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第5話 会長は甘党派らしいです。

 

「相変わらず凄いというか…外見ですべてを物語っているというか…恐ろしいですね」


 さっきの事とか今までの退去命令の事とか思い出してもほとんどの人は会長の外見で惑わされているとしか思えないのだ。

 そうじゃなきゃあんな幸せそうな顔で教室を去っていくなんて考えられない。

 まぁ、僕的には作業が楽になるから良いんだけど。


「ワンちゃん、今日はクレープ食べに行かない?」

「残念。今日は僕やることがたくさんあるんです」

「それじゃ私も手伝ってあげる」

「…いいえ、自分のためにならないので」

「それじゃ待っててあげるよ。もしくはそれを始める前に行こうよ」

「いや…あの~…えっと…」


 とてもじゃないけどここで「貴方とは一緒に行くと後が地獄なので勘弁してください」なんて言えないし…。

 適当にはぐらかしながら生徒会室に戻るとそこには出た時には無かった紙の山、山、山。

 どこから来たんだ?と言いたいぐらい山が積まれており、その紙の内容は今月のイベントで使った書類などなど。

 おそらく教師側の確認が済んだのでこっちに送られてきたのだろう。

 それにしても…本当に多いな…普通に生徒会をしていたならまず無い多さだ

 しかし、これでやることができた。


「すみません、これを整理しないといけないので」

「えぇ~、こんなの明日やれば良くない?」

「明日、明日って延ばすと僕の性格上ずっとしないので。すみません、クレープはまた今後にしましょう。会長はもう帰ってもらってもいいですよ。外が暗くなると危ないですから」

「ん~…わかったよ。ワンちゃん、それじゃまたね」

「はい、おつかれさまでした」


 カバンを持って生徒会室を出ていく会長に挨拶をして見送る。

 そして、会長の姿が見えなくなると僕は椅子に座って一息ついた。

 今からこの山を整理すると思うと本当に辛いな…現在時間は18時。

 おそらく、これが終わる時間は19時ぐらい。


「あ、あぁぁぁぁぁ~~~めんど~~…。ふぅ…、やるか」


 大きく背伸びをしてから自分の顔をパンっと叩き、気合を入れる。

 まずはちゃんと処理済みのハンコが押されているという確認をして、今後使うのか使わないのかという検討。その後、必要でない物は不要BOXに。必要な物は必要BOXに入れていく。

 また、必要BOXに多く入ってしまった場合は更に検討しないといけないのである。それが非常にめんどうなのでできるだけ必要BOXには入れたくないんだけど…今回は多いな……。


「ん~、これは必要ないか?あ~でも、あの会長の事だから来年もするとか言いそうだし…。そもそもこの企画は意外と盛り上がったんだよなぁ」


 企画名「ここで一気に仲良くなっちゃおうよ!クラス対抗ケイドロ対決!!!」という新入生対象のイベント。

 当初はガバディをする予定だったけど、知らない人が多いと言うことでケイドロをすることにした。

 その効果は絶大で、仲間意識が高まり、僕たちのクラスも他のクラスもこれを機会に仲良しになったのだ。まぁ失敗と言えば、僕は新入生なのに企画側に居たということだけだろう。


「ん~…これは会長と相談した方が良いな。保留」

「それは来年もするつもりだからこっちだよ」

「あ、すみません。…うわっ!?どうしたんですか?会長」

「ん?1人じゃ決められないワンちゃんくんのために戻ってきてあげたのよ。はい、これお土産」


 会長はカバンの中から紙袋を取り出し、その中からクレープを1つくれる。


「わざわざ僕のために帰ってきてくれたんですか?」

「き、君のために帰ってきたんじゃないんだからねっ!」

「……あ、ありがとうございます」

「ちょっとぐらい反応してくれてもいいのに…。それよりも仕事は一旦休憩して一緒に食べましょ。はい、ココア」


 クレープの生地とチョコの味が見事にマッチングしていて美味しい。

 クレープを巻いている紙を見ると確かクラスメイトが騒いでいた人気のクレープ屋さんの物だ。

 さすが人気があるだけある。甘いモノには厳しい僕の舌でも本当においしいと思えるのだ。ココアもお子様向けでものすごく甘く、口の中が甘さで一杯。

 そして、目の前ではそれを幸せそうに食べている会長。


「会長、ここにチョコついてますよ」


 口の端にチョコが付いているのを指摘する。

 すると、「ん?」と言って手で拭き取ればいいのに舌で無理やり舐め取ろうとする。

 その姿があまりにも面白く、また可愛く思わず笑ってしまった。



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