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第十一話

今回はいつもの倍くらいです、

それでも短いのは変わりありませんが、


読者の方々に感謝。(サウスポー的なノリで)

昼食を食べ終え将が棒を振っていると、

雪蓮が寄ってきて将に問う、

「将の得物って刀じゃなかったっけ?」


「一番はな、俺の家は武門の家柄だったから他の物もそれなりに扱うのさ。」


「他の物って?」


「前に言わなかったっけか?」


「そうだっけ?」


「まぁいいや、剣、刀、(こぶし)、槍、馬、弓に鞭、(すい)(つち)、棍、盾、銃に大筒、斧、(ほむら)(しょ)に投げ武器に鎖鎌、これが草薙家の武芸十八般さ。」

棒を振りながら将が雪蓮に答える、


「銃とか大筒って何?」

雪蓮が首を傾げながら質問する、

頭の上に?マークが浮かんでいるさまが見て取れた、


そんな様子の雪蓮を可愛いと思いつつククと笑って将が答える、

「ああ、この時代にはまだ無い武器だ、作ろうと思ったらかなり骨が折れる、今度暇な時に見せてやるよ。」


「あるのっ?」

珍しいものには興味津々の雪蓮が目をか輝かせて食いついてきた、


「ああ、いくつか契約したものがあるからな、ただ、量産はほぼ無理だと思うからそこは期待するなよ。」


21世紀の武器が2世紀で作れるはずも無く、

もし作れるとしても火縄銃に毛が生えたものだろうな、

将とAIはそう結論づけていた、


「じゃぁ約束よっ、っと、そろそろ合流の時間ね。」


そう言って雪蓮が南を指差す、

雪蓮の言葉通り南の方から孫家の牙門旗が見えてくる、


「孫の旗が二つ、甘の旗が一つ、周の旗が一つか。」


「ええ、孫静叔母様と、妹の権、甘寧と周泰ね、彼女達も頑張って口説きなさいよ、じゃね。」


そう言うと雪蓮は将を置いて孫権達の方に向かっていった、


置いていったということはついて行かなくても良いという事だろうと判断し棒を振り続ける将、




しばらくして雪蓮が四人を連れてくる、

その後ろには冥琳、穏、祭さん、享さん、歩さん、斗貴さんの六人もいる、

俺の紹介ということか、

合流する四人を除いた七人がニヤニヤしているところを見るとそれだけじゃなさそうなのが解る、


「ほう、お主が噂の、ふむ、解ったと言っておこう。」

四人の中で一番年嵩の女性が言う、

恐らくは孫静だろう、


「さっすが叔母様、話が解る。」

雪蓮がニコニコとしながら話しかける、

やはり孫静のようだ、


「叔母様っ!! そんな簡単に信じてしまって宜しいのですかっ!!」

なんか堅苦しいのがいる、

頭飾りも大げさな青い目をした褐色肌のピンク髪のロングストレートが声を荒げる、

叔母様と呼んでいるということは恐らくはこれが孫権、

雪蓮とは大分性格が違うようだ、

格好は孫家の関係者っていうのはヘソを出すのが流行りなのかね?

冥琳や穏、享さんや歩さんもヘソ出しルックだもんな。


「貴様が天の御使いだと?」

随分大きな声で聞いてくる(恐らく)孫権、


「あんまり大声を出さなくても聞こえているよ、それとそんなに大声を出すと周りの兵士が何事かと思うだろう? 人の上に立つのに声を荒げねばならないと思っているようでは人はついていかない、必要な時以外に声を荒げるのは止した方が良い。」


「貴様っ!!」

紫髪にお団子をつけた褐色肌に赤目で、

足は太ももまで見えるほどのミニ赤いチャイナ服の女が声を荒げる、

今にも将に掴みかからんばかりの勢いである、


「止せっ!!」

それを(恐らく)孫権が手で制す、


「はっ。」

さながら紫お団子は(恐らく)孫権の忠犬の様だった、


「忠告痛み入る、そして質問の答えは?」

穏やかに(恐らく)孫権が将を問いただす、


将は棒を地に置き包拳礼を取り、

「如何にも、現在は故あって天の御使いの名を大っぴらにはしていないが、孫伯符より引き立てられた天の御使いこと、姓を草薙、名を将と言う、字や真名は持ち合わせてはいないが敢えて言うのであれば我が名、将が真名に近しい、以後見知り置き願いたい。」


