第6話 会長が会長になった理由は?
それはある日のことでした。
その日はたまた生徒会の仕事が無かった日でした。
仕事が無いなら別に生徒会に残らなくてもいいんじゃない?と思いがちだけど、とりあえず生徒会室には遊び道具がいっぱいなのです。
携帯ゲームにパソコンにカルタにトランプに……よくまぁこんなに持ってきたな…と思ってしまう。
しかし、そのおかげで僕は暇を潰せるのだ。
「このパソコンって会長のですか?」
「ん~?それは校長先生のお古を貰ったの」
「なるほど」
だから、古臭い壁紙なんだな…盆栽の壁紙って初めてみたよ…。
しかし、パソコンの中身は会長仕様になっている。
ゲームばかり入っているのだ。それもネットが繋がってるからオンラインゲームもできる。
今、僕がしているのもオンラインゲームで会長のアカウントを使っている。
正直、会長のキャラは強すぎる上に普通の人ではまず持つことが無いぐらいのお金を持っていたりする。
あと、これをやり始めた時はやたら声を掛けられて困ったっけ…。
「戻ってきたんですか!!」とか「よかったぁ、絶対アヤさんは戻ってくれると思ってました!」「これでBOSS狩りが楽になります~」などなど。それはもう彼女の廃人度が分かるぐらいだ。
「それにしても暇だなぁ…そうだ、新しいイベント考えようよ~」
「狩り中です。邪魔しないでください」
「そんなこと言わないでさぁ…仕事しようよ~ワンちゃん~」
「はぁぁ…もう少しでLvがあがるので邪魔しないでくれますか?」
あと200匹ぐらい狩ればLvが上がるんだから…って、これじゃいつもと逆の状態だな。
クスッと笑いながらゲームを止める。
いつもゲームゲームと言っている会長が珍しく仕事をしようとしてるんだからここは僕も手伝ってあげよう。
「次は何がしたいんですか?」
「そうだね~…ワンちゃんから見て1年生は皆、仲が良い?」
「まぁ良い方じゃないでしょうか。皆楽しくしてますよ」
「そっか。それじゃ勉強の方はどうかな?」
「勉強ですか?…ん~、どうしてそんなことを?」
「そろそろ1年生対象の抜き打ちテストがあるからそれに向けて大丈夫かなぁって」
おいおい…それを1年生の僕に言っていいのか?
ちょっと勉強しようかなぁって思ってしまったじゃないか。
「あ、ちなみにこの抜き打ちテストは学校が主体じゃなくて生徒会の恒例イベントなんだよ。去年、私もやったんだぁ」
「え?つまりテストの内容は生徒会が作るんですか?」
「そだよ~」
「それじゃ去年は会長が自分で作って自分で?」
「さすがにそれは無いよ~。私もまだ会長じゃなかったもん。私が会長になったのはこの抜き打ちテストがキッカケなんだよ。去年の抜き打ちテストの内容がすっごく難しくて1年生の反感を買ったんだよ」
「それで一年生の勢いに負けて支持率低下ですか…悲惨ですね…。でもそれと会長の就任って関係あるんですか?」
「んっと、私それで満点取ったの。そしたら何人かに生徒会長選やるから出てみなよって言われて」
…あんたのせいか、支持率低下は………。
たぶんその難しいと言われたテストは本当に難しかったんだろう。そのテストで満点を出した会長は一躍有名に。そして、この美貌だ。
周りがこんな可愛く綺麗な会長ならもっと良いんじゃね?みたいな考えも持つのも不思議じゃない。
「それで、私が出てみたら満場一致だったんだぁ」
そりゃあんたを生徒会長にするために前生徒会長は解任されたんだから当然だろう…と言いたいけど本人はそんな裏の事情は知らなくていい。
僕は「凄いですね」と返事する。
すると、僕の返事が気に入らなかったらしい。
「ワンちゃん!貴方は生徒会副会長です!なので次の抜き打ちテストで上位に入ってもらいます。もし1位になれなかったら…うふっ」
こ、怖ぇぇ……。
なんだその微笑みは…いつもみたいに子供のような笑顔の方が数倍嬉しい。