 天の御使いは孫策と共にいる、孫策こそが次代の王、お前たちは孫策に力を貸すのだ、それを受け入れるのであれば我はお前たちを逃がす事に尽力しよう。」


「解ったわ。」


「ちょっと人和っ!!」

張梁の答えに不満を持った張宝が声を荒げる、


「ちい姉さん仕方ないわ、私たちに勝ち目はない、このままではどの勢力に捕まっても殺されるだけ、それならば話がついている孫策の所に逃げ込むほうが良いわ。」


「うんうん、三人でやっていける所だったらお姉ちゃん何処でもいいよ~。」


「仕方がないか、でも天の御使い姿くらい見せなさいよっ!!」


「ふむ、それも道理だな。」


そう言うとそこに一人の男が姿を現す、

その男は身長が180cm程、

光り輝く見たこともない白い服を着ていた、


「天の御使いってお年寄りじゃなかったの?」

張角が問うと、

男は顎を撫でる、


「このように付け髭で年寄りを演じていただけさ、さて、俺の名は姓を草薙、名を将、字や真名といった風習のない天から来た男だ、敢えて言えば我が名、将が真名に等しい、この大陸での真名の重さは心得ているつもりだ、さあ、俺が先ほどのように各陣営へと攻撃をするから兵に指示を出し各勢力に夜襲をかけさせろ、そしてその隙にその外套を着て孫策陣営へと逃げ込め、解ったか?」


そう言うと将は答えも聞かずに光学迷彩の装備を起動させ姿を消す、


「消えちゃったね。」


「姉さんたち、脱出の準備をして、行くわよ。」



三姉妹が表に出た頃既にドンドンとあちこちで爆発音がする、

おそらくは草薙が攻撃をしているのであろうと理解した三人は兵たちに指示を出す、


「各陣営に天罰が下っている、今こそ全軍攻撃の好機っ!! 全軍突撃~!!」


「「「「「おおおおおおおおおぉぉぉっっっ!!!」」」」」


張角の指示を受け全軍が雄叫びを上げが飛び出していく、


それを満足そうに見て三人は外套を着込むと頭巾を深く下ろし孫策陣営へと向かっていく。






*****************************************

side孫策陣営



「さっき大きな爆発音が曹操の所で起きたわね、という事はそろそろよね。」


「ああ、上手く行けばそろそろのはずだ。」

雪蓮と冥琳がそんな会話をしているとドンドンと大きな爆発音が聞こえてきた、


「出るわ。」


そう言い残し雪蓮が陣営の正面まで出ていく、

そして南海覇王を振りかざし、


「天帝よっ!! 我らに天の加護をっ!!」


そう言いながら剣を振るう、

するとその剣の方向に陣をそれて爆発が起きる、

逆方向に剣を振ればそちらの方向に爆発が起きる、


「見よっ!! 我らに天の加護がある限り我らの元には何も起きぬっ!!」


周りの陣営を見回せばどこも爆発が起き天幕が、人が飛んでいるのが見える、

「見よっ夜襲をかけんとする黄巾の賊を討ち果たせっ!!」


「「「「「おおおおおぉぉぉぉっっ!!!」」」」」


雪蓮の閧の声を受けて孫策陣営の兵が雄叫びを上げながら黄巾党へと攻まっていく、

各陣営も黄巾党が兵を繰り出したのを見て行動を開始してはいるが被害が甚大ではない、



しばらくすると爆発も止み外套を着込み頭巾を目深に被った三人の姿が出てきた、

その直後に思春と明命が三人に駆け寄る、


「我らは孫策様の配下の者だ、黄巾の城から逃げてきたと見受けるが如何か?」


「天の御使いである将様の命を受けて迎えに来ました。」


「「「私たちは、【黄巾の賊により囚われていた所を逃げてきました】」」」


「この者たちは黄巾の賊に囚われていた者だ、甘寧隊はこの者たちを保護せよっ!!」


「私たちの部隊は城内を制圧しますっ!! 周泰隊は私に続いてください。」



こうして張角、張宝、張梁の三姉妹は孫策陣営に保護される、

各勢力も被害を出しながらも黄巾党を殲滅させることに成功する。





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