「故あってとはどういう意味だ? そして貴様、初めて会った人間相手に真名を預けるだと?」

(恐らく)孫権が信じらないものを見る目つきで問う、


「どういうつもりだ?」

紫お団子も胡散臭いものを見るような目つきで将を睨む、


「え? え? え?」

と、黒髪ロングで、まるでTVや漫画、小説なんかに出てくるような忍び装束に身を包んだ白い肌をした赤目の娘が何が起きたのか理解できないとでもいう様にパニクっている、


ちなみに俺の格好は普段着だ、

白装束を着るのは必要な時だけで良いと冥琳との打ち合わせ済みだからである、


「孫権様それは私が説明致します。」

冥琳が間を取り持つ、

やっぱりあれが孫権であっていたのか、




冥琳が将の経緯を説明する、

そんな冥琳に将はいつも説明係をしてもらって申し訳ないと思うとともに、

お礼も兼ねてサービスしようとも思うのだった。




「冥琳の言いたいことは解った、しかし私は自分で見たもので判断したい。」

そう孫権が言う、


「冥琳ここは少し他の目があると困るからな、天幕で俺の技の一部を見せた方が良いだろう。」

将の言葉に冥琳も頷き、


「では、四人には草薙の技を見て貰いますが、これは秘中の秘です、ここに居る者以外には他言無用に願いたい。」


他の六人のニヤニヤが益々酷くなった、



四人の驚く様を見て笑おうっていうのだ、



案の定、

封剣師の技での将の早着替えでまず大きく驚き、

それを見て七人はニヤニヤと笑い、

AIの紹介でさらに四人が驚いているのを見て、

七人はしてやったりとさらに笑っていた、


みんな自分が吃驚したのを思い出してそれと同じ状況の他人を見て笑い者にしているのだ、


いい趣味してるぜ、

将はそう思って本人もクスリと笑っていた、



「どう?将がどんな人物か解った?」

雪蓮が後ろから将の肩を掴み将の肩越しに顔をヒョイと孫権達に向ける、


「私達の解らない技が使え、姉様や冥琳たちが信頼しているのは解りましたが……」

まだなにか納得がいかないといった感じの孫権、


「失礼ですが、よろしいでしょうか?」

紫お団子の甘寧が発言の許可を求める、


「どうぞ。」


「天の御使いはその圧倒的な力でもって黄巾の賊を倒したと伝え聞いています、一手ご教授願えますか?」


「わっ、私も手合わせ願いたいです。」

忍者娘の周泰も手を挙げて主張する、


「雪蓮、どうする?」

将が聞くと


「良いんじゃない? 封剣師の技でもって吃驚させちゃいなさいよ。」

と雪蓮、


つまりは瞬間契約も見せつけてやれと言っているのだ、


それを悟った冥琳が周りの兵士をさらに遠くへと遠ざけるように指示を出す、


ここまでされたら隠しておく必要もない、

「仕方ないか、この服をあんまり晒すわけにはいかないんで着替えさせて貰うぜ。」

そう言って将は自分の体をなで先ほどの服へと着替えを済ませ、

棒を持って天幕の外へ出た、

そして自分の周りに直径1m程の円を書くと、


「俺はこの棒で良い、俺がこの円から外に足を踏み出した段階で俺の負けで良い、四人で一辺に掛かってきても良いぜ。」


「ふふ、私は良いよ、三人でやりな。」

そう言うと孫静は一抜けたとばかりに雪蓮達と同じ場所で観戦モードに入っていた、


「あまり人を馬鹿にするのもいい加減にしたほうが良いぞ。」

と孫権、


「人を舐めるのも程々にしておくのだな。」

これは甘寧、


「御使い殿、覚悟して頂きます。」

最後に周泰がそれぞれ将に対して敵意をむき出しにする、


将はそれを見て、


(これで良い)


そう思っていた、

本気で来て貰わないと困るし、

そうでなければ実力差を知らしめることも出来ない、


将は足を肩幅ほどに開き棒を右手に無造作に持ち、

一言、

「何時でも良い、掛かって来な。」

そう発した、

その言葉が合図となり、


まずは周泰が動く、

低い体勢のまま将へと迫り背の刀を抜き将の左膝を狙って斬りつける、


飛んで交わせば自分の少し後から将の首筋を狙って跳躍してくる甘寧の餌食、

甘寧の技術であれば飛んだ後の将の胴体辺りに狙いをつけられるはずである、

飛ばなければ自分の膝切りが入り行動不能だ、

棒で防いだとしてもあの体勢からでは甘寧の首への攻撃は棒では防げない、

無理に防ごうとすれば右半身が疎かとなり、

後詰の孫権の突きが胴に入るはずである、

自分たちの勝利を確信して周泰が刀を振るう、


避けない!!


