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第49話 おかしくなりそう…。

 

 顔を合わせるのが辛い……。

 チュンチュンとスズメが朝を教えてくれる。

 普段の僕なら「まだ寝たい…」と言いながらベッドの中でモゾモゾと動いている。

 しかし、今日は眠たいどころか、昨日の夜から一睡もできずにいた。


 あの…あの生徒会室の中会長の………う、うわああああああ………。


 これで何度目だろう…頭を抱えるのは。

 顔が熱くなり、頭の中がおかしくなりそうになる。


 女の人とキスなんて、数は少ないけれど経験したこともあった。

 だけど、こんな恥ずかしく思ったことは初めてだ。

 それは会長とキスをしたから?そんなあの人は僕にとって特別な存在なのか?

 というか、今更過ぎるだろう…。

 僕はかなり前から会長の事が好きだと自覚していた。

 もちろん、夢の中にも会長が出てきたことがある。それぐらい好きだという自覚はあった。

 しかし、だけど!どんな夢や妄想の中でも会長とキスをしているシーンや、その後も考えた事が無かった。


 ………あれ?普通、好きな人が居たらその人とキスとかその後もしたいとか思うんじゃ…あれれ???

 本当に好きだったのか?会長の事。

 ダメだ……考えすぎたら頭がおかしくなってしまう…。

 頭を掻きながら少しの間だけ、会長の事を忘れる。忘れようとする。



「それさ、普通じゃないの?キスもセックスも。たぶん、真也は考えないようにしてただけじゃね?

 綾ちゃんは普通の女子じゃないもん。しょうがないって」


 要くん…容赦なさすぎるよ………。


 お昼休みの時間、お弁当を食べながら少しだけ要くんに悩みを聞いてもらうとあっさり言ってくれた。

 ちなみに要くんのお弁当は彼女である宮地さんの手作りらしい。

 意外と可愛らしいお弁当を作ってる。


「俺なんて志乃と付き合ってない時はずっと一緒に居る事しか考えなかったもん。それで付き合えるようになってからはずっとエロい事を…」

「あ~…止めた方が良いよ。要くんがその顔をすると凄く違和感がある」


 というか、周りの女の子たちが僕たちの会話を聞こうと必死に耳を澄ませているからあまり宮地さんの名前は出さない方が良い。

 あと、僕が会長の事が好きだということもあまり大きな声では言わないでほしい。


「とりあえずさ、真也はようやく綾ちゃんと付き合える覚悟ができたってことじゃないの?見たんでしょ?えっちな夢」

「っ!?」

「ぷぷぷ、良い反応してくれるなぁ」

「…ぼ、僕の事は良いよ。それよりも会長は昨日」

「さぁ?俺は知らないかな」

「知らないって、一緒に住んでるなら見ててよ…」

「綾ちゃんの状態を知っても意味無いと思うけどなぁ。それに俺も滅多に見ないし」

「それどういうい」

「藤堂く~ん、私たちも一緒にご飯食べてもいいかな?」


 僕たちの雰囲気が緩んだ所にクラスメイトの女の子たちが話かけてくる。

 彼女らはこれを狙っていたのか…。

 さすがに女の子たちが居る中でさっきまでの会話をすることはできない。

 会話の中心は要くんになり、女の子たちと楽しそうに話す。

 その間、僕はパクパクとお弁当の量を減らしながら彼女たちの会話を聞いた。



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