第67話 生徒会 反逆の生徒会長
今日はクリスマスイブ。
ちなみに終業式だ。
やっと2学期が終わり、冬休みに突入する。
皆の雰囲気はすでに冬休みの気分らしく、ウキウキやワクワクと言った顔がたくさんある。
僕もその1人だ。
やっと冬休みに入るということで、勉強や生徒会の仕事から一時的に解放されるかと思うと心が躍る。
しかし、そんな顔を出してしまえば生徒会としてのメンツが無いので、できる限りキリッとした顔をしながら、会長と共に檀上の上に上がる。
「冬休っみだーーーー!!!」
壇上に上がった会長の第一声。
まさか、ここにも冬休みに入ることでテンションの高い人がいるとは…。それも僕以上にちゃんとしておかないと行けない人なのに…。
一般生徒たちは突然、会長が叫ぶモノだからザワザワとし出す。
「皆さん、生徒会長の藤堂綾乃です。
やっと冬休みに入りますね。皆さん、どんな予定があるか分かりませんが、3学期は皆さんの顔を見たいのでハメを外しすぎないでくださいね。
それと、遅くなりましたが、2年生以外の方、抜き打ちテストおつかれさまでした。急にテストをしたせいでご迷惑をお掛けしました。でも皆、ちゃんと勉強してくれているから良い成績でしたよ。
あとは、副会長の犬塚くんに話して貰いましょうか」
「…はい???」
会長が急に笑顔で僕の方を見る。
こんな事聞いていない!
会長はニコニコとしながら僕の方に近寄り、小さな声で「頑張ってね」と囁く。
……もしかして、この人。
「ちょ、ちょっと待ってください。こんなの聞いてないです」
「そろそろワンちゃんもこれぐらいはできるようにならないとね」
「はい?はい?」
「うふふ。ワンちゃんが公表してくれないから仕返し」
「だ、だからそれは」
「ほら、こんな風にコソコソと話してると怪しまれちゃうよ?」
会長は楽しそうに笑う。
やっぱりこの人、確信犯だ…。
案の定、生徒たちは僕たちがコソコソと話しているのを怪しんでいる。
それに、守る会メンバーは殺意の目を込めている。
ったく…めんどうなことに巻き込まれた…。
「え~、先ほど紹介されました副会長の犬塚真也です。
全く聞かされてなかったので何も考えていないんですけど…。皆さん、ご存じだとは思いますが今夜、クリスマスパーティーが開催されます。
これは僕たち生徒会が主催しているわけではありませんが、楽しいイベントですので是非ご参加してくださいね。
それでは、皆さん。2学期お疲れさまでした」
僕は頭を下げて、壇上から降りる。
我ながら完璧な演説だろう。
会長は僕が「付き合っている」ということを公表しなかった事に腹を立てているのか、頬を膨らませている。
こんな所でそんなことを言ってしまえば終業式どころではない。そのぐらい分かっててもらえるとありがたいんだけど…。
しばらく、会長の頬が膨らんだ顔を見ていると急にニヤリと顔が歪む。
そして、会長の目が僕の方へ向くと、その眼はこう語っているのだ。
「まだまだだね!これでもうワンちゃんは逃げられないよ!」と。
「すみません、補足です!
先ほど、犬塚副会長が言った通り、今夜にクリスマスパーティーがあります。
そこで…なんとっ!生徒会からサプライズがありますので、是非是非来てくださいね。
それでは、生徒会からでした」
会長の満面な笑みが僕に向けられる。
そして、僕は肩を落とした。
完全にやられた………。