自分の刀が将の左膝を切りつけた瞬間自分の刀が軽くなった気がする、

人体を切ったはずだ、

それがこんなにも抵抗が無いはずがない、

気がつけば自分は刀を振り抜き将の右脇を走りぬけ後方へと駆け抜けていた、

振り返って見ても将の足が切れた様子はない、


そして見た、

甘寧の剣が将の首をすり抜ける様を、


甘寧が驚愕する、

自分の剣がこの尊大な態度を取る男の首を刎ねたと思った瞬間には、

自分の剣の重さを感じず、

首を切った割には抵抗を感じなかったということを、

そして甘寧は見る、自分の剣がこの男の首をすり抜けるのを、

確かに、

自分の目で確りと見た、

そして男の口が動いたのも、


その口は、


「見事。」


そう言っていた、

次の瞬間その男に抱きかかえられていた、

体当たりのごとくぶつかる瞬間に男は棒を捨て自分を抱き止め、

右手を捕まれ、

腰を捕まれ、

後詰である孫権様への盾とされてしまっていた、


「私の事は構いませんっ!!そのまま突いて下さいっ!!」


しかし甘寧は見る、

足を止めてしまった孫権を、


「そんな事出来るわけ無いじゃない、私達は殺し合いをしているわけじゃないでしょ、草薙、私達の負けよ、甘寧を離してあげて。」


「事ここに至って状況を見極められるほどに冷静さを取り戻せたか、これもまた見事。」

そう言いながら将は甘寧を離す、


そして包拳礼を取りながら、

「では改めて、姓を草薙、名を将と言う、字や真名は持ち合わせてはいないが敢えて言うのであれば我が名、将が真名に近しい、以後見知り置き願いたい。」


「そんなに堅苦しくしなくていいわ、私は孫権(そんけん)、字は仲謀(ちゅうぼう)、真名は蓮華(れんふぁ)、将、これからよろしく頼むわね。」

そう言って照れながらニッコリと笑った、


「おっ初めて笑ったな、女の子ってのはさ、顰めっ面じゃなくてそうやって笑っていたほうが可愛いんだから出来れば蓮華には笑顔でいてほしいな。」

将も笑顔で蓮華に答える、


「かっ、可愛いっ??」

素っ頓狂な声を上げる蓮華、


「そっ、そういう世辞は言わなくて良い。」

赤い顔をしてそっぽを向いてしまった、


(((((やっぱり将は女誑しだ。)))))

既に将を知っている七人はそう感じていた、


甘寧(かんねい)だ、字は興覇(こうは)、真名は思春(ししゅん)、さっきのアレはなんだ? どうやって私の剣を躱した?」


「そうです、そうです、私の剣も将様の膝を斬った気がしたのですが…あっ、周泰(しゅうたい)です、字は幼平(ようへい)、真名は明命(みんめい)です。」


「思春と明命だね、よろしく、さっきの技は封剣師の技の中の一つで瞬間契約って技、避けられない攻撃の為の緊急回避技だと思えばいい、あんまり多用はしたくないんだけどな、雪蓮が使えって言うからな、二人の連携技なら相手が相当強くても勝てるだろうな、今後も時間があれば俺と手合わせして貰いたいがどうかな?」


「時間がある時であれば。」


「是非是非、お願いします、将様。」


「明命その様付はちょっとどうかな?」


「いえいえ、天の御使い様である将様はやっぱり将様なのです。」

ニッコリ笑顔で言われたら返す言葉もない将であった、


そこへ孫静がやって来る、


孫静(そんせい)だ、字は幼台(ようだい)、真名は桃蓮(たおれん)、これからよろしく頼むぞ、婿殿。」


「「「婿殿っ??」」」


蓮華、思春、明命が一斉に桃蓮の方を向く、


「どういうことですか叔母様?」


「知らないのか? 婿殿というのは…」


「そういう意味ではありません、婿殿とは一体…」


「蓮華、思春、明命、将は貴方達の夫になる人物でもあるのよ。」


「「「夫!!!」」」

雪蓮がニコニコしながら向かってくる、


「将の実力は解ったでしょ、これだけイイ男で、強くて、知識も豊富、天の御使いとしても十分に通用するわ、そんな天の御使いが私たち孫家に居て、その子供までいれば孫家はますます力をつけられる、それこそ母様の悲願達成だって夢ではないわ。」


「母様を引き合いに出すなんて狡いです。」


「ええ、だから言ったの、蓮華は断れなくなるでしょ、でも安心して、将には同意の上でなければダメって言ってあるから、あなたが本気で嫌ならば拒否すればいいわ、思春や明命もそうよ、本気で嫌ならば断っていいからね。」


「蓮華嬢、あんまりボヤボヤしていると取られちまいますよ。」

そう言って歩さんが蓮華を焚きつける、


「と、取られてしまうって。」


「私達だって嫁候補なんですよ。」

享さんがさらに焚きつける、


「ほらほら、そうやって煽らないであげなさいな、御使い殿も困っている。」

そう言って斗貴さんが将に振る、


「思春、お主は良いのか? あれほどの男じゃぞ。」

今度は祭さんが思春を焚きつける、


「わ、私は。」


「ふふふ、解っておるよ。」

そんなことを言いながらも思春が赤くなったのを見逃す祭さんではなかった、


「明命ちゃんも負けたらダメですよ~。」

そう言って明命を焚きつけるのは穏、


「あぅあぅ。」


「うふふふふ、真っ赤になっちゃって可愛いんだからもう~。」

そう言って穏は明命を抱きしめている、


「雪蓮、そろそろ出発の時間だぞ。」


冥琳の声で皆が元の状態に戻る、

その後軍の再編成をして黄巾党の本隊を叩き潰すべく出発したのだった。



次回は黄巾本体との接触、

すると思います、

連休が明ける前にもう一話書きたいと思ってはいますが…


でわ、

ちゃおノシ。

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